Dominantの連続は、まるで階段を降りる様
以前に"アンサンブルのジャズピアノは引き算で"の記事を書いた時に、コードノートは3度と7度のみで演奏することができると書きました。これを実践していた時に、もう一つ気がついたことがあります。それは、Dominantの連続は、まるで階段を飛び降りる様だということです。
Rhythm Changeのコード進行
"Moose The Mooche"の進行は、Rhythm Changeと呼ぶそうで、定番のコード進行です。この曲のBパートに、連続したDominantの進行が現れます。ローマ数字の機能和声で表すと、次の様になります。
Ⅲ7/Ⅵ7/Ⅱ7/Ⅴ7
Ⅲ7から5度進行を繰り返して、最後はⅤ7からトニックに解決しています。この定番の進行は、3-6-2-5とも呼ばれています。
このコード進行は、ルート音に着目すると5度進行の繰り返しですが、3度音と7度音に注目すると、これは順に半音づつ下がってくる音使いになります。
例えばこのキーB♭の進行、D7/G7/C7/F7ではこの様になります。
C+F♯/B+F/B♭+E/A+E♭
7thコードの連なっている部分では、綺麗に半音づつ下がっています。
I Real Bookにある"Moose The Mooche"のコード進行は上記の様で、ドミナントの連続になっていますが、僕がレッスンを受けた際の"Moose The Mooche"のリードシートは、それぞれのドミナントをⅡm7-Ⅴ7に分割しており、下記の様な進行になっています。
Am7/D7/Dm7/G7/Gm7/C7/Cm7/F7
この場合の3度音と7度音の連続は、下記の様になります。
C+G/C+F♯/C+F/B+F/B♭+F/B♭+E/B♭+E♭/A+E♭
こうなると、階段を両足で飛び降りるのではなく、左右で交代に1本づつ降ろしてくるイメージになりますね。
上の図で、赤の実線はトライトーン、赤の破線は完全4度或いは完全5度音程、黄色の矢印は半音下がる進行を示しています。
Dominantの連続だと、赤の実線からすぐ下の赤の実線に両足で一度に飛び降りるイメージです。Ⅱm7-Ⅴ7の場合、右か左の片足が先に降りて、次にもう片方がついてくる、階段を左右交互に一段づつ降りるイメージです。
ちょっと思ったのは、この、階段を降りてくるイメージというのは、ギタリストにとっては自明のことなのかもしれませんね。フレットを順番に移動するイメージはこの階段の図によく似ている様に思います。違いはギターの調弦は隣同士が完全5度音程になっているので、トライトーンの場合斜めになるというところでしょう。
ピアニストにとっては鍵盤が水平に動くので、この様なイメージにはなりづらいです。