詩の雑誌『詩と思想』11月号に拙著『ピルグリム』が紹介されました
『ピルグリム』について
「異才の詩人・磯崎寛 也、待望の第3弾! 現代美術 家・青山悟の風刺とユーモアを 内包する 精巧な刺繍作品と のコラボ詩画集。」とあり、本 書の見事なまでの簡潔かつ完 璧な紹介文となっている。
本書 は辺獄、地獄篇、巡礼、天国の 門の4章で構成され、それぞれ の小タイトルに合わせた詩作 品が並べられている。読み終え て詩集のハードカバーがまる で辺獄から地獄への堅牢な門 扉であったり、地獄を越えられ ない厚い壁を連想させた。
精巧なさまざまな仕掛けが 仮になかったとしても、ここに 収められている詩作品の刺繡 のような手触りのよさが心に 残った。「僕は迷い風になり/ 瑠璃石の尾根を/滑空する/
それは/虚ろな/虹の/波」(作
品「虹の波」)という透明 は夢の中を彷徨する美 遊感が心地よい。
また、「太陽 ハ言葉/万物ヲ育ミ焼キ尽ク ス/ヒトハ暗イ海ニ生マレ/ 陸二這イ上ガリ/辺獄ヲ歩キ 続ケル/太陽へ返礼スルタメ 二」(「言葉を探して」という詩 句には、まず初めに太陽ありき ということで太陽は万物の起 源であり、就中ヒトの生々の源 であり、それよりも何よりも太 陽ハ言葉、という啓示が鋭く衝 いてくる。さらに好きな詩句と して「花嵐が/空を薄紅に染め 上げ/花弁に月が解けていく」(「美貌の青空」)を挙げておきた い。ひとつひとつの詩作品の向 こうに見応えのある絵画が描 かれている、あるいは静かに置 かれている。
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