Thanksgiving Yakisoba
アメリカでクリスマスと一二を争うイベントのサンクスギビングデイまであと1週間。秋も深まる。当日の11月28日前後は休みのところが多く、週末と合わせて休暇ウィークとなる。日本の正月のように旅行や実家に帰って家族が集まるイベントがあちこちで行われるイメージ。その1週間前の今日、アパートのマネージャーさん主催の少し早めのサンクスギビングパーティに誘ってもらった。
マネージャーさんの家族、ボーイフレンド、ボーイフレンドの家族、私のようなアパートの住民達が、アパートのクラブハウスに四、五十人集まった。因みにアフリカ系アメリカ人のマネージャーさんはもう70歳近いが、去年から同居を始めた同世代の白人ボーイフレンドがいる。今回お互いの親や子供、孫なども駆けつけて、両家顔合わせ的なイベントも兼ねたイベントだった。パワフルで情と若さに溢れたマネージャーさん。日本では珍しい関係だと思うが、離婚率、再婚率が高いアメリカではそうでも無いのだろう。お互いの家族が二人の関係を心から祝福している感じが素敵だった。
参加者が一品料理を持ち寄り、会場にはサンクスギビング定番料理がぎっしり並んでいた。ターキー、ハム、マッシュポテト、マカロニアンドチーズなどなど。私は豚バラとキャベツともやしのヤキソバをたくさん作って持っていった。ほぼ初対面の不特定多数の人がいるパーティで気楽に振る舞うのはなかなかハードルが高い。仕事など利害やゴールがある程度共有できる間柄だと、拙い英語力でもそこそこコミュニケーションが成立する。一方でこういうパーティでは英語というよりも、自分の性格が影響してなかなかうまく話せないことが多い。今日の集まりは初対面の人が多く、マネージャーさんが自己紹介の機会を作ってくれた。
招待してくれてありがとう。ここに来て3年経ったが、静かで平穏なご近所のお陰で素晴らしい日々を過ごせている。ここにいる皆さんとの時間を楽しむために、ヤキソバを作ってきた。そんなことを立ちあがって自己紹介した。余談だが、みんなが座っている時に立ち上がって話をすると、プレゼンでも自己紹介でも損したことはない。自己表現が淡白で和風な性格の私にはそれくらい必要だいつも言い聞かせている。今日も温かい目で聞いてくれる参加者の顔が見えて安心した。
その効果もあったのか、大量に作ったヤキソバは即完売した。これまで何回かアメリカ人のホームパーティにヤキソバを作って持って行ったことがあるが、毎回反応が良い。ポイントは味付け濃いめ、胡椒や花椒などのスパイス多め。今回は以前日本の出張者にお土産でもらった東海地方のソース、コーミソース、醤油、オイスターソースを使って味付けした。脂身の多い豚もたっぷり使いコッテリとした味わいに仕上がったと思う。他とは絶対に被らない上に、意外とアメリカ人の口に合うようだ。Yakisobaおいしかったよ!と話しかけてくれる人が何人もいて、嬉しかった。会話のキッカケも多く生まれた。苦手なシチュエーションを少し克服できた。Thanksコーミソース。
色んな背景を持った人がいる。身寄りの無い人もいれば、サンクスギビングに帰る場所がない人もいるのかも。人種、宗教、ジェンダー、年齢に加え、未婚、結婚、離婚、再婚など様々な選択肢を重ね枝分かれする人々の価値観はまさに多様だ。とろーりとした濃い味でそれらをまろやかに包み込み、新たな紐帯を生み出すコーミソース、恐るべし。