見出し画像

金融の基礎と英語を一緒に学ぶ

第1章 金融英語への誘い
「金融って何?」ときかれたら
あなたは「スポーツとは何ですか?」と質問されたら何と答えますか。ひとことにスポーツとは言っても、種目は千差万別、どう説明すれば良いか迷うのではないでしょうか。思い浮かべる種目も、各人で違うと思います。しかし、その中に、「身体を使った競技であること」や「勝ち負けがあること」等の共通点(もちろん例外もあるでしょう)はあります。また、「球技」や「格闘技」等の分類があることは、良く知られています。

では、「金融」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか。ある人は、銀行の看板を思い出し、ある人はテレビに出て来る株価や為替の数字を思い浮かべ、ある人は付合いの深い保険セールス担当の顔を思い出すかもしれません。「金融って、一体何ですか?」と問われたら、その共通点を一言で言える人は、案外少ないのではないでしょうか。

そこでこのコラムでは、皆さん、特に「金融は苦手」という皆さんに、まず「金融とは何か」、言い換えれば、金融が社会において果たす役割を理解していただきたいと考えています。その上で、銀行、証券会社、保険会社他主要な金融機関の共通点、相違点を紹介して行きたいと思います。

入口としての投資
スポーツが嫌いな人が、あるひとつの種目を好きになったことがきっかけで、他の種目についても興味が湧いて来るということもあります。スポーツのひとつの本質である「身体を動かす」ことの喜びに目覚めた人にとっては、他の競技で「身体を動かす」ことへの抵抗感が小さくなるからだと思われます。あるいは、スポーツの持つゲーム性に惹かれる人もいるでしょう。それと同じように、千差万別の金融の世界で、金融に対し距離感を持っている人がその距離感を変えようとすれば、何らかのきっかけが必要です。そこで、このコラムでは、貯蓄や投資という分野をきっかけとして金融への理解を拡げることを、試みていきたいと考えています。貯蓄については、誰しも個人的な関心があるでしょうし、「投資には縁はない」と思っている人でも、ニュースの中で、日経平均や為替レートについては、毎日情報に接しているので、入口として適切であると考えたからです。

このコラムを読んでほしい人
このコラムをどんな人に読んでもらいたいかと言いますと、金融というものに興味があるがほとんど基礎知識がない人、国内外の株式や債券などへの投資に興味がある人、そして、このコラムの特徴として、金融の基礎知識をつけながら、同時にそこで使われる金融英語もふんだんに紹介していますから、英語で金融を学びたい人に、金融英語の入門用に読んでいただければ、お役に立つと思います。このコラムが、金融の基礎入門かつ金融英語入門コラムだからです。そして、通訳や翻訳業務を業としている人、それを目指している人で、金融という世界、業界をその業務範囲として考えたい方にもお勧めです。元々そういった方々を意識して書いたコラムなので、きっと金融翻訳・通訳入門用の資料として使えると思います。現在金融翻訳・通訳を手掛け始めたような方々には、自分が金融全体のどのあたりを担当しているのかも見えてきます。

第2章
株式と債券
やや乱暴ですが、金融を一言で定義すると、世の中のお金の余っているところから、お金を必要としているところにお金の仲介(橋渡し)をすることと言えると思います。そのために、広く世の中からお金を集め、それを貸付、あるいは有価証券投資のいずれかの方法でお金を必要としているところに供給しています。例えば、銀行は、預金というかたち(金融商品:financial instruments)でお金を集め、個人や企業に貸し付ける、企業の株式を購入する、国や企業の債券を買うというかたちで、お金を供給します。ここの理解は、基本的かつ重要です。

ここから先は

22,672字
この記事のみ ¥ 300
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?