「くまさん」の葛藤と内的矛盾

童謡「森のくまさん」。
疑問を感じたコトがある人は、私以外にもいるはずです。
「逃げろ」といいながら「とことこついてきた」上に「落し物を届ける」。
君は何をしたいの?
「怯えて逃げる女の子が見たかったんです」とか、性犯罪者の言い訳みたいなコトか?

いやさ。
大人になった今なら、くまさんの奇矯な行動に説明が付けられるかも。
それでは。
くまさんの気持ちを考えてみましょう。

1.あるひ もりのなか
 くまさんに であった
 はなさく もりのみち
 くまさんに であった

お、ハクいスケ(死語)が歩いてるじゃねーか?
肉も柔らかくてウマそうだな、ヲイ。
はっ、イカン!
俺は、人間と共存しようって決めたじゃねーか!
平和的にLOVE&PEACEだよ、コレだよウン。

2.くまさんの いうことにゃ
 おじょうさん おにげなさい
 スタコラサッサッサのサ
 スタコラサッサッサのサ

ダ……ダメだ。
理性が薄らいできた。
食いたい……。いや、イカン!
お願いだ、お嬢さん! 逃げてくれ、俺に理性がある内に!

3.ところが くまさんが
 あとから ついてくる
 トコトコトコトコと 
 トコトコトコトコと

ふぅ。ハチミツ舐めたら、やっと落ち着いたぜ。
やっぱり人間との共存は無理なのだろうか……。
いや!
このままじゃダメだ!
アレ? これは……。
よーし! なんとか理性も取り戻したし、コレを機会に人間と仲良くしていこう!

4.おじょうさん おまちなさい
 ちょっと おとしもの 
 しろいかいがらの
 ちいさなイヤリング

ふぅ。
俺も、やれば出来るじゃねーか。
こうやってコミュニケーションを積み重ねるコトによって、関係ってのは構築されていくんだよな……、うんうん。

5.あらくまさん ありがとう 
 おれいに おどりましょう
 ラララ ラララララ
 ラララ ラララララ

ぐ……ぐあっ!
抑えていたモノがぁ!
やめろ、やめるんだ俺!
目の前にいるのは知的存在であり、俺が仲良くしたいと思ってる娘さん…。
娘……いや、肉?
肉か? そうだよな、うん!
もういいや、ガブーッ!
うんめぇぇぇ!
アレ……でも、どうしてなんだろう?
涙が止まらないや……。

――くまさん……。

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喜多仲ひろゆ
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