エッセイ モンスズメバチに巣を奪われた フタモンアシナガバチ 2024年7月21日

和歌山の実家に滞在している。縁側に座ってぼんやり外を見ていると、サツキの茂みの中にスズメバチが入ってなかなか出てこない。もしかしたら何か餌でもあるのかと思って中を覗き込むと、案の定、アシナガバチの巣があった。バリバリと巣を噛み砕く音がして、中から白い幼虫を取り出し食べている。肉団子を作って持っていくのかと思って見ていたが、かなり食べてしまったように見える。

縁側に戻ってぼんやり観察していると、巣の主であるフタモンアシナガバチが戻ってきたが、モンスズメバチの姿を見ると巣には戻らず、近くを飛び回っている。他にも何匹か戻ってきたが、やはり巣には戻らずあたりを所在なげに飛び回っている。

それから2日経った。全ての幼虫を引き出したのだろう。モンスズメバチはもう見かけないが、フタモンアシナガバチはもう戻っては来なかった。女王蜂は抵抗して殺されたのかもしれない。もしくは逃げ去ったのかもしれない。

働き蜂が相変わらず時折所在なげに飛んでいるのを見かける。

これから彼らはどうするのだろう。自分一人だけ生きていくのなら、自分の食事だけを考えればいいので楽なような気がするが、そのようにはなっていないのかもしれない。目的を失った働き蜂はどのように生きるのか興味がある。

集団生活をする、例えばミツバチなどの働き蜂は無性生殖によって生まれたメスである。つまり、女王蜂と同じ遺伝子を持っている。なので、女王蜂の為に死んでも何ら遺伝子が失われない。つまり 女王蜂と働き蜂は全体で一つの生き物のようなものだ。そのような働き蜂が女王蜂がいなくなった時、どのような行動をとるのだろう。

所在なげに飛んでいるフタモンアシナガバチを見て、そんなことを思った。

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