Daryl Hall / Sacred Songs
中学2年の時にホール&オーツの「プライベート・アイズ」を知って夢中になった。当時ディスコグラフィを見て、お年玉と相談してアルバムを集めようなんて計画を立てていたが、結局レコードは1枚も買わなかったし、全部FM番組の特集を録音して済ませてしまい、いくつかのアルバムを貸しレコード屋で借りた程度になってしまった。
ただ、ずっとどこか心の片隅でアルバム単位で聴きたいなんて思ってはいたが、そう思いながら何十年も経っている。そしてその時が突如来た。
なんと、ディスクユニオンの「100円LP放出」でほぼすべてのアルバムをそろえてしまった。ここでいう「ほぼすべて」というのは、ファーストから80年代の『Big Bam Boom』までのことだ。かつてお年玉と相談していた中学生の俺が知ったらびっくりするだろうな。良い歳したおっさんが100円LPで集めただなんて。
そんな中で、少し忘れかけていたのがダリル・ホールの最初のソロアルバムである『Sacred Songs』。中学生ならやはりルックスでダリル・ホールを選ぶだろう、俺も当時このジャケットのホールを見てかっこいいと思ったものだ。
Sacred Songs
Something in 4/4 Time
Babs and Babs
Urban Landscape
NYCNY
The Farther Away I Am
Why Was It So Easy
Don't Leave Me Alone with Her
Survive
Without Tears
このホールの1stアルバム、プロデュースがなんとロバート・フリップで、この組み合わせにRCAは難色を示し、もともと1977年には完成してたアルバムを3年間もリリースさせてくれなかった。なんだよRCA、ケチくせえなと思いたくなるが、ちょっと久しぶりにじっくり聴いたら、まあ・・・頷けるかもと思わずにいられない。
このアルバム、とてもロバート・フリップ色が強いのだ。実はフリップは自身のソロ・アルバム『Exposure』と、ピーター・ガブリエルの『Ⅱ』と合わせて3部作として考えていたらしい。3の"Babs and Babs"ではフリップの発明したフリッパートロニクスが後半で響いて、おいおいクリムゾンのライヴでも始まるのかよって雰囲気だし、続く"Urban Landscape"はフリップ名義の曲でダリル・ホールのアルバムじゃないのかよと突っ込みたくなる。さらに"NYCNY"でも「太陽と戦慄」かよって言いたいくなるようなフリップの激しいギターが鳴り響く。ホール&オーツで積み上げてきたイメージが崩れてしまいそうなこの楽曲群では、レーベルが出すのも嫌がるわって思った。
フリップはホールとその後も関係を続けたかったようだが、ホール&オーツの活動を優先するため、この1枚で終わってしまったようだ。なお、フリップの『Exposure』にも2曲ほどヴォーカルで参加してるが、本来なら全曲参加する予定だったところをRCAに止められたらしい。
で、結論を言うと、俺はこのアルバムとても好き。
ところで、このアルバムはRCAから出ているとはすでに言ってるが、レコードを見るとこんな風になっている。
さらに付け足すと、ホール&オーツの1978年のアルバム『Along the Red Ledge(邦題:「赤い断層」)』でも同じように犬が塗りつぶされている。
これはいったいどういうことなのだろうか。てっきり自分が買ったのが100円LPだったから、もとの持ち主が塗りつぶしたりしているから100円にしかならないのかと思ってみたものの、ググると他にも塗りつぶしレーベル面の写真を見るので、あえてこうなっているように思える。
Discogsで調べてみると、RCAからリリースの盤とRCA Victorからの盤もあって、恐らくくっついた離れたみたいなノリだとは思うが、いまいちようわからん。
それにしてもさ、「RCA」ってレーベル名やロゴが好きなんだよね俺。これってたぶん、デヴィッド・ボウイから来ていて、90年代にRykodiscからボウイのCDが再発される前はRCAだったんだけど、「RCA時代のボウイ」なんて字面をかつてのコレクター雑誌で見かけたときからなんですよね。かっこいいなと思ったりして。余談でしたが。
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