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蹴落とすか、支えるか?権力と信頼のジレンマ

誰かを蹴落として権力を手に入れた人は、その権力が誰かに奪われるのではないか…という不安から、人を信用できなくなります。特に、その権力を手に入れるまで忠誠を尽くしてくれた人を除け者にすることが多いのです。


たとえば、前漢を創った劉邦の例があります。ライバルである項羽を倒した後、いちばんの功績があった韓信がやがては自分の座を奪うのではないかと疑心暗鬼になり、韓信を嵌めて死に追いやります。

これで不安から解放されると思いきや、韓信を慕う人たちからの復讐や、こういったやり方に異を唱える人たちからの反逆を恐れて、ますます人を信用できなくなり、最終的には「劉」の字を持つ者以外は王にするな、という意志を残して亡くなります。


その後、幼い息子が王を引き継ぎますが、劉邦の奥様が自分の実家の一族に権力を集中させようとして、国を乱すことになります。誰かを蹴落として上にいっても、そこに待っているのは安定ではなく、不安だということを歴史は教えてくれています。


頂点の座はひとつですから、蹴落とすくらいの覚悟がないとそこにはたどり着かないのも事実です。しかし、蹴落として手に入れた権力には不安がつきまといます。では、どうしたらいいのでしょうか?


得た権力を自分を守るためではなく、人を守るために使うという選択肢があります。結果として、その守られた人たちが恩義を感じて自分を守ってくれるでしょう。理論的にはその通りですが、感情としては守りたくなるのが人間です。そして、人は感情の生き物ですから、感情に流されてしまいます。


先に紹介した劉邦と韓信の関係は、権力を持つ者とその忠誠を誓った者との間の信頼関係の脆さを象徴しています。韓信が劉邦を支え、功績を挙げたにもかかわらず、劉邦は韓信を恐れ、最終的には彼を排除しました。この対立は、権力を持つ者が抱える不安と疑心暗鬼を如実に表しています。


権力を持つことで得られる安定は、一時的なものです。むしろ、自分の地位を守るために他人を信用できなくなり、孤立する可能性があります。これに対して、人を守るために権力を使うことで、周囲からの信頼と支援を得ることができるのです。


日常生活や仕事の中で、どのようにして人を守るための行動を取るかを考えてみましょう。具体的なアクションプランを立て、実践することで、信頼関係を築き上げることができます。例えば、チームメンバーの意見を尊重し、協力して目標を達成すること。また、自分の利益よりもチームの成功を優先する姿勢を示すことが大切です。


孫子の兵法でも、相手を油断させておいてタイミングを見て立ち上がる戦略が推奨されています。この戦略を日常生活に取り入れることで、相手に合わせつつも、自分の力を最大限に発揮することが可能です。自由自在に相手に合わせる能力を持ち、戦略的に行動することで、周囲の信頼を得ながら、自己実現を図ることができます。


最後に今回のまとめです。

歴史に名を残す偉大な人であっても、権力のジレンマから逃れることはできません。自分のような凡人はなおさら、権力を持つことの難しさを実感するでしょう。だからこそ、普段から力を握った自分として人を守るために行動し、実際に力を握ったときにはその力を自分を守るためではなく、人を守るために使える自分になることが必要です。


自分を抑えるか、解き放つか。どちらの選択をするにしても、信頼と共感を得る行動を取ることで、権力を持つ者としての安定を築くことができるでしょう。他人を蹴落とすのではなく、支え合う関係を築くことで、真のリーダーシップを発揮できるのです。

今回は以上になります。

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