【WACK外伝】盲目の吟遊詩人1-01〜旅のはじまり「盲人とカラス」〜
第1章 旅のはじまり
第01話「盲人とカラス」
馬車が“ゴトン“と大きくゆれ、フーゴは荷台のワラの中で目が覚めた。馬が「ヒヒーン」と鳴いて、しばらくして、最初の振動より大きく、馬車の荷台がつんのめるように傾き、“どしん“と、その場で上下に叩きつけられるようにして止まった。
「やれやれ強盗か?」目は見えないが、肌を刺すような雰囲気を感じ、フーゴはかたわらの竪琴を左手に構え素早く立ち上がった。
フーゴは左脇に竪琴を構え、右手の親指で軽く弦を弾く
「キーーーン」という高周波が、こだまする
「にい、さん、‥6人か」、やれやれ、あと一時間もすれば、街に入れるのに、運が悪いな、イヤ‥、コイツら最近ウワサになってる、街に入ろうとする旅人を襲う強盗団か?
「はー、めんどくさっ」フーゴはため息をついてから、右手の親指と人差し指を輪にして、「ぴーーーい」と大きく指笛を吹いた。
バサバサっと音がして、フーゴの右肩に淡いぬくもりと共に、カラスが止まった。
「どうだHiro、ヤツらは武装してるか?」
「わからん、ただ相当な手練れだ、おそらく組織された集団だろう、奥から指示だしてるリーダーらしきヤツが見えた」
「やれやれ、こちとら食料も尽きて腹ペコなのに、バトるんかい」
「フーゴ、やるしかない、街まであと一時間、軽くやっつけて、うまいメシを食べようじゃないか」
「Hiro、オマエさっき、“相当な手練れ“って言ってなかった?」
(つづく)
次回「六人衆と石頭」