あなたが見る世界、私が見る世界

草間彌生(くさまやよい)さんという女性を御存じでしょうか?
画家であり立体造形も手掛けてファッションデザイナーもしつつ、小説家やパフォーマーでもある、「前衛の女王」の異名を持っていたマルチ女性芸術家です。現在九〇歳です。
皆さんは。
さぞや「才に溢れた知的な女性なんだろうな?」と思われるでしょう。

ところが。彼女は少女時代から統合失調症に悩まされており、「幻聴」や「幻覚」に悩まされて生きてきた女性です。
彼女が描く絵画は、「幻聴や幻覚から逃れるために、『その幻聴や幻覚』を描いて閉じ込めた」とされています。
つまり「彼女の目に映った現実(幻覚)」を描いていたということになりますよね。

ここで、有名な画家であるゴッホの逸話を思い出しました。
「ゴッホの描く絵は、彼自身の目に映る現実だったのではないか?」という仮説です。
もっとも。初期作品は違う作風なので、「年齢と共に見える現実が変わっていく」という考え方はピンとこない(実際は起こり得るのですが……)。
まあ。真偽のほどは定かではありませんが、「そういう噂もあった」って程度で聞いておいてください。

俺は――。
妄想力に溢れていますが、コンテンツを視聴する際に「非常に難儀」していることがあります。
それは、『キャラクターの名前を全然、覚えられない』ことです。
え! 「痴呆症」ですか? 否定は出来ませんが、十代の頃からそうだったので、多分ですが違うと思います。
「大好きなコンテンツ」の「主人公の名前」すら覚束ないレベルです。
昔に「顔を認識できない記憶障害」の人がいる、と聞いたことがあります。
私は、その亜種である「名前を覚えられない記憶障害」なのではないか? と本気で悩んでいます。

実際に。家人との会話でも、難儀します。
名前が出てこずに「ホラ。あの『***』って作品で出てる、『赤髪で温厚そうなんだけど、実は激サディストなキャラ』」って説明をします。(何故か作品名は覚えてる)
家人も慣れたものですが、流石に『主人公』の名前を覚えていないという状況までは想定できません。
しかも、作中で「サディスト的な直接描写は無い」という場合も多々ある。
ただ。主人公がとった言動の不合理性から見て、「主人公が、通常レベルを超えたサディスト」でないと作品世界が破綻する! と思った結果だったりするから難題になってくる。

ここまできたら、「いや。『小説』が一番、大変だろうに」と思われるでしょう、当然の疑問です。
この問題は、意外と簡単に克服できます。
キャラクターの名前を「記号」にして読むんです。
だから、登場人物の登場シーンを読むにあたって、細心の注意を払います。
「彼は、いつもの癖で部屋の中を歩いて考え事をしながら、テーブルの上に眼鏡を置いた」という表現があると、「神経質メガネ」という記号に置き換えます。
「『大丈夫大丈夫!』。彼女は私の心配を無視して、ズンズンと奥へと進んでいった」という表現だったら、「天真爛漫で好奇心旺盛な娘」になる。
それが、単なる慎重さに欠けた行動なのか? それとも理屈があるのかは分からないから、読み進めるうちに記号も変化させていく
だから、「何度も読まないと、ちゃんと理解できない」んですよ。

いやいや。
可哀想な人を見る目で、俺を見ないでくださいよ。
これはこれで、楽しいんですよ?
一回目の「神経質メガネ」が、読後には「滅茶苦茶に破天荒な論理的思考を行なうメガネ」に評価が変わっている場合は、二回目も初読の時みたいに新鮮に読めるんですから。
「あー。このシーンで会話に口を出さないのは、こういう意味か」
「(文章上では表現されていないが)お! 怒ってる怒ってる」
みたいに、頭の中で映像化されてくると「凄く楽しく」なる。

一回で「それ」が出来る人も多いんだろうけど、特に羨ましくもないかな?
同じ作品を「何度も新鮮な気持ちで読める」んだから、コスパ最強です。
いえいえ、嫉妬で言ってるんじゃありませんよ? そう思われても構いませんけどね☆

冒頭に話を戻すと――。
「クオリア」的な意味では同じでも、俺の視覚情報は他人の「それ」とは違うと思ってるんですよ。
冒頭で草間彌生さんを出したのは、「極端な例」として出しただけで当然、彼女と俺の見え方も違うんだと思います。
私は、「統合失調症」の診断結果を受けたことはありませんしね。
具体的に言うと。
「イデア」と「ロゴス」を含めて、すべてのものを「オブジェクト化」して世界を見て(認識して)いる。
って感じです。
うん。全っ然、具体的じゃないよね。自分でも、そう思った。

うーんと。
DTP業界にいる人になら説明できるかな?
「オブジェクト」は分かりますよね?
私は多分、「世界をオブジェクト」として認識しているんですよ。

「あいうえお」って文字列があったとするじゃないですか?
普通の人は、この「あいうえお」をアウトライン化しても、文字として認識してると思うんですよ。
※間違って「アウトライン後のデータを上書き保存」しちゃった場合は、その限りじゃないですけどね? 俺も、修正が入らないことを祈っております
でも。
私は「アウトライン化すると、ゲシュタルト崩壊を起こす」イメージです。

私の場合。
(多分)すべての事象を「言語」というDATA形式に換えて、独自に圧縮しているんですよ。
※同じZIP圧縮でも、「画像DATA」より「テキストDATA」の方が圧縮率が高いですよね? 私のは、文字特化型の圧縮形式だと思います
「家」とか「キーボード」とか、単語ですべてを認識している気がします。
皆さんにとっても、身近な例を挙げれば「駅から家までの全ての家屋の屋根の色」を全部、覚えていますか?
覚えていませんよね? 多分……。(自信がなくなってきた)
不必要な情報は取捨選択できるように、人間の脳はできてるんです。
逆に「瞬間記憶能力」の人がいますが、あれは「一瞬の画像」を脳に焼き付ける能力です。それが常時だったら、脳がオーバーフローするでしょう。

具体的に話すために、昔に作ったゲーム画像も交えてみる。
実際に。過去にゲームを作った時に、作画が間に合わず「ダミー画像DATAをキャラクターとして配置」してました。
ピンクの人型を女性。青い人型を男性にしました。
その上に「笑」という文字を置いて、ファイル名は「201.jpg」。
「怒」という文字を置いて、ファイル名は「208.jpg」。
今作ったけど、こんな感じ。

画像2

そんな調子で、エクセルを使ってファイル名と関連付けを作成して、作画担当に渡しました。
シナリオ上に必要のない絵については、セルに斜線を引きました。
クランクアップ直前に、「画像フォルダ」を作画担当の「画像フォルダ」に差し替えました。
そうすると。フォルダ内は、こんな感じになる。
この女性登場人物だけで、二六枚あります。

画像1

※左上の三つは、章の頭の背景画像です。「209.png」は、料理を食べた時に「まったりとしていて、それでいてしつこくないわ!」という選択をすると出てくる、レアグラフィックです。「コレは美味しいわっっ! ヤヌオカさん!」って感じでした。
開発中の画面はコチラ(今、画像を差し替えてみました)。

画像3

あれ?
画像サイズが違うから座標設定もズレて、なんか変な表示になっとる……。ツール制作者が想定していないであろう使い方もしてたからなあ。
でもまあ、こんな感じだった。
それで、画像フォルダを差し替えると――。

画像4

こうなる。(同じシーンですが、次の台詞に代えてます)
一気に見易くなりましたね。
でも、俺は「開発中の画面」で大笑いしながら作ってたんですよ。
実際のテストプレイは、納品日の朝にやりました。
バグが無かったのは、奇跡的だったと思っています。
※そのために、事前の指示を徹底してあったんですけどね

はい! 脱線が長過ぎっ!
本題に戻すと――。
極端に言えば、私が見ている世界は「開発中の画面」なんですよ。
いやいや。
流石に、人間が文字に見えている訳じゃありません。
ちゃんと「明らかに普段と違えば」気付けます。
でも、女性が髪を五センチ切ったくらいじゃ、気付けません。
※「顔を見れない」という、私の特性も拍車をかけているのでしょう
でも、普段は「その人の個性」で見ている(認識してる)のは確実。
ぶっちゃけ。日本中の「少しオシャレして、彼氏に気付いて欲しい全女性」を、敵に回すこと請け合い。

そういった感じで事象を「言語」として認識しているから、「固有名詞」が覚えづらいんだと思います。
人の顔も覚えられないんだと思います。
だから。
キタナカ君は悪くないと思いま~す。
『さんせー!』(私の脳内会議は、小学校の学級会レベルです)

そうです、言い訳です。
よく気付いたね、アケチ君。
おっぱい。(サブリミナル効果)

――文字打つより、ゲーム作成ツールを弄る方に時間かけたわ。ぷんすか☆

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