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17世紀、都市変革の時代

東京の都市史を勉強すると、この街は太田道灌により初めて江戸城が建設されたことにその源流を持ちますが、徳川家康の江戸入城により近代化のきっかけをつかんだことがわかります。
そして、この17世紀初頭というのは、世界のあちらこちらで新しい都市が生まれているという、共時的な現象が起こっている時代でもあります。

東京から広島までドライブした時考えたこと

32歳の時、台湾から家内と日本に移ってきて、日本国内をあちらこちら遊びに行きました。北海道、東北地方、関西にもよく出向きました。
そんな中で、東京から広島まで行くという5泊6日のドライブ旅行をしたことがあります。それは、名古屋にいる友人を訪ね、神戸にいる親戚に会い、その先広島まで行こうという計画です。ですので、日本の太平洋側にある大都市を一つ一つ泊まりながら広島まで行ったわけです。
東京、名古屋、大阪、神戸そして広島。太平洋側にあるこれらの街を順番に回ってきて、ふと気がついたことがあります。それは東京、名古屋、大阪という日本の三大都市は、いずれも豊臣秀吉から徳川家康にかけての安土桃山から江戸幕府の成立期にその発展のきっかけを持っているということです。

歴史を学ぶと、戦国時代の城というのは山城から平城に移っていったと教わります。戦争をするための城塞といった様相のものから、民衆を治めるための行政センターとしての城にその性格が変わっていったというものです。
それに加えて、この江戸、名古屋、大阪という街を考えると、海に近い場所に移って来ていることがわかります。これは、全国的な舟運ネットワークを使って物資の搬送をする時代になり、そのためには内陸よりも海岸沿いの方が利便性が高かったことが理由の一つでしょう。
更に、それ以前は悪地として洪水の被害に襲われることから、都市を営むには相応しくないと思われていた土地が、大規模な土木工事を通して都市としての安全を保障され、発展のチャンスを掴むことができたからであろうと考えています。
日本の各地の主要都市を見ると、その他にも江戸時代初期に発展の契機を持っている街が他にもいくつかあります。仙台、長崎などです。いずれも海に近く海を使った舟運ネットワークを形成しています。

世界に目を移すと

一方、僕の調べている台湾とその海域の歴史を見ると、同じこの時代に発展の契機を持っている都市がたくさんあります。
台湾はそもそも17世紀に多くの漢族の移民が来ていることに、大きな歴史的な転換点があります。そして、それを追うようにオランダが台南にゼーランディア城を築き台湾の統治を始めます。彼らがこの地に根拠地を定めた理由は、やはり交易の拠点とするためです。福建で交易をしようとしたが、明朝にそれを拒否され、澎湖まで撤退したがそこからも追い落とされ、仕方なく台南の地で城を構えたわけです。

そして、同じようにオランダ人により交易拠点となった都市がインドネシアのジャカルタです。ここは、バタヴィアと名付けられ、オランダ東インド会社の東南アジアの拠点と定められました。この組織の根拠地なので、やはり同じように海を介しての交易の利便性を考えてこの場所が選ばれています。

マニラはスペイン人により開かれた街です。彼らがここに足を下ろしたのは16世紀の末で、オランダが来るよりは少し早い時代です。スペイン人はフィリピンの地にまで到達し、ここでたくさんの中国の品物を得ることができることを発見しました。この交易品をアメリカに持ち帰ることで、大きな利潤を得るという事業スキームを作り上げます。

中国では厦門の街がこの時代に発展を始めています。これは、泉州や漳州月港などの港が段々と時代遅れになり、より吃水の深い船が出入りできる、深い深度を持つ港が必要になったからです。それがために、現代においても福建省での第一の港は厦門に軍配が上がっています。船の巨大化というニーズに合う港がより発展の機会を得られたわけです。これは平戸港から長崎港に国際交易の中心が移った日本の状況とよく似ています。

アメリカの発展

また、この17世紀は、アメリカで新教徒による植民活動が進む時代でもあります。
オランダ人は東インド会社を作って東南アジアの香料交易を牛耳ると同時に、西インド会社を作りアメリカに対しての植民計画も進めます。その結果として、ニューネーデルラントという植民地を作り上げ、その首都が現在のニューヨークです。この都市は当初はニューアムステルダムと呼ばれていました。
イギリスからメイフラワー号に乗った清教徒達が上陸してくるのも同じ時代です。

いくつもの要因がこれらの都市の発展を促した

このように、現代につながる多くの大都市の発展の契機が、この17世紀前後という同じ時代に発していることに、とても興味深いものを感じています。

キーワードになるのは"海"と"交易"ですね。そしてプレイヤーとしては、オランダが大きな役割を果たしています。
そして都市発展のバラタイムが、船というハードウエアの発展、それを使った海運・舟運ネットワークの進展、さらに洪水を克服する大規模土木工事の技術の発展。こういうことが相まって、17世紀という同じ時期に多くの大都市が発展の機会を得て、現在に至るまで拡大をし続けているのだろうと考えています。


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