📱Weekly Beyond Mobile【2020/11/16〜11/22】〜1週間のモバイルマーケ関連ニュースまとめ〜
■ はじめに
このnoteはモバイルアプリマーケティグツールを提供するReproの稲田宙人(@HirotoInada)が配信しているポッドキャスト番組「Beyond Mobile」で取り上げたニュースを週次でまとめた記事です。
noteでは、ポッドキャストで取り上げたニュースに加えて、参考リンクや追加ニュースなども含めて、1週間の最新モバイルマーケニュースをまとめています。
Apple iOS14.3コードに特定のサードパーティアプリをセットアップ時に推奨する機能を搭載か
デベロッパー向けにiOS14.3のベータ版がリリースされたが、9to5macによると、ソースコード上にセットアップ中にサードパーティアプリを推奨する機能を発見したそう。
この機能は、全ての地域において一律に適用されるわけではなく、地域ごとの法律に準拠して適用されるそう。
この機能が適用される場合は、まずはEU圏が最初になる可能性が高いと考えられる。というのも、2019年に欧州では、GoogleがAndroid端末において検索エンジンとしてGoogleとGoogleChromeをデフォルトで設定できる点で訴訟になり、結果として、それ以降販売されるAndroid端末ではサードパーティのアプリを選択できるように改変されているからだ。
EU圏以外での適用先として濃厚なのが、反トラスト条項に加入済みである日本・アメリカ・英国・韓国・オーストラリア。
今回発見された潜在機能は、昨今のGoogle・Appleに対する反トラスト法関連の訴訟リスクを回避する目的でAppleも対策を始めていると考えられる。ただ、この推奨されるアプリもAppleが選ぶならそれはそれで忖度発生しまくりで寡占状態を加速させそうだが…
現状は、iOS14.3の正式リリース予定は未定。
Snapchatが新機能と新広告メニュー提供を発表
Snapchatがリテンション・LTV・ROASをさらに高めるための新機能と新広告メニューを発表した。
今回追加された、The Creative Kitsを用いることで、自社のアプリにSnapchatのステッカー・ダイナミックレンズを組み込むことが可能になる。また、併せて追加されたLogin Kitsを用いることで、自社のアプリのSSOにSnapchatのアカウントを使用することが可能に。Bitmojiを自社のアプリで使うこともできるようになる。マッチングアプリのHilyでは、本機能の導入により獲得数50%・登録数20%増加を達成と効果的であったようだ。
新広告メニューも発表されている。新しく発表されたアプリ内コンバージョン広告では、成果地点をインストールのみだけでなく、起動・購入など独自のアプリ内コンバージョンに設定することが可能になる。アプリ内コンバージョンキャンペーンは12月初旬にリリース予定だ。
上記の新機能・広告メニューに加えて、Snapchat運営元であるSnapは新プロモーションキャンペーンを発表。
Snapchatの機能のひとつである、Spotlight機能のプロモーションの為、毎日100万ドルを最も再生回数が多い動画を投稿したユーザーにプレゼントするというものだ。
Spotlight機能は、ライセンス取得済みの音楽やARスタンプを用いて60秒までのショートムービーが作成・投稿できる機能になっており、似た機能を持つTikTokに対抗してのプロモーションキャンペーンと考えられる。
Google StadiaゲームストリーミングがAppStoreに登場
Googleが提供するクラウドゲームストリーミングサービスである「Stadia」がiOS App StoreにPWA(Progressive Web Application)として登場予定。
StadiaはPWAなのでSafariかChromeを経由して動作する。
既にStadiaのアプリ自体はAppStore上に存在するが、ゲームプレイはできずに、あくまでも友達登録ができるようになるなどのハブアプリでしかない。その理由は、Appleのクラウドゲームストリーミングアプリに対する利用規約にある。
2020年8月まではストリーミングゲームサービスは一切AppStoreにはリリースできない規約だったが、9月になるとiOS14リリース直前に、規約が変更された。この変更では、ストリーミングアプリはリリースしてもいいが、個別のアプリをプレイするにはそれぞれアプリとしてストアに登録をして、詳細ページを持たなければいけないとした。
今回のStadiaではPWAを採用することで上記の規約を回避して、ゲームプレイが可能なStadiaアプリをリリースすることができるようだ。
余談ではあるが、このAppleの利用規約に関してはMicrosoftから強い批判が出ている。
今回のゲームストリーミングサービスの各ゲームが個別に審査が必要なのであれば、同じくストリーミングサービスであるNetflixやSpotifyなどの動画・音楽配信サービスも審査されて然るべきというものだ。
また、PWAによって利用規約を回避するのは、ユーザー体験としてもクラウドストリーミングの強みが活かされない形であるので一理ある。
しかし、Appleはストリーミングゲームサービスを許容することで、30%のアプリ内課金手数料が徴収できなくなるので、この規約を曲げることはなかなかないと考える。
これまた余談ではあるが、Facebookがゲームストリーミングサービスをリリースしようとして何ヶ月も審査が通らなかったのも記憶に新しい。
最終的に審査が通ったわけだが、Facebookはコミュニティ機能のみを残し、肝心のゲーム機能自体をアプリから削除した。
Facebook自信が公開した以下の画像では、ゲーム機能のスクショに大きく×がつけられ、右下にキャプションで「iPhoneによって編集」と記載していたのは皮肉が効いてて見ている分には非常に面白かった。
Source:Facebook Gaming Finally Clears Apple Hurdle, Arriving in App Store
Apple アプリ内課金の手数料を中小事業者を対象に15%に削減
Appleは、前年の収益が100万ドル以下の事業者のアプリ内課金手数料を2021年1月から15%に削減することを発表した。
表向きは中小事業者の支援目的と言っているが、根本的な原因はFortniteからの訴訟対策と考えられる。今回、一部の事業者に対しては緩和策を出したことで、独占禁止法を根拠に訴訟を起こしていたFortniteは文句を言えなくなる構造だ。
今回の手数料削減はアプリ内課金のみに言及されており、サブスクリプションは現行通り初年度30%・翌年以降は15%のよう。
ただ、今回の中小企業向けの手数料削減はAppleの収益にはほとんどインパクトを残さない見立て。DL数では、Top1%のパブリッシャーがゲーム・非ゲーム共に全体の80%を創出。収益に至っては、Top1%のパブリッシャーが95%近くを占有している為、今回の変更はあくまでもFortnite対策であるのが明確だ。
Source:The Top 1% of App Publishers Generate 80% of All New Installs
また、本当に今回の手数料削減がパブリッシャーの支援目的であるならば、手数料率が中小パブリッシャーのみ減額されるのは違和感がある。
本当にストア経済圏のバランス維持を目的とするのであれば、Steamのようにテーブル制の料率を採用するのが、全てのパブリッシャーにとって安全性・収益性の両立ができるからだ。
実際、Forbes誌による推定だと、今回の手数料削減はAppleの収益を2%しか減収させないとされており、明らかに裏の目的としてFortniteのような訴訟対策であるのが伺える。
Googleアプリ iOS14のウィジェット機能に対応
iOS14で登場したウィジェット機能にGoogleアプリの多くが対応完了し、追加で複数のアプリで対応予定だ。
既に9月時点からGoogle検索アプリのウィジェットは提供されていたが、この度、Gmail、Googleドライブ、Google Fit(フィット)のウィジェットが新たに公開された。
Source:iPhones just got more helpful with Gmail, Drive and Fit widgets
Gmailのウィジェットでは、受信数の確認・下書きの作成ができるが、メールのプレビューなどは見れない。受信数に関しては、ウィジェットが無くてもアイコンバッジで確認できる為、そこまで有用であるとは言えなそう。
Source:iPhones just got more helpful with Gmail, Drive and Fit widgets
GoogleDriveでは直近使ったファイルをウィジェットから閲覧可能な他、Google Fitではその日のアクティビティをウィジェットで確認可能になっている。
GoogleカレンダーとChromeも近く対応が予定されている。
Googleカレンダーでは、その日の予定がウィジェットで一覧で確認でき、今年中のリリース予定。
Chromeは既に提供されているGoogle検索アプリと機能は同じになっており、リリースは年明け予定だ。
Apple iOS14.3でショートカットアプリの機能を修正
ベータ提供中のiOS14.3において、Appleのショートカットアプリで作成した独自アイコンをクリックした際に、ショートカットアプリが起動せずに、直接カスタムアイコンが起動できるように機能が修正された。
9月のiOS14リリース以降、ウィジェット機能をカスタマイズするWidgetSmithなどと時を同じくして、ショートカットアプリを使用したカスタムアイコンを作るのがブームになった。
Source:SensorTower
上の図は、9月17日のiOS14リリース日からのホーム画面カスタマイズアプリのDL数の推移だが、20日のDL数は17日比で約26倍と大きく伸長しているのが分かる。収益もたった1週間で100万ドルを超えており、新しいアプリカテゴリが構築されたと言っても過言ではない。
これだけ、ホーム画面のカスタマイズ需要が増加している中、iOS14.3以前では、ショートカットアプリで作成したカスタムアイコンをクリックすると、一度ショートカットアプリが立ち上がる仕様になっていた。
故に、今回の仕様変更はカスタマイズ需要が特に大きい若年層には歓迎される機能だろう。
そもそものウィジェット機能がどのようにユーザーに使われているかや、どのような影響を今後アプリマーケティングに及ぼすかは、別番組MobileUpdateで詳しく解説しているのと、解説記事も挙げているので、ぜひご参照頂きたい。
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以上、今週のモバイルマーケ関連ニュースまとめでした。
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記事をご覧頂き各ニュースが気になった方は、是非元番組である「Beyond Mobile」をご視聴頂けると幸いです。
また、ひとつのモバイルマーケのテーマを徹底的に深掘りするポッドキャスト番組「Mobile Update」も毎週更新中なので、お時間がある方はそちらもご覧ください。
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