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【台湾の面白い建物】日月潭向山遊客中心
暫く前に合歡山登山に連れて行ってもらった際、帰りに台湾の友人がわざわざこの建物を僕に見せるために立ち寄ってくれました。以前日月潭に行ったことはあったのですが、この建物の場所に行く足と時間がなかったので諦めていたので、この友人にはとても感謝しています。
設計者、團紀彦
この建物は日本人建築家、團紀彦氏が設計したものとしてとても有名です。氏はこの建物の設計でで高い評価を得、後に桃園空港の改修や台中の屋外劇場などの計画案を次々と受注しています。
日月潭向山遊客中心
建物は、日月潭の観光の中心街からは西南方向にだいぶ離れたところにあります。ですので、バスで来たときにはアプローチできなかったのですが、ここは日本でいうところのドライブインの様なものですね。たくさんの駐車場があって、マイカー客と観光バスの客で賑わっていました。
この建物の特徴は平面的にも断面的にも曲線を大胆に使った造形と、この形を表現する杉板型枠によるコンクリート打放しの外壁工法にあります。
この工法は日本で計画と監理業務をやったことがありますが、コンクリート打設時に細心の注意が必要なことと、杉板の割り付けをきちっと計画しておかないと出来上がりが美しくないこと。設計者にも施工者にも難易度が高い工事です。
その難しい工事を、このような複雑な曲面な建物に採用し、それを綺麗に作り上げた建築家と施工会社に脱帽しました。
僕がやっている仕事では、日本ではこうですと言ってもなかなか台湾ではそのまま実行することが困難な場合が多いです。ですので、この様な工事が実現して、日本と同じ様に施工され、綺麗なまま今も使われているというのは、同業者から見るととても凄いことです。
まず、建築家の工事段階での図面チェックがしっかりしていること。それはチェックだけではなく,施工者に厳しくそれを要求しているのだと思います。
次に、この工法を採用するにあたって工事の際に必要な注意事項をきめ細かに伝えていること。これは、設計をしていただけではダメで、施工の現場のことをよく知っていなければなりません。そのためには、建築家による説明だけではなく、もしかしたら日本の建設会社からこの工事についての専門家を連れて行ってプリーフィングないし,工事の直接の指導をしているのかもしれません。
建物の一角にはこの工法のことを詳しく説明するパネルもありました。それだけ,この工法のことは特記すべき内容だということです。
そして、実現した空間はとてもダイナミックなものでした。建築家はこの建物が有機的に大地から立ち上がっているとイメージしています。そのためにこの杉板型枠の打放しコンクリート工法を採用しています。そしてその意図は、建物全体を人口の丘に見立てるヴォリュームデザイン、スロープにより2階に登れる計画、全面的に採用している屋上緑化などの要素によって、とても上手く処理されています。
外壁塗装の打放しコンクリートは適切な撥水材処理のため、完成から10年は経っているにもかかわらず、とても綺麗なままです。雨がかりは避けられない断面形状なので、常に雨にさらされているにもかかわらずこの状態であるのは、施工管理がとても行き届いていたという証拠です。
團紀彦さんと、監理業務を行なった建築士は、台湾の地でこの設計を実現するために、相当な努力をしたはずです。その努力の結果を見て、自分の仕事もさらに頑張らなくてはいけないと、とても勇気づけられました。
これはそんな素晴らしい建物です。
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