声音の宴3次会参加報告
5/3 大田区産業プラザPiOで開催された即売会イベント「声音の宴3次会」のサークル参加報告です。
声音の宴とは
合成音声キャラクターに関連する同人作品の即売会です。2022年からスタートし、今年で3回目を迎えます。
Synthesizer V、CeVIO、VOCALOID、UTAU、VOICEROID、VOICEPEAK、A.I.VOICE、VOICEVOX、NEUTRINO、その他合成音声ソフトウェア、もしくはその亜種キャラクターを題材とした創作物の頒布が参加資格に含まれています。
実際にはTalkキャラクター関連の二次創作品の多い即売会です。「初音ミクの存在感のない合成音声即売会」と言い換えてもそれほど不自然ではありません。
参加にあたり
キャラクターアピールを前面に
直前の超ボーマス/M3とは作戦を変え、合成音声キャラクターを前面に出しました。参加サークルも同人誌やグッズ関連が多いため、ファングッズの一つとしてCDを捉えてもらう必要があるためです。
超ボーマス/M3ではメタルを前面に出した都合上、紲星あかり歌唱のアルバムを持っていかなかったのですが、今回はこちらも宣伝に含めることにしました。Ci flower歌唱のメタルEP「Swan」、v_flower歌唱のメタル&ロックアルバム「Wish and Endings」、紲星あかりのポップロックアルバム「流星到来!」、3作品が今回の頒布品です。
紲星あかりはVOCALOIDとしての盛り上がりはそれほどでもありませんが、合成音声キャラとしては人気の高いキャラです。彼女のアルバムを大きめに宣伝するのは久しぶりかもしれません。
それと前回より、お品書きのサイズをA4からA3に変更しました。現場でより目に付くようにする工夫の一つです。セブンイレブンのマルチコピー機がA3の出力にも対応しているのが、非常にありがたいです。
当日朝に実施した、頒布作品の見どころ紹介
加えて、当日の朝のツイートで頒布する各アルバムのお勧め曲を掲載しました。楽曲公開時のショートMV付きツイートの引用RTに、紹介コメントをつける形でツイートしています。時間帯的に会場の前で待機する参加者が出始めるであろう、開場3時間前辺りを狙ってみました。
ここ1〜2ヶ月ほどは、僕の告知ツイートに対する反応が以前より落ち着いてしまっています。そのため参加者にどれだけ届いたのかは、検証できていません。これは成果がわかるまで今後も試してみようかと思います。
試聴への誘い
「聴いてもらえさえずれば……」と思える程度に、ボカロ音楽好きに対する作品の自信はあります。妙な話、最近はニコニコ動画でもYouTubeでも即売会でも、聴いてもらえさえすれば、なんとかなっています。
そこで今回は、試聴をより促すために専用のPOPを用意しました。可愛いでしょう? これを切り抜いて、アクリルポップスタンドに入れてCDの前に起きました(ブースの写真参照)。
成果・反省点
当日は晴天にも恵まれ、会場外に列ができるほどの来場者となりました。
A.I.VOICEの人気キャラ「琴葉茜・琴葉葵」の10周年の記念イベントも併催されていたため、会場内外は人の密度も高く、開場から2時間は通路に人がごった返していた印象です。
意外だった「キャラクターとしてのv_flower」の健在
昨年もそうでしたが、大手サークルがグッズ系・同人誌系のみで有名ボカロPの参加が極小であること、来場者の購買意欲が高いこと、などの要因があり、他の即売会に比べると僕のサークルの販売部数は多めの傾向でした。
意外だったのは新譜のCi flowerのEPよりも、昨年夏のv_flowerのアルバムの方が抜きん出て買われていった点です。
「ボカロP」や「音楽」が前面に打ち出される即売会では「新譜」という名の付くものが売れ、僕の旧譜は日に1〜2枚売れればいい方です。ただ、キャラクターが前面に出てくる即売会で、v_flower旧譜も買われていく傾向は昨年もありました。つい2〜3年前では、ニコニコ動画で初音ミクに次ぐMV投稿数を誇っていた「キャラクターとしてのv_flower」の知名度の強さが原因なのでしょうか?
ちなみに紲星あかりのアルバム「流星到来!」ですが、少数ながら買われていきました。こちらはもう在庫が1桁のため、キャラクター系の即売会をあと3〜4回経れば無事完売となりそうです。
「Wish and Endings」と「流星到来!」はboothでCD通販をしています(宣伝)。興味のある方は、boothを覗いてみてください。
みるくかふぇ作品にとってのブルーオーシャンを考える必要性
もう一つの要因として挙げられそうなのが、収録内容の差だと思います。M3でもそうでしたが、v_flowerアルバム「Wish and Endings」は派手な曲が多いためか、「Wish and Endings」を試聴した方は買っていく確率が高いようです。試聴しなかった方は、そのままEP「Swan」を買っていきます。逆に言えば、EP「Swan」の内容が地味だった可能性があります。
5日前のM3と絡めて考えてみます。メタル作品として頒布物を捉えた場合、合成音声や同人界隈はメロスピ系とモダンメタル系の天下です。メロスピは美しく繊細で速く、モダンメタル系は高度でエクストリームな強さと邪悪さが売りです。
僕のメタル作品はそれらとは傾向が異なります。両者と差異をつけつつ強いアピールポイントを探すとしたら、ボカロらしく、また派手でカッコ良い曲作りを前面に打ち出して、聴いてくれた人の印象に残る作品を作っていく必要がありそうです。
宣伝・露出の「外見の印象」の話
また、時々ですが最近「ツイートは目にしていたので、もっと早く聴いておけばよかった」「地元に来てくれた即売会で、買わなかったのが心残りだった」といった打ち明け話をしてくれる方もいます。「見かけていたが、興味を持たなかった・買わなかった」という事実は、音楽系サークルの立場から考えると、アピール戦略の方向性に誤りがあったのかなとも思っています。
音楽はイラストやグッズとは異なり、聴くまではどんな内容かは分かりません。先ほどのような打ち明け話をしてくれた方々が僕の作品を見逃した当時、「どんな作品かを知らなかったため、手を出せなかった」「興味が湧くほど魅力的には見えなかった」「限られた購買予算の中で考えると、優先度は高くなかった」などと感じさせてしまった可能性があります。
僕はニコニコ動画での平均再生数が500〜3000、YouTubeではその1/10くらいの無名のボカロPのため、皆が知っている作品もなく、認知によるバフはありません。そのため、Twitter/Xでの告知内容、投稿するMVのサムネイル、また普段のSNSでの話題の取り上げ方など、「聴くまでもない、見るだけでショボそうと分かる」「無名の人だし、それほど刺さる楽曲ではないだろう」と思わせてしまわないように、見せ方を再考していく必要を感じました。
とはいえ、SNS自体をアーティスト広報アカウントとして運用しているつもりはないため、どこでどういうイメージを目標にして展開していくかは要検討です。
ブースを目に留めてもらう、もう一つの工夫
キャラ系の即売会のみとなりますが、1点か2点、人気の合成キャラクター(僕の音楽作品と関係あるキャラが良い)のグッズを作って頒布することも、ブースを目に留めてもらうためには必要だと感じています。グッズを買うついでに、音楽作品の試聴をしてもらう導線の確保のためです。
予算などの計算は終わっているので、あとは内容物を用意するだけなのですが、今年から一人サークルになったため、音楽作品を作りながらだと時間的にちょっとキツイ……。時間を見つけて取り組もうと思います。
この先の即売会予定(申込中含む)
5/18 「VOCAWORLD-08」 花博公園-爭艷館(台湾・台北市)
6/9 「ついなちゃんドゥルル祭」 川越キャラクターベース9(埼玉県川越市) ⭐︎GUMI & ついなちゃん新譜リリース予定
8/4 「ガタケット178」 新潟市産業振興センター(新潟市)
8/24〜8/25 「VOCASTAR」 ソウルSETEC(韓国・ソウル市) ⭐︎新譜リリース検討中
執筆者プロフィール
メタル&ロック系ボカロ曲制作者。人の内なる成長や希望を、メタルやロックをベースとした音楽で表現することを目指しています。
2013年活動開始、年10回前後の合成音声系即売会へ参加、10枚のアルバムをリリース。