他人に羨まれるコンプレックス

具体的に挙げると。
代表格は、過去に書いた「巨乳」とかかな?
まあ「巨乳」の方が深刻かもしれないけど、俺も「一定の確率で羨ましがれる」コンプレックスがある。
※俺の場合は、「矯正の余地があるから」だ。詳しくは、下記

それは――、俺が「左利き」であることだ(厳密に言えば違うが、後述)。

実際バレないように注意しているが、ふとした所作で気付かれてしまう。
咄嗟に出る手とか、ライターを使う時とかにね。
今でこそ直筆で文字を書く機会なんて殆ど無くなったが、会食の時とかはバレてしまう。そりゃそうだ。
※でも。ナイフとフォークは、ちゃんと右利きで使えるよ。えへんぷい☆
「へえ、左利きなんだ。なんかカッコイイよね?」と言われる度に、心のどこかが「チクッ」ってなる。
「そんなに良いもんじゃねーよ」と、心の中で毒づく自分が嫌いだ――。

世の中は、「右利き」用に出来ている。
「左利きの人の方が寿命が短い」という統計データがあるが、理由として「生活していく上で、細かいストレスが溜まるからである」という説もあるくらいだ。
具体的に言おう。
・ハサミが使えない(これは有名。早い時期に「左利き用ハサミ」が出た)
・外食する時に、座る席を無意識で探す(他人の右側に座れない)
・黒板に文字を書けない(みんなが不快に思う、イヤな音が出てしまう)
・顔料インクのボールペンは無理(一番、理解してもらえないストレス。「左利き用ボールペン」がある、とアニメ「ぼくたちは勉強が出来ない!」で知った。俺は、会社員時代は「マイボールペン」を持ち歩いていた)
・その他、たくさん

「はあ?」と思われる方は、試しに電車の自動改札を「左手でタッチ」して通過してみて欲しい。
もっそい窮屈になるはず。
旅行先とかだと、もっと大変。
一度バッグを地面に置いて左手に持ち返したりして、後ろの人に舌打ちされたりすると居たたまれない気分になる。

でも。実は、問題の本質は「そこ」じゃない。
これは、俺だけが抱えている問題だ。
俺は「右利きでも左利きでもない」人間なのだ。
それを説明すると、更に羨まれる。
「凄~い。両利きなんだ!」って言われる。

「君は何を聞いていたんだ! 両利きじゃなくて『右利きでも左利きでもない』んだよ!」と言いたくなるが、そこは我慢して愛想笑い。
「この人は謙虚だなあ」と思われるんだろうな? と自己嫌悪。
長々と書く話でもないから、結論ね。

俺は、「『細かい作業』は左手でしか出来なくて、『力を入れる作業』は右手でしか出来ない」のだ。
だから。鉛筆や箸を持つのは「左手」。工具を使うなど力を入れることや、スポーツ系のことは全部「右手」
俺は自虐的に「『技』の左手、『力』の右手」と呼んでいた。

黒板に書く時は、右手を使わざるを得ない。(「引っ掻き音」防止の為)
「書道」や「ハサミ」は、右利きに矯正した。
それが悪筆でも、反応は「へー、右手でも黒板に書けるんだ。器用だねえ」か「左利きだから、しようがないよね?」というものだ。

俺も反骨精神の塊みたいな人間だからね。
無理やりに矯正するのは無理だから、「右手を器用にすれば、右利きになれるかな?」と思ったさ、「天才」だからね。
だから、敢えて右手で「ペン回し」を練習し始めた。

説明が難しいので「ペン回し 種類」でググったら、上のページが出てきた。技の名前もあるらしいので、それを使わせてもらおう。
最初は「ノーマル」から始めた。
次に、「ソニック」を覚えた。小指から人差し指までスムーズに移動するまで練習した。
「ガンマン」は、知らなかったので練習しなかった。
「ソニック」は工夫次第でバリエーションが出来るので、「ノーマル」でキャッチする指を小指にすれば、そこからソニックに繋がる。うん、楽しい。
リンクページによると、それを「コンボ」と呼ぶらしい。
「パス」を覚えたら、幅が格段に広がった。
最終的には、リンク先の一番下の動画「ペンスピニング ビギナーコンボ」くらいまでは出来てたと思う。
当時は無かったトリックも混ざっているが、滑らかさで言えばこれくらい。
ここまでくると。
左手でシャーペンを持って板書しながら、右手で「ノーマル」「ソニック×2」「パス」で永久ループするコンボを無意識でできるようになっていた。

さぁ。
ここからが「トラウマ体験」の始まりだ!

とにかく、先生の「受け」が悪かった。
今でこそ「カッコイイ」とか「スキルアップ+」とか、上記リンクでは謳っているが「うんこ召し上がれ(上品)」だ。
当時、ペン回しは「浪人回し」と呼ばれていた時代だったんだ。
※多分、「勉強に集中できないから、ペン回しをして気晴らしをするから浪人する」というイメージだろう……
「怠惰」の象徴的行為だったのだろう。
生徒が授業中に「ペンをくるくる回している状態」は教師から見れば気に食わないだろう。
うん、分かる。
しかも、左手で勉強しているフリをして見えるからタチが悪い。
※実際は、無意識に右手を器用に動かしながら勉強すると、凄く捗る。でも、お子様にお勧めしない方が良いと思う。普通に怒られます(後述)

中間や期末テストで九七点を取っても、通知表は十段階で「六」だった。
※これが最高ギャップ記録だったので、先生の顔までハッキリ覚えている
「黙ってればオール七」の異名を取る低偏差値公立中学だったが、俺の受験時の内申点は「二〇〇点満点で一四〇点」だった。
つまり、「オール七」だ。何も勉強しないで、黙ってる人と同じ評価。

全教科九五点以上で、「オール七」。
教師が産休に入った際の代わりの先生が、産休明けまでに三人代わるような学校だ。女性教師の髪を引っ張って、教室中を引きずり回すような学校だったからなあ。
そんな学校で、この成績は異常だ。
いや、むしろ「偉業」と言ってもいいだろう。

放課後の自由勉強会は教師が教えるハズなのだが、「キタナカ、教えとけ」って言って先生は帰り、俺が他の生徒たちに勉強を教えていた。
それでも「オール七」だった。
学校内で札付きの不良たちに、「数学を教えてやれ」と先生から言われた。
彼らはオートバイで校内を走り回るわ、教師をボコボコにして骨折とか日常茶飯事の生徒たちだ。
小学校まで遡って教えて、先生たちを見返してやろうと躍起になった。
しかし。彼らは「九九」から分からない状態だったので、手も足も出なかった……。悔しくて涙が出た。彼らは俺に対して心を開いて勉強と向き合おうとしているのに、教えられない自分が腹立たしかった。
なるべく悟られないように、下を向きながら鼻声で「ゴメン……」としか言えなかった。
彼らは、申し訳なさそうな顔をして赦してくれた。
そこまでしても、先生の中での俺の評価は「オール七」だった。

教師に「特別席」を作られた。
通常は、生徒の席は縦横のブロック状に配置されますよね?
俺の席は、そのブロックから前に飛び出した「教壇の横」の特等席だった。
えへんぷい☆
ストリップ劇場で言えば「カブリツキ」って奴だ。
俺の何が悪かったかは思い出せない。(ペン回しに端を発していることは確実だが、そこまですることなのかなあ? もっと致命的な悪さをしたのかも知れない。あ! 「顔を見て話しなさい!」って、頻繁に怒られてたかも)
次の段階では、机の向きを逆にされた。
「黒板が見えずに、生徒全員と対面している」状況だ。

「これじゃ、板書できひんやん!」と思ったが、素直に従った。
背中から聞こえる先生の声と、教科書で勉強した。
見えない黒板側から、先生に「キタナカ、ここの問題を解いてみろ」と声を掛けられる。
振り返ると、まあまあ長い数学の証明問題だった。
初期アプローチさえ分かれば、あとは考えながら解けたので事なきを得た。

――と、思っていた自分の浅はかさが呪わしい。
「教師の『怒りの炎』に薪をくべる」行為だった、と今なら分かる。
その結果の「オール七」だったのだろう――。
実際に、授業参観の時にペン回しをしてた(らしく)、母親にめちゃくちゃ説教されたし……。素行が悪かったんでしょうね。
母親は俺の「テスト結果」を見るのは楽しみにしていたが、「通知表」は説教の対象だった。今でも意味が分からん……。

愚痴が続いてしまった、スミマセン……。
えと。
ペン回しを納得できるまで練習した後、右手で文字を書こうとした。
全然、前と変わらず書きにくかった。
ならば、と左手でペン回しをしてみた。
全然、思ったようにペンが回ってくれなかった。

ここで、一つの結論を得た。
俺の右手は「力」担当だが、「ペン回し」という特殊な器用さは持つに至った! という、なんにも前へ進むための行為は出来ていない、という事実。
途中から楽しくなっていたのは事実だが、あんまりではないか!
自分が不器用な人間だとは知っていたが、ココまでとは思わなかった。

結局。
俺は「右利きの人よりも左手が器用」で「左利きの人より右手が器用」な存在になった。
逆に言えば、「左利きにしては、左手が不器用」で「右利きにしては、右手が不器用」ということになる。
それを、無理やり数値化すると。
右利き=左手20:右手80
左利き=左手80:右手20
俺=左手50:右手50
つまり、「利き手が無い」ということだ。
「器用貧乏」という言葉があるが、俺は「不器用貧乏」だ。

参考までに申し上げると、当時は腕力が強かった。
腕相撲で「クラスで二番」くらいだった。
でも、一番にはなれない。
その代わりに、左右両腕とも俺に勝てる奴は居なかった。
「両腕とも、クラスで二番」ということだ……。

俺みたいに卑屈にならずに、「左利き」を武器に出来ている人間も一定数いるのだろう。
むしろ、俺が「気にし過ぎ」という意見が大多数だろう。
でも、本当に結構コンプレックスなんよ?

あなたの知り合いが「左利き自慢」をしてきたら、褒めてあげてください。
多分、コンプレックスの裏返しだから。
でも。
「あれ? この子、左利きだったんだ!」と思った時には、「へえ、左利きなんだー」くらいで話を切り上げてあげてください。
本人が「結構、大変なんだよね」って言ったら、話を聞いてあげてね。
ヒロユお兄さんとの約束だぞッ!

――意中の異性だったら、軽く「へえ、左利きなんだ」の後に「意外と大変なんじゃない?」って言うと好感度UPだYO!

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喜多仲ひろゆ
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