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「読んでて全く飽きないですよ!」ピーター・バラカン×高井浩章ラジオ対談ダイジェスト

9月27日、TOKYO FMのピーター・バラカンさんのラジオ番組 Lifestyle Museum に出演しました。
放送ではカットされた部分も含め、こちらから音声でお楽しみいただけます。

我ながら愉快な対談で、お聞きいただくのが一番なのですが!
お忙しい現代人の皆さまが「30分ちょいか……つまんなかったら時間の無駄やん……」と思うのも、分かります。
ということで、自分の備忘録もかねて、実況風にテキストのダイジェスト版をお送りします。

アドリブで始まるスリリングな展開

まずは柴田幸子アナのオープニングのナレーション。

柴田:人にはそれぞれ個性あふれるライフスタイルがあります。そんな様々な生き方や価値観をさぐっていく「聞くミュージアム」がThe Lifestyle Museum。今宵30分だけオープンするミュージアムにやってくるのは、どなたなんでしょうか。

うーん。カッコいい。この日はやってきたのは高井さんでした。
そしてバラカンさん登場。

バラカン:こんばんは、ピーター・バラカンです。

この、ほとばしるピーター・バラカン感。
目の前で聞いて「うお!」ってなりました(笑)
冒頭はバラカンさんのコメントから、という構成は把握してましたが、台本でも内容未定というかブランクだったんですね。

バラカン:このところちょっとテレビ不信に陥っていて、ほとんどテレビを見ていないんですけど、それまでは少なくとも夜のニュースはできるだけ見るようにしていました。でも、ずっと一つ、大きな悩みがあって、それはニュースの言葉遣いが難しすぎる。政治のこともそうですし、経済のこともそうですね。
最初は自分が長年日本に住んでいるにも関わらず、やっぱり英語圏のネイティブだから日本語の理解力が足りないと、思っていたんですけど、日本で生まれ育った女房に聞いたら、たとえばある経済の用語を「これ分かる?」と聞いたら、「いや、分かんないだよね」ということがかなり多いことに気が付きました。
ということは、おそらく他にも、こういう言葉遣いが、本当は分からないんだけど、人前ではそれを言うのが恥ずかしいから、分かるようなふりをしていて、実は圧倒的に多くの人が分かっていないんじゃないかと思っています。これは、テレビ局のニュース原稿を書いている人たちが、それも理解していないはずもない。にも関わらず、これがずっと続くのか、いまだにちょっと不思議に思っています。

バラカン節に聞きほれながら、高井さんのアタマは「おお、そう来たか。さて、ここからどう繋げばよいものだろう」と高速回転していました。

バラカン:柴田さんはかがですか?

柴田:私もまさにそうです~。なかなかちょっと言い出せないこともありますよね。今日はそんなことからは対照的な、難しい話をわかりやすく伝えて下さる方、お迎えしています。

おっと。柴田さん、ハードル上げるねぇ…。

バラカン:こんばんは

高井:こんばんは。よろしくお願いします。

バラカン:先ほど僕が話したことは、やっぱり感じてました?

高井:経済の用語が難しくなってきているというお話ですか。それは実際の経済が複雑になっているというのが、一つの原因ですね。

バラカン:そうなんだ。

高井:なんですけども……もう一つ、大きな原因は、**たぶん、昔からそうなんです。昔から経済の用語って、みんな、分かったような、分からないような状態で、でも人に聞くのは恥ずかしいし。 **

バラカン:うん、ですよね。

高井:でも、まあ、知らなくても人生、何とか生きていけるかな、と。自分の手の届く範囲のことだけ分かっていればいいと過ごしてきている方が、実は多いんじゃないかなという気がしますね。
この2つが重なって、特に経済が最近複雑になってきているんで、バラカンさんのように感じる方が増えているんじゃないかなという気がしますね。

乗り切った!高井さん、うまい!
ここ、自分が何を喋ったか完全に忘れてました。番組聞いてて、自分で感心しました(笑)

この後、話題は本を書いた経緯に。
2010年、長女が10歳になったころ、経済やお金のことを知ってもらおうと良い本を探したけど見つからず、「書いちゃえ」となったとご説明。

バラカン:本当にねぇ、日本の小学校高学年とか中学生ぐらいの子どもたちのために、ちょっと読み応えのある本が少ないように感じますね

高井:割と最近、ティーンエイジャーとか小学生向けの経済の本なんかが増えているんですけど、ちょっとどこか上から目線だったり、ちょっと易しすぎたり、お金の良いところだけ取り上げていたり、お金の本質に迫っていない本が多いんですよね。何よりも、子どもが読みたいな、と思うような本があまりない。

バラカン:そこが一番問題ですよね。

高井:いや、なんですよね。とくにウチの子どもなんて飽きっぽい性格なんで、どうやったら読んでもらえるかな、と思ってこういう小説形式というかお話形式で、お話が面白いなと思って読んでいると、騙されたようにお金の知識が入ってきちゃうという形の本にしました。

「経済青春小説って……」

この後、執筆の経緯や具体的な本の内容の紹介なんかに入っていきました。
リスナーさんの大半は「知らんがな」状態なので、これは必須。

バラカン:経済青春小説、というジャンルが……あるんですか(笑)

高井:……ちょっと無茶ですよね(笑) 実際、だから書店さんも、どこの棚に置くのか迷っているっていう…。でも、これはしょうがなくてですね、そういう本がなかったから、書いたんですよね。

バラカン:そもそも書くきかっけとなったことはありましたか。

高井:もう、グルグル、都内の本屋を回って。私、そんな勤勉な人間じゃないですから、ピッタリの本があったら買って与えて、「読みなよ」って言おうと思ったんですけど、なかったんですよね。

バラカン:親はね、子どもに対して経済のこと、お金のことって説明しようとすることが、まず頭にないと思うんです。

高井:そこが問題で。まず親が教えるってのはすごくむずかしい。子どもって、親の話、聞きませんよね(一同笑) 特に親の真面目な話なんてなかなか聞いてくれない。

柴田:確かに。

バラカン:うん、そうかもね。

高井:さらに問題なのは日本では、経済や金銭の教育を学校でやってくれないですね。どっちかと言うとお金のことを考えることは、汚い、良くないことだ、という価値観が昔からあって。それが大人になってからも続いていたりするんですね。ビジネスの場面でもお金の話は最後にしたりする。
そういう価値観があるものですから、放っておくと、お金のことって深く考えないまま大人になっちゃう。

バラカン:かなり実際にそういう人、多いんじゃないですか。

高井:すごく多いですね。この本を出してみて、もちろん娘に向けて書いたものですから、若い人に読んでほしいな、と思って書いたんですけど、大人の読者で「初めて経済のことが分かった」っていう反応がすごく多い。

バラカン:ほんと!

この後は、「そろばん勘定クラブ」で三人組が経済とお金について学ぶ、という本の説明を少々。未読の方はこちらのリンクから書籍の紹介等をご参照ください。

「お金の手に入れる6つの方法」を中心に進むストーリーについて、バラカンさんから「こんなによくできた中学生、ホントにいるのかと思いました」というツッコミがあり、「家庭内連載では小学5年生の設定だったんですよ」というやり取りなんかがありました。これは定番ネタですね。

高井:大人の読者も割と多いんです。

バラカン:いや、これ、僕の歳で読んでてもまったく飽きないですよ!

高井:ありがとうございます!

バラカン:すごく面白い!

柴田:勉強になりました(笑)

高井:そういう感想をいただく方によく言われるのは「ああ、中学校でこんな授業受けたかったっていう感想ですね。

バラカン:いや、そうですよ。

この後は本の中で取り上げている職業についてざっと説明。
ちょっと感動したのは「銀行家」についてのやり取りでした。
バラカンさん、ほんとしっかり読みこんでくださっていて、がっちり会話がかみ合って、盛り上がりました。リーマンショックを引き起こした投資銀行のビジネスモデルへの疑念が執筆に影響したことなどを話しています。ここは聞いてのお楽しみ。
若い読者からの反応はどうですか、という質問があったので、この投稿で取り上げた河内勇之助くんの話をご紹介しました。この辺は完全にアドリブでしたね。

「人類はお金に慣れてない」

高井:私が期待している読み方は、一回読んで、頭を通しておくと、その場でわからなくて全部生かせなくても、どこか人生の場面で、お金を借りるときに借用証書って、これサインしていいのかな、と(いう形で生きるときがくるはず)。

バラカン:いや、正直、そういうことって、僕も分かってないですよ。

高井:そういうこと、教えないので、割とみんな普通にリボ払いとか使っちゃうんですけど、あれも残高が一定を超えたら人生終わっちゃうので。という罠がいっぱいあるんです、お金というのは人間の脳みそで理解しにくいものなので。
お金って、まだできて、いいところ一万年とか数千年しか経っていない。人類の歴史は数百万年ですよね。だから、慣れてないんです、使い方に。だから、どんな頭良くても間違えちゃうんです。

バラカン:そうか、慣れてないのか、人類が。

高井:慣れてないです。お金のことを深く知るには、概念として確率とか統計とか、そういったものを理解しなきゃいけないんですけど、これも全部苦手なんですよ、人間は。

バラカン:確かに!ほんとに、それこそ投資銀行の、いわゆるデリバティブみたいなものを作っているホントに限られた少ない人にしか分からない。

高井:そう、普通の人は分からないんです。だから我々はすごく非合理的な選択をしがちなんです。でも、それは生き物としては割と合理的だったりするんです。あまり深く考えないで、ひとまず良さそうなものを取った方が野生動物の場合、良かったりするんですけど、人間の場合、良さそうだと思って食いつくと、それが毒入りの金融商品だったりするんですね。

アドリブなのをいいことに、けっこうな毒舌ですな(笑)
この後、話題は「高利貸しと過払い金訴訟問題」に少し流れました。
ここでは割愛しますが、私が話したのは「この本は『正解』を示すことじゃなく、『こういう問題がある。あなたはどう思うか』と考えてもらう形式を意識して書いた」という趣旨のことをお話しました。テーマはさらに学校教育のあり方、なんかにも及んで、完全に雑談状態に(笑)

終盤、バラカンさんから、仮想通貨、特に「リブラ」についてにどう思いますか、というご質問がありました。これは「そっちに話題が行くかも」とチラッと台本に書いてあった。
この問題、私には持論というかストックアンサーがありまして、「野放しにするのは良くない。我々の手にはあまる『オモチャ』じゃないか」という懐疑論を述べました。理由など詳細は聞いてのお楽しみ、とします。

そして最後、韓国版、台湾版、中国本土版と翻訳が出ることと、この日最大のビッグニュース、漫画化構想についてお話ししました。

「続編は?」というご質問もいただいて、けっこうベラベラと構想をお話しています。ここも聞いてのお楽しみ、といたします。×年後、舞台は〇〇に、とかなんとか。

ラジオ、また出たいです!

以上、駆け足でダイジェスト版を書いてみました。
我ながら楽しい対談になっているので、ご興味がわいた方はぜひお時間あるときに。リンクを再掲しておきます。

収録時点ではバラカンさんはギリギリ読了していなくて、「『6つ目の方法』がまだ分からない!」という状態だったのですが、後日、読了されたようで、この数日後のNHKのラジオ番組「ウィークエンド・サンシャシイン」でご紹介くださいました。ありがとうございました。

いや、しかし、ほんとにラジオ、楽しいな。
ネタやゲストに困っている各局関係者の皆さま!
ホイホイと参りますので、お声がけください!

最後に漫画化プロジェクトの連載をボチボチやっていくので、こちらもお楽しみに!

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異色の経済青春小説「おカネの教室」もよろしくお願いします。


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