柔軟に対応する精神
台湾人に、台湾の建設業の優れていることは何ですかと質問すると、ほぼ確実に"フレキシブルに物事に対応できること"と返事が返ってきます。中国語では"彈性對應"とか"彈性處理"とか言っていますね。この問題に対応するにあたりフレキシブルに、柔軟に対応するというのは、確かに台湾人の考え方として長所の一つであろうと思います。
これに比して、日本人はどちらかと言うと原則重視のところがあります。社内のルールに従うとか、上司の判断を待つとか。前例を調べてそれに準じた判断をするというのも一般的ですね。そして、判断が遅れたり、新しいことにチャレンジできないとかいうことが頻繁に起こっています。
どちらの考え方にも一長一短がありますが、現在の台湾の社会を見ると、この柔軟さが対応のスピードの速さを産み、更に社会を前に押し進めているように思えます。逆に見ると、日本の対応の遅さ、世界から2歩も3歩も改革が遅れている。そんな風に感じる事例をここにまとめて書いてみます。
言ってみれば、台湾の長所ですね。
uber
このインターネットを利用した配車サービスのことは、日本でもよく知られていると思います。しかし、その普及の度合いで言うと台湾の方がずっと進んでいるでしょう。僕の仕事をしている環境でも、uberを利用することは頻繁に見られます。
このサービスのメリットは、外国で言葉を使わずに行き先の指示をできること、悪質な運転手に出会わなくて済むという安心感、特に女性が単独で利用する際にはuberでないと不安が募る様です。
日本ではこのサービスはタクシー業界の反対が大きく、それほど普及してはいない様です。日本では個人がこのUberのサービスに参加したいと考えても、コスト的に合わず、タクシーのままやっていた方が得なのだと、あるタクシーの運転手は言っていました。既存の利益団体による反対、非関税障壁の存在というお決まりの図式を示しているのでしょう。
uber eats
このサービスは、コロナをきっかけに台北ではとても普及しています。台湾では小規模店舗も大きなレストランも。このテイクアウトのニーズに積極的に対応し、Uberでたくさんのレストランの料理を手軽に楽しむことができる様になりました。
Youbike
公共のシェアサイクルサービスは、台北・高雄などの大都市を皮切りに、台湾全土に広がりを見せ始めています。特に台北や新北では、とても多くのYoubikeステーションが整備されており、日常使う足としてとても重宝しています。
2024年5月時点で、台北市のYoubike stationは、1415箇所と表示が出ています。
シェアカー
自転車のシェアサービスは有名ですが、台北ではシェアカーのサービスも利用され始めています。この場合の自動車は、道路脇の駐車スペースに市内あちこちに置いてあり、それをネットにより検索して探し出し、スマホによりドアを開けて利用します。
ぼくが自分で使ったことはありませんが、友達の運転するシェアカーに乗せてもらったことが何度かあります。台北の街中では、かなりの場所でこの車が利用できるようです。
このカーシェアリングについては、下記の記事で詳しく紹介しています。
ネット環境
IT大国の台湾では、とても広範な場所で公共ネットワークを利用することができます。Wi-FiやSIMカードを用意していなくでも、街中至る所でネットが繋がるので、とても便利です。
具体的には、下記のような箇所で使用が可能です。
・ 空港
・ MRTと駅
・ バス
・ デパート
・ カフェ
行政の対応のネットワーク利用
日本ではLINEによるコミュニケーションは、セキュリティー上の問題から積極的に利用されていませんが、台湾では非常に広範に利用されています。例えば会社からの連絡、複数の会社の関連するプロジェクトでの連絡、学校からの連絡などです。
これらに加えて、台湾では役所からの連絡事項もLINEを使ってやりとりしています。僕の仕事に関連する建築工事では、役所と工事現場は、工事の検査スケジュール、審査の内容の確認や進捗度合いなどをLINEで行っています。地震が起こった場合なども、役所から工事現場の安全確認の連絡がLINEできて、LINEで回答すると聞いています。
印象としては、電話に代わるコミュニケーションツールとして、既にスタンダードになっているという感じですね。電話ですと、先方と繋がるとは限らない、話し言葉なので記録が残らないなどの問題がありますが、LINEだと先方が忙しくても連絡することは可能ですし、記録に残すこともできます。
ただし、データがずっと残るとは限らないので、あくまで連絡、正式な文書のやり取りはメールでと使い分けをしています。
LGBT
台湾では同性の結婚が合法化されました。ですので、友達と話をしていても、男性がボーイフレンドの、女性がガールフレンドの話をすることがよくあります。LGBTの考えがすっかり市民権を得て、このことを秘め事とする感覚ではなくなっています。
街中にはいくつもの新しい公共施設に、ノンジェンダートイレが整備されています。
世界中の建材を使う
台湾で建築の実務をやっていると、この国が採用している建材は世界各国から来ていることが分かります。アメリカ、ヨーロッパ各国、中国、東南アジア、もちろん日本から来ているものもあります。
世界中に門戸を開いている台湾では、コストと運送にかかる時間を検討してリーズナブルであれば、いずれの国の建材でも自由に使えます。これは、日本で使う現在が8割型日本のものであるのと比べると、とても選択肢が広い。
日本では、外国の建材を使う際には、コストに加えてメンテナンスやそのサービスも含めて検討することが多く、同等程度の性能であれば日本のものを選択しがちです。台湾では、自らの国で生産している建材が限られていることもあり、世界中の建材を自由に選択できます。
アメリカナイズされている台湾
最近、殊に感じているのは、台湾の社会は、欧米、特にアメリカの強い影響を受けているのではないかということです。それは、公共の政治政策から、民間の産業界の全てに及びます。アメリカで開発されたハードやソフトのノウハウを、日本のような非関税障壁のようなものは設けず、素直にスピーディーに台湾に持ち込んでいる。それがために、多くの面で日本よりも社会が進んでいると感じるように感じます。
台湾は小さな社会ですが、世界の最先端の知識を、恐れることなく積極的に導入し、国内に展開している。その一つ一つの積み重ねが、この国の住みやすさ、自由な空気に寄与しているように思います。
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