超ボーマス55・M3 2024春参加報告
4/27 幕張メッセで開催されたニコニコ超会議2024内の即売会イベント「超VOC@LOID M@STER 55」(ボーマス55)、および4/28 東京流通センターで開催の「M3 2024春」のサークル参加報告です。
超ボーマスとは
毎年春に開催されている「ニコニコ超会議」内で、「ボーマス」の開催元ケットコムが開催するボカロ即売会イベントです。通常のボーマスと異なるのは、ニコニコ超会議の来場者が立ち寄る点、2日間の開催で片方のみ・両日参加するサークルが居る、といった点でしょうか。
また、ボカロのみのお祭りではなくサブカル全般のためのお祭りのため、通常の即売会と比較して家族連れや他の同人ジャンルのファンなども通かかる可能性のある即売会といえます。
M3とは
'98年から春・秋の年2回開催されている音楽や音声ドラマなど「音系作品」オンリーの即売会です。コミケを除けば、同人音楽系列の即売会としては国内最大規模の即売会です。
ボカロ系は年に何回も即売会がありますが、それ以外のジャンルでの即売会は基本的にオールジャンルが中心で、音楽目当てとなるとM3やコミケしか選択肢がないのが実情です。そのため、多くのサークルがこのイベントにかなりの力を入れて参加します。
参加にあたり
超ボーマスはニコニコ超会議内での開催です。
超会議はボーカロイドに特化したお祭りではなく、また来場者層もライトなファンが多い点が挙げられます。超会議自体に見所が多く回りきれないため、目的外のサークルに関しては人が素通りする可能性が懸念されます。そのため、過剰な期待ができないイベントだと認識しています。
また、今年はニコニコのクリエーター達が超会議に直接ブースを出展できる「クリエイタークロス」があるため、大手のボカロPはそちらにブースを構えるケースが予測されました。つまりボーマスではなく、そちらに来場者が流れるというという懸念です。
M3は音楽系イベントのため、ボカロキャラを前面に出したところで大した訴求ポイントにはなりません。
また、ジャンルごとに島が分けられるとはいえ、多くの来場者が事前に作成したリストに基づいて購入していくため、前日までのアピール度(もしくは普段から積み上げてきている認知度)が売上を左右するといっても過言ではありません。
両方のイベントを考慮し、今回は「メタル」を前面に出して事前告知を行いました。頒布品はメタル系のアルバム「Swan(EP)」「Wish and Endings」の2点のみ。
「Swan(EP)」は3月のボカストで頒布したEP「Swan/Schneeblume」にVoiSona版Ci flowerの「幻月」をプラスしてバージョンアップしたもの。「Wish and Endings」は昨年夏に出したアルバムです。
この2作品をまとめたクロスフェード動画を作成して、YouTubeとニコニコ、Twitter/Xに投稿を行いました。Twitter/Xに関しては、しつこくならない程度に2週間ほど継続して繰り返しリツイートするなどして、告知に努めました。
また、お品書きはメタルを前面に出し、また会場でのサークルの認知ができるようサークル紹介を盛り込む等の構成を採りました。
成果・反省点
まず成果ですが、「いつも以上に売れない」という最悪の事態は回避できたように思えます。両日とも普段の即売会よりもリスクの高かったのですが、その点は胸を撫で下ろしています。その一方で「壁を超えた感触」も掴めませんでした。
超ボーマスの所感
ボーマスは6ホールと7ホールで会場が2分されていました。6ホールは合成音声の公式+大手ボカロPのサークルがメイン、7ホールはそれ以外といった感じです。大手サークルの並び列が他の一般サークルの前を塞いでしまうといった機会損失を避けるためかもしれません。両ホールでは来場者の密度が倍近く違っていました。
その分僕の居た7ホールは見通しが良かったのですが、極端な話、ライト層に向けて何を訴求すればいいのかわからず、目を惹けなかったという部分があります。僕の作品がひと言で説明しづらいということもあるためか、通りがかる人からは「何を売っているのか分からないサークル」「興味を惹かないサークル」として映っていたか、目にも入らなかったかのどちらかかと認識しています。
5〜10万越え再生の作品でもあれば、そのMVのスクショでもブースに掲示するところですが、今のところ認知度の高い作品もないため難しいところですね。
視聴していった方も、特に買わずに去っていった方が多かったと思います。これは今回の新譜のリードトラックの「Swan」が今ドキの曲らしくなく、イントロだけで1分近くあるというのも影響している気がします。CDのリードトラックはもう少し気を遣うべきだったと思います。
M3の所感
今回の配置はボカロ島ではなく、一般の音楽サークルの島でした(ロック・メタル系のサークルは多かったと思います)。キャラを取り払った際の印象を確認したかったというのもあります。
購買層は、おそらくボカロ系が半分、それ以外が半分といった感じでした。ただ両隣の中堅どころのサークルに比べると売れ行きはかなり見劣りします。
「それ以外」の方の多くはメタルやロック好きの方だったため、「この島を歩いている際にたまたま目に留まった」という感じだったのかもしれません。試聴からの購買率も高かったです。ただやはり、見向きもせずに通り過ぎていく人も多く、自サークルの認知度の低さにイラッとしていたのは確かです。
反省点はM3直後のツイートにも書きましたが、自分の普段の活動の怠慢の部分が大きいと思います。
両隣は中堅クラスのサークルでしたが、時間単位でサークルに立ち寄る方の数が僕のサークルの5〜10倍はあったように思えます。
中堅クラスのサークルの場合、クラスボーナスというか、交流のある同クラスのサークルのリスナーさんも買いに来る傾向が見えます。これは普段のSNSでの活動やYouTubeでの配信などで同クラスのサークルについて言及したり、ゲストメンバーに迎えるプレイヤーが重複しているとか、バンド活動もしている場合は対バンや競作(ゲスト参加など)といった機会から生まれるシナジーがあるのだと思います。ファンは似たジャンルのアーティストを探す傾向もあるので、交流の多さ=浸透力とも言えると思います。
また、何らかの採用歴(ゲームなど)があるというのも、自サークル目当ての来場者が増える要因にもなっているのでしょう。隣のサークルにやってきていた方の多くは、そのサークルの人気作品を知っていた方が多かった気がします。
この観点で自分の活動を顧みると、どちらも今の自分に徹底的に不足していると言えるでしょう。
例えば、何かのコンテストに積極的に応募したり、そのための曲作りをしているのか。他のクリエイターと何かを一緒に作ったりして新規さんへの浸透に励んでいるのか。そういった普段からの努力不足の事実を、突きつけられている気がしました。
ただ漫然と曲を作って投稿して、即売会に参加して、それだけで新規さんが増えて聴いてもらえるという、そんな虫のいい話はないと思います(虫の良い話が通るようになるのは、知名度と評価が爆上がりしてからの話です)。皆がきちんと励んでいることを、僕がやっていないのはただの怠慢だし、だから差をつけられる。それだけのことだと感じています。
また動画での告知にも反省点はたくさんあります。イベント直前1ヶ月はYouTube Shortで収録曲を個々に紹介するなりTwitter/Xと連動させるなりして、頒布品の魅力を伝えるための発信を継続的に行うべきだったのかもしれません。
とはいえ、ボーマス/M3のためにやることはやったし、成果がどの程度かも確かめられました。反省点も含めて次へ進むことにします。まだまだ覚悟も修練も足りてませんが、進歩の速い周りの人たちに置いていかれるのはもうご免です。少しでも追いつけたら……と思っています。
執筆者プロフィール
メタル&ロック系ボカロ曲制作者。人の内なる成長や希望を、メタルやロックをベースとした音楽で表現することを目指しています。
2013年活動開始、年10回前後の合成音声系即売会へ参加、10枚のアルバムをリリース。
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