よって、戦後の同犯罪の成功率0%というのはおかしい
漆黒の海。
時として雷鳴が轟く。
荒れ狂う海に向かう、一人の預言者。
その姿は神々しくもあり、禍々しさを湛えてもいる。
その姿からは想像もつかない大音声で、老預言者は海に向かい叫ぶ。
「海神(わだつみ)に抱かれしトリトンの化身よ! 我が前に姿を現せ!」
なに? 呼んだ?(ハーフパンツにサンダル履きで皆のアイドル、キタナカさん登場)
「あ…あっれぇ?」
用が無いんなら帰ゆ。こっちも、そんなヒマじゃないんです~☆
「ちょ!」
何~?(不機嫌そうに、ぷにぷにほっぺを膨らましながら)
「トリトンの…化身?」
こくこく。
「世界を津波で滅ぼすほどの力を持った?」
あ、ソレちょっと無理。
「え! じゃあ?」
チューブトップ水着の「おっぱいポロリ☆」くらい…。(つぶらな瞳で)
「それって…」
どうも。
演出ゼロの舞台効果で業界騒然! キタナカ監督(別名:トリトンの化身)です。
昨日から、パソコンがご機嫌斜め。
一日で五回くらい電源が落ちた。
俺、普通に半ギレ。
「俺のパソコンはポンコツメイドロボ(♀)」という呪文を唱える。
少しだけ落ち着いた、ふう、危ないところだった。
具体的には、こうだ。
「あのあのヒロユ様っ。ご所望のエロサイトを表示しましたあ」(真っ赤)
うむ。じゃあ、画像を片っ端から保存しろ。
「えぇぇ?こんな、女性が全裸で大股広げてる画像をですかぁ?」
うちに来た時点で、お前の役割の半分はそれだ。
「はう! そんなぁ。せっかく最新のグラフィックボード載せてるのに…」
イヤならいいんだぜ。パソコンの代わりなら、買ってくればいいんだから。
「はははいぃ。頑張りますぅ」(あわあわしつつ)
<<三十分後>>
「でも、こんな画像を集めて、ヒロユ様はなにを考えてるのかしら?」
(ウェブ上の画像を開きながら)
「私に筆記させてる、副業のテキストだってエロばっかりだし…」
(所定のフォルダに画像を保存しながら)
「さて、と。次に保存するのは…っとぉ」
(俺のお気に入りの、「エロス」フォルダ内にジャンプしながら)
「うひゃわやぁぁ~! ななな何コレぇぇ?」
(「獣姦画像掲示板」に到達)
「う~ん…こんなとこにあんなモノがぁぁ」(目をぐるぐる回しながら)
「はややや、そんなの入らないですぅ! らっらめぇぇ」(頭から煙)
ブツン…。
<Black out>
みたいな感じでさ。
やっべ!
スゲー愛しくなってきちゃったよ!
これが、祭り開始の合図?
「ん…にゅぅん」(意識を取り戻した)
大丈夫か?
「はりぇ?わたひ…」(呂律の回らない口調で)
まだ寝てろ。本調子に戻るには、もう少しかかるだろ。
「はわ! すいませんヒロユ様っ! 私、作業の途中で倒れちゃって…」
いいんだ。取り敢えず体調を戻すことに専念しろ。(氷水で冷やしたタオルを額に乗せながら)
「はい…。ありがとうございまふ」(口元まで布団を引き上げ「ぽ~っ」とした表情で)
わたくし。
帰りに氷とタオルを買おうと思っていますよ? えぇ。
もし「パソコンに濡れタオルをかけてブツブツ呟いてる男」を見かけても、生温か~い目で見守ってください。
いえいえ。
皆さまがお思いなほど、キタナカは愚かしい人間ではありません。
そう!
それが原因でパソコンが壊れたら、2ndステージの始まりなのですから!
「ヒロユさま。わたし…生まれ変わっても貴方のPCになりたいな」的な。
いかん! もう泣けてきた!
――壊そうとしているとしか思えない。