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桜マチ: 熱海、吉祥寺、そして札幌

緑内障手術後の恢復待ちで仕事の大方を休んでいます。結果、毎日が気の向くままの生活で、気力・体力イッキに持ち直した感がありますが、一点ちょっと困るのは、収入の大方もお休み中なこと。やはり収入は仕事の量と正比例するんだな、をいまさらながらに実感しています(遅いわ)。

僕は現在のこの状態を「老後のレッスン」と名付けておりまして。すなわち、「レッスン」ですから、まだ本チャンの老後ではない、と一応抗ってみせているわけです。加えて、「レッスン」ですから失敗も許される、と先回りして自己弁護しています。

しかしながら、たとえそれを「レッスン」と呼ぼうと、「本チャンじゃない」と強がろうと、我が家の緊縮財政は喫緊の課題。待ったなしです。と言ってもやるべきことは火を見るより明らかでして、収入を増やして支出を制すること、これに尽きます。

「収入を増やす」は即効性のある話ではなく、結果はいずれぼちぼちついてくると高を括っています。他方で「支出を制する」の方はドラスティックに、やれること全部やる、すぐやる所存です……というか、すでにもう始めています。

身近なことでいえば、例えば、できるだけツケでモノを買わない。より具体的には、大好きなAmazonやメルカリや各社通販サイト(Paul Smith、JINS等)での買い物、すなわちクレジット決済を可能な限り我慢する、ということ。これはやってみれば意外とイケる、を実感しています。実際、クレカの引落額が、今月分は2ヶ月前の1/3になりました。

次に、住宅ローンの繰上返済。こちらも先月思い切ってバシッと完済してみて、ほんとに身軽になったを実感しています。もちろん、これまでやらなかったのは、貯金がドサッと減るから。ただ、依然低金利が続いているとはいえ、住宅ローン返済の重圧からキッパリと足を洗えたのは聞きしに勝る爽快感です。実に四半世紀ぶりに金利払いと無縁の身になりました(バシッ、ドサッ、キッパリで預金残高もスッキリですが)。

ただ、支出減の切り札はなんといっても「多拠点生活」との訣別。これに尽きます。が、結論的には、これがなかなか難しい。「難しい」どころか、実は、いまちょっとした新規のプロジェクトが進行中でして、これがなんと緊縮財政どころか支出増の話です。具体的には、

「熱海の家の周囲を竹林から桜の園に変える計画」

というもの。現在、庭師さんが入って、竹林を伐採した上で、灌木のたいがいを処分して、庭を丸裸にするところまで来ました。このあと元からあった桜の木数本に加えて、ソメイヨシノの成木とシダレザクラの成木をそれぞれ数本ずつ移植する「桜待ち」の段階。桜はどこから? 建築家・守田昌利先生のパートナー、慧皇(えこう)さんのお庭から。

守田昌利先生は10年前、熱海の我が家を初代持ち主の、東大のN先生の別荘として設計されたのでした。その後、コロナが流行する半年ほど前に僕がN先生から譲り受けたのですが、オーナー・チェンジ後も、守田先生は慧皇さんとともに毎週のように我が家に遊びに来てくださり、建築のこと、熱海のことから人生のことまでさまざななことを教えてくださったのち、昨年の夏にお亡くなりになりました。

亡くなる直前、我が家の眼下に流れる小川の周辺にソメイヨシを数十本植えるのに私財を投じたお二人は、まさに公共心のお方でありました。我が家を含む守田昌利・熱海市西山町プロジェクトは、その建築家の没後も継続しているのだ、と思えば、庭の整備に多少の出費が必要なことくらいなんでもありません(ほんと?)。

さて、数週間後の開花の時期に、我が家の桜は間に合うのか。そして、きちんと開花してくれるのでしょうか。

折しも、東京・吉祥寺・井の頭公園の池のほとりの桜も硬い蕾に薄っすらと赤みが入ってきました。今週一週間、ウソのように暖かかったことで、急にヤル気を出したのやもしれません。さらには、札幌・円山公園の桜の開花は、例年なら、来月のゴールデンウィーク頃。

ここから2ヶ月は桜を待ちわびる楽しみを日々味わえることと思いますが、一通り散り終えたら「老後のレッスン」も上級篇に進むつもりです(ほんとにほんと?)。


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