ハッピーエンドの作り方【0-1】

【第一幕】「ミライとカコとノドカとパンダ店長」(会話のみ)

「バカ会話」が好き、いや大好きなキタナカさん。
今日も今日とて、三人のメイドさん(プラスα)とティータイムです。
会話だけで進行させますので、どの台詞を誰が話しているか「想像」しながら読んでくださいね。
普段の日記では、対一人で地の文を自分にすることで成立させてきたので、複数人との会話が成立するかどうかのテスト文章です。
あと、期待されてると困るんで申し上げておくと、「物語」じゃありません。「会話」です。
誰が何と言おうと、シリーズ化します。
ハッシュタグも配置する覚悟です。
数が溜まったら、(自分が)読みやすいようにマガジンにもする予定。
自分で、会話がスムーズになっていくか試してみたいんです。
最初は多分、口調とかキャラクターがブレるんだろうな? と思ってます。
ま。
前提として、少しだけ俺のメイドたちの紹介もしておきますね。

【キャラクター】
・俺:パンダな店長
・ミライ:メイド長。黒髪ロングで、メガネ美人。黒のヴィクトリア朝メイド服。科学信奉者。
・カコ:栗色ツインテールの「おバカ」娘。緑の和風給仕服をアレンジした感じのメイド服。オカルト信奉者。
・ノドカ:銀髪ゆるふわショートの「おっとり」娘。身長は小学生並み。眼は「金」と「赤」のオッドアイ。アキバ風のショート水色メイド服。感情の起伏が激しい。
・ヒジリ:存在「X」。(後に登場予定)
※設定を細かくした方が、動かしやすい。コレ鉄則

「おーい。全員、俺の元へ集合しろぃ! 最後になった奴は、『今日一日ノーパンで過ごす』権利を与えよう!」
「私めをお呼びですか? 店長」
「うおっ! 早いなミライ。逆に、俺がビックリ失禁してノーパンデーを満喫するコトになるとこだったぜ」
「無礼を承知で申し上げますが。店長は、いつもノーパンではないかと思いますが……」
「あ、そうか。俺が身に付けてるのは店の青いエプロンだけだったな。……ということは、『裸エプロン』! 萌える!」
「まあ、そういうことになりますかね? でも、ヨダレをお拭きください」

「うわーん! パンツを穿かないなんて、あんまりですよう。セクハラですよう、『オージンジ、オージンジ』ですよう。わたしが最後じゃありませんように~!」
「落ち着け! んで、最後にサラッと怖いこと言うな! 大丈夫だノドカ。カコが、まだ来てないからな」
「良かったですう。でも、カコさん遅いですねえ」

「とうっ! 華麗なフォームで三回転半ひねりで見事な着地! カコ、ここに参上ッス」
「はい! 君は一日中ノーパン決定! さあ脱げ、すぐ脱げ、今ココで!」
「了解ッス!」
「いやいや。いきなり、スカートを捲り上げるな!」
「店長が何を言いたいのか、カコはサッパリ分からないッスよ? スカートを上げないとパンツが脱げないッス……」
「うーん……。そこはこう、だな。『羞じらい』とか、『モジモジ感』とかがあって然るべきでしょ?」
「カコは、店長の指示に従っただけなんスけどねえ」
「ふくらはぎまでパンツを下ろしかけのまま、直立すな!」
「?」
「いや。それはそれで、俺的には大好物だけども……。『あっけらかん』とし過ぎなんだよ、カコは!」
「まあ、穿きますけど……。店長は『難しい、お年頃』って奴ッスかね?」
「なんとでも言え。なんか萎えたわ」

「で、集まってもらったのは他でもない。今日は、みんなでティータイムを楽しもうではないか!」
『?』
「いや。俺たちって、一人ずつでは会話してるけどさ。みんなで話すのって、珍しいじゃない?」
「私めは、特に職務上に会話の必要性を感じていないのですが……」
「カコは大賛成ッス! 店長はカコの膝の上に乗るといいッス」
「こらこら! その手は何だ? 『モフる』気満々じゃねーか!」
「わたしも、みんなと一緒にお話がしたいですう」
「しようが、ありませんね」

「よし。じゃあ、『お題』を決めようか。なるべく、ザックリしたカテゴリで適当に言ってみて」
「では、僭越ながら私めから。『紅茶の美味しい淹れ方』などは如何でしょうか?」
「却下!」
「なぜですの?」
「いきなり『ザックリ』な話題じゃないじゃねーか、ビックリしたわ! もっと『ふわっ』とした感じのお題をプリーズ!」
「じゃあ、『アンデッドモンスター』ってのは、どうッスか?」
「わたし、怖い話は苦手なんですよう。『お花』とかでどうですか?」
「ハイ、『アンデッド』で決定! なぜなら俺が、『怖がってるノドカを見たい』から!」
「店長ってば、ヒドいですー!」

「じゃあ、アンデッドについてな。和訳すると『不死者』か……。この場合は、『レイス』とか『スペクター』みたいなアストラル体っぽい奴は除外するべきだろうな。触れる奴という限定で話していこう」
「アストラル体! 私めの前で、そんな非科学的な話はやめてください!」
「いやいや、そんな怖い顔するなって」
「了解ッス、店長。大体『ゴースト』を不死者って、『お前、もう死んどるやんけー!』って感じッスからね」
「わたしは、絶っ対に聞きませんよー! 怖い話を聞くと、夜トイレに行くときに怖いんですから……」
「はいはい。『ごたく』はいいから、さっさと始めようぜ」

「カコはッスね、アンデッドは二種類に分けれると思ってるッス」
「ほほう。興味深いな」
「『リッチー』とか『ヴァンパイア』は、上位アンデッドだと思うッス」
「なるほど。知的であるアンデッドという解釈だな。それで――」
「ヴァンパイア! 小説『ドラキュラ』に出てくる怪物であるところの吸血鬼! でも、その名前は実在するヴラド・ツェペシュ公に由来するが、敵兵を串刺しにして晒すことよって相手に恐怖を与える効果を期待しただけで、実は良い領主だったという話も耳にするから、決して吸血したり永遠の命を持つ存在ではなく――」
「おい! 大丈夫か? なんか、目がグルグルしてるが……」
「大丈夫ですか? ミライさん?」
「大丈夫ッスよ。カコと話してると、ミライは時々こうなるッスから」
「そ……そうなのか? まあ取り敢えず、そっとしとこう」

「じゃあ。下位アンデッドってのは、『ソンビ』とか『スケルトン』等の、知性がないアンデッドってことになるのか?」
「その通りッス!」
「あーあー! 聞こえない聞こえないー。もう話は終わりましたかー?」
「耳を塞いでたら、『終わった』って言っても聞こえないだろうに……」

「話を戻すと。『ミイラ』や『グール』は、どう解釈する?」
「そうッスよね。だからカコは最初にアンデッドの定義付けを「上位」と「下位」にしてみたんスよ」
「?」
「そもそも、アンデッドって『不死者』ってことじゃないッスか?」
「そうだな」
「普通の分類だと、『普通の人間が蘇って不死化する』パターンと、ヴァンパイアみたいに『元から不死の存在』というパターンに分類するッス」
「ああ。単純にミイラって言っても、包帯グルグルなエジプトの王様がメインイメージだけど、日本の即身仏もミイラである……と」
「ミイラは一定の条件下で白骨化しなかった死体の総称で、モンスターじゃない。そして、当時のエジプトの死生観では『肉体が滅びても魂は滅びない』という考えに基づき、王は死に際して脳を鼻から摘出するなどの独自の技術を用いて王の肉体を復活の日まで残そうとした。復活の際には臣下も必要であるため、多くの人間が王と共に生き埋めにされた――。片や入定ミイラは、五穀断ち・十穀断ちを経て水ごりを行ない身を清めてから、土に入定して衆生を救おうとした仏僧の行為。この行為は、仏教における「炭水化物を不浄である」とする考え方に起因する。しかし、実際的な効果としては脂肪等の腐食性の高い食物を摂取しないことによって、肉体を腐食しにくい状態に持っていくという意図が含まれている。そもそも肉食を是としない仏僧は蛋白質も不足しているため、十穀断ちによって骨と皮だけの存在に近づいていく。入定する際にも、乾燥した空気を持つ場所を選んだであろう。鉦を叩いて生存確認を行ないつつ極限まで肉体を削ぎ落していくことにより、腐敗しないミイラ化することに――」
「おい! なんか、ビンから錠剤を直でザラザラ飲んでるけど、大丈夫なのかコイツ?」
「ミライは、怖がり屋なんスかねえ?」
「いやコレ、なんかヤバい感じになってきてるんだけど!」
「大丈夫ッスよ」

「こほん――、話を戻すと。ファンタジー世界のミイラは、姿は包帯塗れのエジプト風なんスけど、知性は無いように表現されることが多いッス」
「話は終わりましたー? 終わったら、声をかけてくださいよう?」
「――だから。エジプトや日本のミイラは知的存在なハズなんスけど、通念的な意味でミイラは下位モンスターってことになるとカコは思うッス」
「無視しないでやれよ。――でもまあ、そういう分類になるわな」

「店長は鋭くて、実は一番ややっこしいのが『グール』なんスよ」
「え! そうなん? グールって『屍食鬼』って表記されるから、ゾンビとの棲み分けについて聞いたつもりだったんだが……」
「グールは本来、生物……ってか、普通のモンスターなんスよ。ただ、『死体を食べて生きている化け物』ってことッス」
「そうなん?」
「でも。後発の有名どころが、アンデッドモンスターに定義付けしちゃったんデスよ」
「なるほど。『ツンデレ』の定義が曖昧になっていった、とか『日本の変態と、海外のHENTAIは違う』とか、そういう意味だな?」
「? えと、意味は分からないッスけど、多分そうッス」
「エッチな話は禁止なんですー!」
「なんだよ、聞いてるんじゃねーか! 驚かすな!」

「もー! 店長もカコさんも、話に夢中になりすぎなんですよう。ミライさんを見てあげてくださいー!」
「グールが一匹、グールが二匹。グーグルの検索システムは優秀で、私めの目はグ~ルグル……う~ん」
「おわ! 普段からは想像もつかない錯乱っぷり! 写真撮っとこうぜ!」
「んもう! 店長ってば。『メッ』ですよう」
「カコは、続きを話したいッスけど……」
「カコさんもカコさんです! 店長と話し込んでメイド長を見殺しに――」
「ヤだ、この娘。怒ると、めっちゃ早口で喋れてる……」
「いや、ミライ死んでないんスけど……。ノドカって思い込みが強いタイプだったんスね」

「そもそも。最初の前提から外れて、カコさんとばっかり話してるじゃないですか」
「そう言われてみれば、そうッスね」
「メタ発言、いくない」
「と・に・か・く! カコさんはミライさんをベッドに運んでください」
「え、えと了解ッス!」
「店長は――。ちょっと、そこに正座してください!」
「なに、この娘。二重人格? すごくこわい」
「急に平仮名喋りしても、ダメです!」
「だから、メタ発言は――」
「Shut up! 言い訳は聞きませんからね。覚悟してくださいね」
「あ! ノドカの後ろに、幽霊の影が!」
「ヤですヤですヤですー! 取ってくださいよう」
「ンな、服に付いた昆虫みたく言われてもなあ。っつか、こうすれば元のノドカに戻るのか! メモメモ……っと」
「やっぱり、店長はヒドいですう!」

【了】

――ミライは動かせそうだけど、ノドカは扱いが難しいなあ。(4532文字)

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喜多仲ひろゆ
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