【小説のデッサン】フィリピンの歩き方
これまで 衝動的に集めたり
人にもらったり
買ったことすら忘れたものを
整理していくことに
集中した
あと4日ある
そしたら
合宿があって
大阪に行く
ためてきたものを捨てたり
整理したりして過ごす
少しでも無駄なものと思ったら迷わず捨てる
そして残ったものが
僕のコアだ
洗練とは
捨てること
捨て方にある
基準は美しいか美しくないか
クールかそうでないか
意味があるかないか
意味(歴史)があり クールで できれば美しいものをこれまで捨ててきたものともバランスの中で考える
洋間が二つ、畳の部屋が一つ
とにかく 無用なものが多い
それをどんどん捨てて
みにまむになっていく
記憶も
辛いことがあると
夢が記憶を消してくれる
消えた記憶はその周辺も巻き込むから
いろんなことを忘れる
僕は脊椎の病気だったから それは脳に直結してるから
記憶喪失はある程度仕方ないと思う
しかしこうも忘れていることが多いと
そのうち身近なものも忘れてしまいそうで怖い
子供のこととか
昔勤めていた会社のこととか
ガールフレンドの名前とが
忘れてしまったら
あまり嬉しくない
気をつけていないと
街に電信柱が何本あるが誰も気にしないように
気にしない記憶ななっていく
だから
捨てるのと同じように
忘れるルールってのも作らなくちゃならない
この数日 部屋の整理をしている
思わぬものが見つかると
それにまつわる曖昧な記憶が甦る
事実かどうかわからないけど
僕はそれれぞれに架空の物語を作って過去を捏造している
どんどん捏造されて
記憶はぐにゃぐにゃしていく
昨日本棚から出てきた
「地球の歩き方」のフィリピンもそうだ
なんでフィリピンに行ったかどう考えても思い出せない
ただ 旅に実際行こうと決めなければ この手の本を絶対に買わないので 必ずフィリピンにば行ったのだ そうでなければ誰かからもらったか 誰かが置いていったことになる その確率は相当に低い
彼を25等分した右から2 上から3番目の棚にそれはあった
バルセロナ
ロンドン
香港
ジャカルタ
サンフランさすが
ベルリン
全部行ったことを思い出せる
しかし
フィリピンだけか思い出せない
ページを巡ってみた
不似合いな黒いカードが挟まっている
なぜか匂いを嗅いだ
ひどくなつかしい匂いがした
鏡に囲まれた部屋、床に大きなクリスタルの器があり、
植物が植えられている
「おいおい 俺は捉えられているわけなんだから それはないだろう」と思った
気づくと僕は
南の島にいた
南の島ということは明確にわかる
スキューバダイビングから帰ってきた若者が僕に声をかける
「どうしたんですが きょとんとして」
「もう飛行機が出ますよ」