ドアのへこんだ白いセリカについて
ユーミンの「よそゆき顔で」という曲が秀逸だ、と思う。よそゆき顔ですれ違うなら二度と逢わない方がいいのね・・・と歌われるそのメロディラインが大好きなもので、ユーミンのマイベストを編集するときは必ず一番最初にこの曲を入れる事にしている。
できれば観音崎の歩道橋に立って、ドアのへこんだ白いセリカが下をくぐって行くのを見てみたいとも思うが、この歌が気になる理由はそこではなくて・・・
別れた男に対して、よそゆき顔して通り過ぎる事を恥じ入るなんてとても奥ゆかしいと思うんだけど、よそゆき顔ですれ違ったら、好きなだけ笑って、なんてユーミンはとても昭和な人だなあと思ったりしたのですな。マリッジブルーの女性のつぶやきを風景になぞらえて淡々と歌いながら、実は現実的な女性の性(さが)のようなものを際立たせている。
今の相手は堅い仕事と静かな夢を持った人。で、車のドアもへこんでないんだろうし、きちんとしてるんですね、だから、そんな手堅い結婚を選んでしまった私を笑っていいのよ、という複雑な女性心理を具現化した事でやっぱりユーミンって分かってるわよね〜という感じでOLたちはレコードを聴いていたのでしょうか。
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