【台湾のジャズライブ】林亮宇カルテット
僕が待望している林亮宇がリーダーのカルテットの演奏が、2023年11月Rhythmscapeでありました。2年前に台北ジャズフェスティバルで聴いたのとは全く異なったミュージシャンの組み合わせによるものでした。ポイントはメロディーを担当するフロントがバイオリンということです。
前回のサックス蘇聖育をフロントとした演奏は、下の記事で紹介しています。
林亮宇
林亮宇は、台湾で僕の好きなピアニストの1人です。大学ではクラシック音楽をマスターして、コンサートピアニストとしても活躍しているピアノ演奏の実力者が、作曲とそしてジャズにも踏み込んで自分の音楽を作り続けている。台湾の多くのジャズピアニストがアメリカやヨーロッパへの留学をステップボードとして大成しているのに比べて、林亮宇はクラシックの素養をベースに独自に自分の音楽を作り続けています。
彼は自分のことを"旋律の職人"と呼んでいます。美しいメロディーを紡ぎ出す職人。彼のオリジナル曲を聴くと、この自称のニックネームはとても相応しい様に思います。ジャズの名手で即興演奏がとても素晴らしいのに、オリジナル作品のメロディーが全く思い浮かばないというピアニストもいます。一方、メロディーメーカーとして名をなしていても、テクニカルには普通というピアニストもいます。その点、彼はラフマニノフの様な、華麗なピアノのテクニックとメロディーメーカーとしての作曲の才を合わせ持つ、稀有な音楽家だと思っています。
林亮宇のFBホームページ
張浩晨
張浩晨のバイオリンの演奏は、この回で初めて聞きました。林亮宇の紹介によると、彼は台北芸術大学で一緒に音楽を学んだ同級生なのだそうです。現在は嘉義をベースに音楽活動をしており、音楽を教えるかたわら、ジプシージャズをライブで演奏しているとのこと。それで、林亮宇が彼の曲のメロディーを表現するバイオリニストとしてこの張浩晨を指名したのですね。
彼のバイオリンの音は、とても骨太で力強く響いてきました。林亮宇の曲のメロディーはシンプルで印象的なものです。その様な彼の曲には、この様なバイオリンの音が相応しい様に思いました。
王群婷
王群婷はこのnoteでもたくさん紹介している、台湾の人気ベーシストです。
今回の演奏では"波屁貓"という曲で、猫がベットの上で転げ回る様子をベースで表現してくれという作曲者のリクエストに、上手く応えていたのが印象的でした。
王群婷のFBホームページ
林俊宏
林俊宏は、今台湾で最も多くのギグをこなしているドラマーです。林亮宇とのコラボは初めての様に僕は思ったのですが、林俊宏によると過去他のミュージシャンのプロジェクトで一緒に演奏したことはあるそうです。ただ、林亮宇をリーダーとしたプロジェクトは初めてだったとのこと。比較的クラシカルなアプローチの彼の曲に、少し戸惑ったと言っていました。
林俊宏のFBホームページ
Rhythmscape 享象
台北で、とてもシンプルに音楽だけを提供するライブハウスです。食事はなく、飲み物だけ簡単なものを提供しています。そのため、このライブハウスに来るお客は皆音楽を聴きにきています。他のライブハウスでは、演奏の最中おしゃべりが絶えないという様なことも良くありますが、このライブハウスに限ってはそんなことはありません。100%のお客が音楽演奏に集中して聴いています。そんなライブハウスなので、ミュージシャンの評判はとても良いですね。