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目標設定時の等級表の使い方

目標設定や評価の場面で使われる "等級表" に対して、有用性を感じる一方で、使いこなすのが難しいとも思っている。
最近でもSmartHRさんが等級要件をアップデートしたときのブログをあげていた。細やかなアップデートをみて、ツールとしてのパワフルさと同時に気をつけて使いこなす必要があるなとあらためて感じた。

今回は、等級表の難しさについて整理しつつ、自分なりの活用法をメモしておく。


難しさ:等級表のもつ二面性

等級表は評価者と被評価者が同じものを見る。そして両者からそれぞれの解釈が生まれやすい。

一般的に、等級表にはその等級に求められるスキルや影響力が記載されていることが多い。しかし、スキルや影響力には大きな幅がある。
「発揮できたことがある」状態と「常時発揮できる」状態では大きな違いがあり、この認識のズレが評価のすれ違いを生む原因になりがちだ。

これは、意外と見落としがちな罠である。

たとえば、批評価者は「この仕事でこのスキルが身についた」「この仕事でこのスキルが発揮できた」と判断できたタイミングで等級に合致したと感じるだろう。実際にそれを目指して、いままでできないことができるようになっていれば大きな進歩だ。
他方、評価者がその等級に期待しているのは「記載のスキルを必要な時に常時発揮できる」状態だ。これは単発でスキルを発揮した経験があるかどうかではない。

大好きなHUNTER × HUNTERのグリードアイランド編で考えてみる。
もし、等級表に『堅ができること』があった場合、
「全身を硬でガードするんだ」と一度堅ができたら条件を達成したという解釈も可能だ。
ただビスケに言わせれば、
「最低でも30分は『堅』を維持しないとお話しにならないわよ!」
と「〇〇できる状態」というのは実は幅が広く、どの目線から見るかによって大きな解釈の余地がある。

HUNTER×HUNTERより

これが「〇〇できる」のようにスキルや状態について書かれたときの読み方の注意点だ。等級表を解釈するときには「〇〇できるときがある」や「〇〇できた」ではなく、「常時〇〇できる」と読む必要があると思っている。


意識している使い方

この二面性を踏まえた上で、意識していることが2つある

  • スキルの再現性をセルフチェックできるか

  • 他者目線で「常時〇〇できる」とみられるか

1. 自分目線での活用 「スキルの再現性」

自分目線では、スキルの発揮を日々の行動に落とし込み、常時発揮できる状態を目指すアクションリスト生成ツールとして活用する。具体的には等級表にあるスキルについて次のようにチェックする。

たとえば、

担当プロダクトの開発チームやPMMと自律的に連携できる

SmartHR: プロダクトマネージャーの等級要件をアップデートしました

に対して、取り組む場合であれば、下記のように考える

  • 開発チームとの連携ポイントを洗い出す

    • e.g.) スクラムセレモニー、仕様書、QA実施、、、

  • 連携ポイントに対して、現状何が自律的にできていて、どこに自律性を発揮すると良くなるのか、他方どこは受け身でいいのか整理する

    • e.g.) スクラムセレモニーの運用はスクラムマスターがメインなので余地が小さい、他方でバックログのフォーマットを見直してより良いものにする部分は自律的に動けそう など

そうすると、あるスキルに対してどこで発揮するかのアクションリストができる。
それらに対して「できたのか」と「できる率」を見ていくと、100%に近い再現性で常時スキルを発揮できるのかをセルフチェックできるイメージである。

HUNTER × HUNTERに戻ると
"強化系念能力者として戦えるようになる" という状態目標に対して、"周"で石を1000こ割れるか的な練習メニューと達成状況リストが作れていればOKなイメージだ。

完璧な修行メニューをくれるビスケ
HUNTER×HUNTERより

2. 他人目線での活用 「スキルの信頼性」

他者目線では、"自分がその状態に見えているか" をチェックするツールとして活用する。目指す等級にふさわしい見え方とは何か、その見え方≒期待値を生み出す結果は何かを想像しながら、自分の立ち位置を確認する。

そもそも1で挙げた自分目線でスキルを習得できたかを強く意識すると、できた・できないの評価は主観に寄ってくる。しかし、評価というのは基本的に100%自分の外で形成される。ここで実施するのは、自分目線でのスキルの習得だけでなく、他人から見てスキルを発揮している状態かどうかをチェックできるように、別目線を確保するアクションである。

別の捉え方をすると、自分では「できる」と思っていても、それを認知され、他者から期待を持たれるようになるまでには必要なインパクトや時間が異なるものだと思っておくのが大事だ。目指す等級にふさわしい見え方とは何か、期待値を生み出す成果とは何かを考えながら自分の立ち位置を確認することで、「スキルによって特定タスクを処理できる」から「周囲から特定タスクをできる人として期待される」という、スキルがより大きい意味を持つところまで辿り着くことができる。


おわりに

今回目標設定のタイミングだったので、意識していることを言語化してみた。
目標を立てて、何かをやっていく営みは今後もずっとやり続けると思うので、この捉え方が数年でどう変化するのか・しないのか楽しみだなと思う。


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