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ポジショニング:どこに立ち位置を置くか?

大学の講義で時々話すことの一つが、日本国内にいると日本語を話せる(もちろん書ける、読める、聴けるを含む総合技能を「話す」という言葉で代表する言い方)ことは、通常評価の対象にならないけれど、あなたがアメリカに住んでいれば、それは大きく評価される「お金になる」資産になるよという話です。

これを考えると、今いる場所では評価されない(理由は色々ありますが、上の例のように、周りの人も同じことが同じレベルでできるのでというのが通常の理由でしょう)能力も、自分の場所(ポジショニング)を変えて見ると、途端に評価され「お金になる」可能性が高まるということです。

私は、米国時代に、自営業を営んでいましたが、2つの意味で、自分のポジショニングを考えていました。

一つは、人材のビジネスに関してです。いわゆるヘッドハンター的な仕事をしていたのですが、主な顧客は、アメリカにある日系金融機関でした。そうした顧客からは「英語と日本語ができて、しかも金融の仕事ができる人」でした。この2つを判断して候補者を送り出すためには、私自身が英語ができて(それも金融英語)、しかも金融の仕事内容がわかっていなければちゃんとした仕事はできないはずです。しかし、競合していた人材紹介・派遣会社の人たちは、米国の大学を出ていても、卒業してから直接そうした会社に入って人がほとんどであったため、英語はできても金融英語はわからない、金融の仕事がわからないから候補者の金融人材としての評価ができないというでした。したがって、彼らは、履歴書で"English","Japanese", "Finance"などと検索して、引っかかった履歴書をそのまま顧客企業に送るということをしていました。

一方私は、面接をして、金融業務の経験をチェックし、英語もチェックして候補者を送り出していましたから、手前味噌ですが、お客さまの信頼をいただいていました。これが一つ。

もう一つは、翻訳者・通訳者としてです。ここでも、翻訳する、通訳する技術に加えて、金融の知識が求められるわけです。自分をどこの置くか(ポジショニングするか)です。

ただ、単に日本語が分かるだけでも(専門知識がなくても)、海外では頼りにされる場合があるでしょう。英語のできない日本からの来訪者のちょっとした助けをする程度であればが、助けになり、場合によってはビジネスとして成り立つこともあります。

よくプロ野球の世界で、ある球団では自分よりの優秀な選手がいるが、実力は十分という選手とトレードで、その人の力を頼りにしそうな球団に移すことが行われます。同様な発想で、「どこに行けば自分の能力を最大限評価してもらえるか」という発想を常に持つことは大切だと思います。

この本にも、こうしたメッセージを入れています。


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