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【台湾のハイキングコース】玉山

会社の同僚に、日本の百名山にチャレンジしている登山の強者が2人もおり、彼らに連れられて玉山登山に行くことになりました。11月第2週、2泊3日の行程です。

僕が普段やっているのは、台北郊外の1,000m前後の高度の山でのハイキングが多いのですが、3,000mオーバークラスの登山は、これで3回目になりました。

事前準備

これは、会社の登山通の同僚Sさんが計画したものです。彼は既に6月に玉山への単独登山を実施しており、その経験をもって、3人の日本人の仲間に声をかけ、秋になってからの玉山再アタックを提案しました。参加したのは同じ会社のHさん、Hさんと同業のYさんと僕の3人です。

玉山の山小屋、排雲山莊に泊まるのは、普通だとたくさんの応募者の中からの抽選になるので、当選は難しいのですが、外国人には特別枠があり、3ヶ月前から先着順で申し込みができます。
この外国人枠は、週末は該当しておらず使えないものと考えていたのですが、日曜日の宿泊だと使えるということが分かり、それなら土、日、月の3日間のスケジュールで、会社は1日休むだけで行けるということが分かりました。
Sさんはこの外国人枠の申し込みを無事終えて、登山スケジュールが確定しました。

引き続いて登山口入口にある、1日目の東埔山莊の予約、それから3日目に登山口から日月潭に向かうバスの予約も終了。更に高山病の薬も3日分用意して、準備は完了です。

Day 1

台北駅を7時21分に出発する高速鉄道で、嘉義に向かいました。到着したのは8時48分。嘉義駅からは長距離バスで阿里山に向かいます。
この時ちょっとしたトラブルが発生。予約なしで乗れると想定していたバスが、たくさんの予約客でいっぱいで、4人のメンバーのうち2人しか乗れなかったのです。このバスは1時間に1本しか出ておらず、残された2人は、次のバスで阿里山に向かうことになりました。

嘉義から阿里山に向かうバスは、高速道路を通るため、シートベルトの着用が義務付けられています。そのために、立ったままの乗客がいるのはまずい。それで、通路には余裕があるのですが、バスの階段に潜り込めるだけの客しか乗せなかったのです。

しかし、残された2人は、同じく待つことになった数人の客とタクシーに一緒に乗って、すぐに嘉義駅を離れたと連絡がありました。結局、阿里山のバスターミナルには、後発の2人が先に到着していました。

このターミナルからは、1日に一本しかない阿里山から日月潭に向かうバスに乗りました。出発したのは13時。バスは30分ほどして、1日目の宿泊施設、東埔山莊に着きました。

ここでは、十分に時間があるので、翌日の登山の手続きを先にしておくことにしました。塔塔加の登山服務中心に向かい、申込書と4人のパスポートを渡し、山小屋に宿泊する手続きを終了。隣の派出所に出向いて、入山申請手続も終えました。

1日目は、自分達で持ってきた携帯食料を夕食として食べて、早いうちに寝ました。

Day 2

この日は、前日入山手続を済ませていたので、6時に起きて朝食を食べ準備をし、7時には登山をスタートさせました。
塔塔加登山服務中心前から、登山口までシャトルバスが出ています。約10分ほど小さなバスに揺られて、登山口に向かいました。

登山口には約15名ほどの登山客が、出発準備をしていました。写真を何枚か撮って、早速登山スタートです。
この日の目標は、塔塔加の登山口2,600mから、標高3,400m地点にある排雲山莊に着くこと。登山強者の2人は、この日更に排雲山莊から玉山西峰へのアタックを計画していました。僕はとにかくこの山荘まで辿り着くことを目標に歩き始めました。

この週末は、とても天気に恵まれていました。この日も晴天でしたし、翌日も午前中は晴れが続くと予報が出ていました。
この日のリュックの重さは約10kg、台北を出る時点で8kg、その上に阿里山のバスターミナルで山の上で食べる食料を準備していたのでこのような重さになっていました。僕は、台北で数ヶ月前からこの様な重さの荷物を背負ってトレーニングをしていたので、若干重いなとは思いましたが、何とかなるだろうと歩き始めました。

Sさんは、この日の登山行程を4時間ほどとみていました。登山口を7時半に出るので、11時半頃には山荘に着くだろう。遅くても12時頃という算段でした。しかし、歩き始めてみると、この10kgのリュックが次第に重く感じられる様になってきました。どうにも息が切れて、30分おきくらいに休憩をとらないととてもではないが前に進めません。以前苗栗の百川山を登った時に、これよりも軽い荷物を背負って登った際に、トレーニング不足から2度もギブアップをしたことがありました。その時と比べると、とにかく少しでも休めば先に進めるので、体力的には進歩したと思うのですが、それでも30分おきの休憩が必要でした。

結果、休み休みの行程で排雲山莊に到着したのは1時過ぎ。Sさんのスケジュールを大幅に遅らせてしまいました。
僕は到着して、簡単な食事を済ませた後、すぐにダウンしてしまいました。SさんとHさんは、午後玉山西峰へのアタックに向かいました。僕とYさんは、そのまま排雲山莊で休息をとりました。

夕方5時過ぎに、2人は西峰から戻ってきました。そして4人で排雲山莊の提供する夕食をいただきました。
食事の終わった後、Sさんに聞いてみました。「明日の予定では、この排雲山莊から何時間で山を降りなくてはならないのでしょう。」
Sさんは説明しました。「この山小屋を、朝8時には出なくてはなりません。そして、塔塔加で13時過ぎの日月潭行きのバスになる必要があります。この山を降りるバスは、1日にこの1本しかないのです。」

すると、明日1日でこの排雲山莊から高さ550mを登った先の玉山に登頂し、同じ距離を帰ってきて、それから更に800m降りた登山口に戻らなくてはならない。そして、この行程には時間的余裕がほとんどないということです。
少し考えて、これは体力的に無理があると考えました。以前苗栗の百川山に登った際、700mを登って降りただけで、ほとんど限界でした。今回、玉山にアタックするための荷物は軽量で済むとしても、高度は3,950mになります。そして550mという距離を登って降りて、その後8kgほどになった荷物を背負って800m降りる。これは、ここに来るまでの自分のパフォーマンスを考えると無理だろうと判断しました。時間にもう少し余裕があれば、チャレンジできたかもしれませんが、11月の2週目では陽が登る時間はかなり遅くなっていて、その分山頂からバス停までの移動に費やせる時間が短くなっています。

この判断をパーティーの3人に伝えると、彼らも同意してくれました。僕が10kgの荷物を背負って歩く様子を見ていたら、足元がフラフラしていた。無理をしないほうが良いというSさんの意見でした。

Day 3

3日目、パーティーの3人は深夜2時に起き出し、準備を整えて3時前には出発しました。
僕は、3時に起きて、その時間に出される朝食を食べて、4時に山を降り始めました。13時過ぎのバスの時間までは十分時間がありますが、早く降りれたら管理事務所で休んでいればいいと考えたのです。

深夜、ヘッドライトを付けながら山道を歩くのは、若干不安でしたが、6時にもなるとだんだん空が明るくなり始め、一安心でした。その時点で既に行程の3分の1程度は降りてきていたので、今この時に遥か玉山の山頂にいるというのは、大変なことだと改めて思いました。
結局登山口には9時頃に着きました。ゆっくり降りたので、5時間かかっていました。排雲山莊から降りるだけだったら、もっとハイペースで降りることもできたでしょう。しかし、玉山アタックの後の状態からでは、やはり難しかったろうなと思いました。

結局、登山口からのシャトルバスは、塔塔加のバス停まで来てしまいました。そこで休もうとしていたところ、歩いていける距離に塔塔加遊客中心という施設があると分かり、そこに出向くことにしました。
そこでは、玉山の自然や歴史を紹介していたり、朝9時からやっているレストランがあったので、ゆっくりとパンとコーヒーをいただいて過ごしました。そして、2時間ほどここで過ごして、バス停に戻りました。戻る際は、裏手にある塔塔加の遊歩道を歩きました。
12時半頃バス停に戻り、仲間の3人が戻ってくるのを待っていると、彼らはすぐにシャトルバスに乗って現れました。SさんとHさんはピンピンとしていましたが、Yさんはへとへとの様子でした。とてもハードな山登りでしたと言っていました。

阿里山から日月潭に向かうバスは、予定通り13時半に到着。僕ら4人はこれに乗りました。日月潭にはここからバスに2時間揺られて行くことになります。こんな山の中に、阿里山から日月潭に向けて、1日1本のバスが走っているというのも一つの発見でした。

日月潭のバスターミナルに着くと、そこから台中高鉄駅に向かうバスがすぐに出発。2時間後に台中高鉄駅に到着、そこからすぐに高速鉄道に乗って台北に戻りました。台北着は7時半、家には8時には戻れました。

体力とスケジュール

結局、僕は最終日の玉山アタックは断念してしまいました。その原因はというと、3日目のハードなスケジュールが、自分の能力を超えていたということですね。550mを登って降りて、更に800mを重い荷物を背負って降りる。そして、それにタイムリミットがあるというので、無理をすべきでないと判断したということです。

玉山には、日本の友人も何人かチャレンジしていて、何とかなったという話もあったので、自分でも大丈夫だろうと想定していたのですが、これはちょっと甘かった。夏の日の出が早い時期だったり、或いは公共のバスを使わずに、マイカーで自由に山を降りれるという条件だったら、登頂可能だったと思います。

玉山は、余裕を持ったスケジュールでないと、初心者には無理な登山コースだと思いました。

1日目の晴天の様子
塔塔加登山服務中心
玉山国立公園の全体の地図。
1日目の宿、東埔山莊
2日目の登山の様子
山並みの連なりがとてもダイナミックです。
この様な木製の橋がたくさんありました
3日目の朝、空が明るくなってきました。
玉山到着を果たしたHさんの写真
朝焼けに明るくなる山並み
タイワンキンバネガビチョウと言うそうです
3日目、塔塔加遊客中心で一休み
塔塔加遊客中心の建物
塔塔加の遊歩道

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