明晰なるは我が頭脳、蒙昧たるは己が無知
酒の席にて。
「もし俺が女に生まれてたら、絶対俺のほうが美人だ」という論争で危うく殴り合いに…。
そんな、粗暴でワイルドな一面を持つタナカです。
「っせーな! 俺の父方の従姉妹は、みんなモデル体型なんだよ!」
こんな夢を見た――。
俺は、山で道に迷っている。
ほとほと困り果てていたところ。
山中に一軒、東屋(あずまや)を見つけたところから話は始まる。
その家には、老婆が一人で暮らしていた。
「おやおや。それはさぞお困りのことでしょう。こんな東屋でよければ…」
と、快く招き入れられる。
田舎で民泊とは、非社交的な俺としては信じがたい行為ではあるが、素直に好意を受ける。
テレビもない家の中で、することもなく過ごしていると。
隣室から、不思議な音が聞こえる。
「カシュー、カシュー」と。
音が気になり襖を開けてみると、老婆が大きな包丁を研いでいる。
「な、何をしてらっしゃるのですか?」と訊ねる。
「なぁに。久々の客人だから、ご馳走の準備をしようとね…。ヒッヒッヒ」
(「ベタ」だな)
あぁ、ベタだ。
※ここで、何故かナレーションと対話モードに
(「山中」の「民家」に「老婆」で「包丁」ときたら『アレ』だよな)
うん、十中八九「アレ」だろうな。
(逃げるか?)
逃げる…べきだろうな。
(おい!ちょっと待て!!)
?
(この家に、女子大生のグループが迷い込んできつつあるぞ!!)
なんかさ。
(?)
コレって夢だろ、どう考えても。そしたら女子大生が来たら、イイ事できるんじゃね?
(そだな。お前が「そうと気付いた」んだったら、デキるだろうな)
ひゃっほ~い!
…というところで目が覚めた。
あぁぁぁぁぁっ! これから私たちはE感じ~♪ だったのにぃぃ!
しっぽりと濡れそぼつ予定だったのに!
「あぁんッ私ってば犯されてるのに今までに無い快感の波に身も心も攫われてしまいますぅ☆」だったのに(予定)。
絶対に許さないYO!
こいつは「明晰夢」という奴だ。
夢の中で「これは夢だ」と気付くことによって、夢の内容をコントロールできる。
俺の場合「夢のナレーションと話してる不条理」がスイッチとなって、夢だと気付いた。
それでも。
大抵の場合は、夢の中における不条理に気付けず夢のまま終わってしまう。
訓練すると、ある程度以上の確率で明晰夢が見れるそうだ。
残念ながら、俺の場合はレアケース。
何度か、夢だと気付いて空を飛んでみたりオバケを退治した事がある程度。
それを!
明確に「エロ」に振れてる明晰夢は初めてだったのに!
千載一遇のチャンスだったのに!
くっそぅ…。
そんなこんなで、エロい夢を見損ねて不機嫌な俺なんですけど。
「いい年こいて、なにやってんだか…」なんて思うなよな。
キタナカのお兄さんと君との約束だぜ!
――お婆さんに犯される可能性も無視できない。なぜなら、そう! 俺も、また特別な存在だからです。
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