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【台湾の面白い建物】中華民国総統府
中華民国総統府は、日本統治時代の台湾総督府の建物をそのまま使用している、中華民国の行政府の建物です。
この建物は、普段も見学することができますが、月に一回、週末の業務のない日に、さらに広い範囲の見学ができる様になっています。(ただし2024年7月現在、改修工事中で見学は中止になっている模様。)僕は、2018年と2023年にこの見学ツアーに参加しました。
2018年の時には、総統府の中で台湾語の歌手がミニライブを開いていました。このことは、中華民国総統府にとって画期的な事件だったそうです。通常、総統府で演奏される音楽は、西洋のクラシック或いは中国語の歌謡曲ばかりで、台湾語の歌が歌われることは過去なかったとのこと。1945年に台湾が中華民国の統治に移ってから73年にして、初めて行われた快挙であると歌手は話していました。
(表紙に使っている写真がその時のものです。)
中華民國総統府の見学案内ページ
計画案
この建物の概要については、色々なところで紹介されているので、詳細な説明は省きます。長野宇平治がコンペで提案した原案を、台湾総督府の森山松之助技官が、より威厳のある様に塔の部分のプロポーションを変更して計画し直しています。
想像するに、この様な計画変更の意向は、台湾総督府の上層部から示され、それを日本本国で仕事をしている長野宇平治に確認しながらでは、設計変更の作業が間に合わなかったのではないでしょうか。それで、総督府の技官自らが設計変更を行った。発注者が自ら手を加えたということなのでしょう。
【外観】
森山松之助が手を加えたという、正面のタワーの佇まいは、台湾のシンボルの一つになっています。台北駅前の新光三越のビルは、このタワーをデザインモチーフにしているそうです。
南国の青い空をバックに、赤レンガの外装が綺麗に映えています。このレンガは東京駅のレンガと同じ工場で作ったものを台湾に持ってきていると説明がありました。
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手前の車寄せは当初の設計案に付加されたのだそうです。
よく見ると、若干違和感を感じますね。
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【中庭】
この建物は、19世紀のヨーロッパの新古典主義の様式で設計されています。ですので、現代の様な大部屋のオフィスを設けず、比較的奥行きの浅い、個室をたくさん並べて配置する平面計画になっています。そして、そのために日の字型に平面計画がなされ、建物の中央に二つの中庭を配置しています。
この外からは見えない中庭のスペースがとても良い雰囲気に整備されていました。建物の外壁が赤レンガなのに対して、中庭に設けられた緑がとてもよく映えています。
このスペースは、日本統治時代は自転車置き場として利用されていたそうです。それを、このような緑あふれる植栽空間として整備したのですね。なかなか良い改修計画です。
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日陰になりやすいスペースなので、そのような条件に合った樹種を選んでいるのでしょう。
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中庭の方では露出されて計画されています。
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このスペースが憩いの場になっているのでしょうね。
【インテリア】
この建物は、内部空間を非常にきれいにリノベーションしています。元々のインテリアの形を生かしながら、照明計画やディテールの作りこみをとても丁寧に行っているのだと思います。
日本統治時代のシンボルであった建物を、そのまま利用するだけでなく、この様に手を入れて美しく再生し、そして今でも政治の中心として使っている。途中の政治的な経緯はいろいろあるのでしょうが、結果としてこの建物が今も現役で使われている。この様に大切にされながら。
それを感じるだけで、日本人としてはとても幸せな気持ちになれます。
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空撮によると、これはハイサイドライトの様です。
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ヴォールト天井と側面の採光窓をうまく処理しています。
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歴史的な一日だった様です。
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日本時代のこの様な換気窓のディテールを
きれいに再現しています。
【交流ラウンジ】
最後に、あまり知られていいないスペースを紹介します。普段は職員の休憩スペースとして使われているだろう"交流廳"です。
この場所は、正面から見ると左のコーナーにあります。普通に見学ルートを歩いていると気が付かないと思いますが、僕は係員の説明を聞きながら見学会に参加していたので、この様なスペースがあることを教えてもらいました。見学が一通り終わってから、交流廳を探すと、いったん外に出てから、また室内に入るようになっています。
中のコーヒーや軽食はそれほど特徴のあるものではありませんでしたが、ここで総統府の職員たちが日ごろ食事をしているのだと考えると、ちょっと緊張しました。
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カウンターに示して飲み物や食事をいただきます。