【台湾のジャズライブ】許聰義トリオ
2024年1月、Pure Wineで許聰義トリオの演奏がありました。許聰義はぼくが台湾で最も好きなジャズピアニストの1人です。彼の演奏がPure Wineで聴けるならと勇んで出かけました。
許聰義
許聰義は、2022年に台北で知り合ったピアニストです。サックスの林奕名とのデュオの演奏でした。林奕銘がパートナーを組むのなら間違いないだろうと、聴きに行きました。英語名をBadu Gurasといい、一体何者なのだろうと不思議に思いました。
演奏が始まると、彼がとんでもないヴィルトゥオーゾだということが分かり、とても驚きました。次から次へと、複音の美しくも激しいフレーズが繰り出されてきます。林奕明は許聰義のことを、彼がジャズを学び始めた時に衝撃を受けた、大先輩であると紹介していました。
許聰義は、台湾のジャズ界ではシニアに属する世代で、ジャズピアニストの重鎮なのだそうです。台湾国内でクラシックピアノを学び、その後独学でジャズピアノをマスターしているとのこと。多くのミュージシャンが海外留学を通して自らのキャリアを積んでいますが、彼はその道は選ばず、国内で研鑽を続けています。
Badu Gurasという英語名は彼の本名なのだそうです。台湾原住民のタイヤル族出身であることから来ていて、この様に発音するとのこと。原住民のミュージシャンは歌手はたくさんいますが、ピアニストという例は寡聞にして知りません。彼のピアニズムの特徴は、この出自にもあるのかもしれないと思っていますが、まだ印象での話でしかありません。
葉庭均
葉庭均は、この日のライブの1ヶ月前、2023年12月の"動物之森クリスマスライブ"の際に面識を持ったドラマーです。彼はベースの陸荃、ピアノの吳昱辰とChill Trioで演奏しており、この日はピアノの吳昱辰が参加できないため、許聰義にピアノをオファーしていました。
クリスマスライブの時も感じましたが、彼のドラムはとても紳士的な感じがします。ドラムの演奏はとてもダイナミックなので、音楽全体をコントロールできる力があります。テンションを上げたり下げたり、テンポについても早めたり遅くしたり、オーケストラの指揮者の様に振る舞うことができます。しかし、彼のドラミングはその様な起伏、スピードの変化は最低限にとどめ、その中での音楽の表現を模索している。どこか、内省的な感じがします。
葉庭均のFBホームページ
陸荃
陸荃は、女性ながらとてもパワフルなベースを弾くベーシストです。その勢いある、スタミナに溢れる演奏でベース音が奏でられると、アンサンブルの演奏はとてもダイナミックになります。
彼女に初めて会ったのはジャムセッションだったのですが、そのパワーとタイトなリズム感に、とても演奏がしやすく、エネルギーをもらったのを覚えています。
陸荃と葉庭均のコンビは、Chill Trioで演奏を続けているからでしょう、呼吸もバッチリで、アップライトピアノのため後ろを向いてしまっている許聰義に対して、2人でアイコンタクトを取りながら、的確に演奏に加わっていました。ピアニストとして、こんなベースとドラムとトリオを組めれば、こんな頼もしいことはありません。
陸荃のFBホームページ
Pure Wine
Pure Wine は、吉林路にある小さなワインバーで、毎週金曜日にジャズライブが開かれています。20人もリスナーが入るといっぱいになるとても小さなスペースですので、ミュージシャンの様子を目の前に見ることができ、とても臨場感のある演奏を楽しむことができます。
供されるワインもとても美味しいですね。このスペースでジャズを聴きながら過ごす夜は、とてもゴージャスです。
I’ll Close My Eyes
Bluesette
Tea for Two
Polka Dots and Moonbeams
So Tender
You Look Good to Me
Very Early
Everything Happens to Me
Desafinado
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