高井浩章 特別インタビュー by高井〇章
こんにちは、新聞記者の高井〇章です。
最近、本屋で「高井浩章」という人の「おカネの教室」という本をよく見かけるようになり、名前がそっくりで読みも同じだし、どうも年齢や人生遍歴も似ているようで、気になっていた。「記事になるかもしれない」と思い、インタビューを申し込んだのだが、結局、新聞記事では使えそうもないので、noteでシェアして消化してしまうことにする。
本名なんですか?
ーーこんにちは。
「いやいやいや、どうも、どうも」
ーー(軽いな…)えー、いきなりですけど、高井浩章って本名なんですか?
「いえ、ペンネームです。本名は高井〇章と言います」
ーーえ。
「え?」
ーー私の名前も高井〇章です(名刺を渡すが、高井氏はろくに見ずにそれを胸ポケットに放り込んだ)
「ああ、奇遇だね。そんなにある名前じゃないのに。あ、これ、名刺」
ーーイラスト入りでかっこいい…うらやましいです。
「いいでしょ! 本の装丁と同じで、デザインを佐藤亜沙美さん、イラストをウルバノヴィチかなさんにお願いしたんだよ! 超お気に入り」
ーーしかし、なんでまた、一文字変えただけのいい加減、いや失礼、シンプルなペンネームにしたんですか。
「会社に良い加減にイーカゲンな先輩がいてね、その人も一文字違いのペンネームで本出してて。で、Kindleで『おカネの教室』出すときに、その真似したんです。『ひろ』って漢字変換したら『浩』が出てきて、字面みて、あ、これでいいかって3秒で決定」
「なんか、ペンネームとか、小説の登場人物に名前つけるのって、照れくさいというか、白々しいっていうか、野暮っていうか…。それに『村下春樹』とかつけて、出版社のヒトとかに『村下さん』とか呼ばれても、反応できる自信ないっていうか、『誰だよそれ』ってなりそう」
ーーそれならいっそ、本名で出せば良かったのでは?
「それはね、本業の活動とごっちゃになっちゃうから、やめときました。ブランドとまでは言わないけど、別の看板でやってますよって分けて。『ここは個人として勝負してます』という気分だね」
「SNSなんかをやるうえでも、本名とペンネームで別人格にしておくと、やりやすいし、精神衛生上も良いかな。今のところ、ペンネームの方は、お行儀よくしてます。客商売なんで!」
なんで本書いたんですか
--ところで、これ、ちょっと変な本ですね。なんでこんなものを書いたんですか。
「あー。その質問、パス」
ーーえ?
「え?」
ーーいや、フツーの質問ですよね。パスと言われても…
「あの、失礼だけど、あなた、準備不足じゃない?これまで散々インタビューとかで答えてるよ、それ」
ーー……失礼ですけど、あなたこそ、経験不足のようですね。こんな定番の質問、インタビューのたびに聞かれるに決まってますよ。ほんとに本職、新聞記者なんですか?
「チッ…まあ、この記事とかこのnoteでも読んで、適当に引用しておいてよ。同じ話するの、苦手なんだよね」
ーー……(たまにいるんだよな、こういう取材先…)
本は売れてるの?
ーーところで、3月に本が出て半年ちょっと経ちました。売れ行きはどうですか。
「(急に眼を輝かせて)それがね! 最近、また増刷が決まって! もう8刷ですよ! この前、Amazonの総合ランキングでも1位取ったのよ! いや、あれは気持ちよかったなー。ちょっと前にKindle版もランキングトップ取ったことがあってね。個人出版したKindle版で無料部門でもトップ取ったから、おそらく日本初のAmazon三冠王コンテンツだね」
ーーそれはそれは。ここまで売れると予想されてましたか。
「ここ…オフレコでいい? それなら本音、言うけど。オンレコなら、『いやあ、予想以上に支持されて、ビックリしてます』にしておいて」
ーーそれはまた、天井見て書けそうな模範解答ですね…。参考まで、オフレコの方もお聞かせください。
「OK。正直、今のところ、予想通りというか作戦通りというか、そんな感じですね。とにかく、最初の数か月も今も、課題は『サバイバル』だから」
ーーサバイバル、ですか。
「そう。本って、年間7万点とか8万点とかアホみたいな数出るでしょ。特にビジネス書コーナーなんて、3か月サイクルぐらいでガラっと棚が入れ替わる。売れない本なんて1か月もたたないで店頭から消えますよ。だから、まず生き残らないと話にならない」
ーーなるほど。で、生き残って、どうするんですか。
「口コミが広がるのと、何らかのきっかけでブレイクするのを待ってる。ちょっと前には、ダイヤモンドオンラインさんとマネー現代さんに自分で書いた記事を出してもらって、Amazonでがーっと売れて、書店さんでも良いところに並べてもらえるようになったみたいで。口コミは着実に広がってる手ごたえがあるので、サバイバルのメドはちょっと立ってきたかなー」
ーーで、いつブレイクするんですか。
「……それが分かれば苦労はないっての……変な本だからかどこも新聞は書評で取り上げてくれないし……だから自力で記事書いたりしてんだけど……誰か有名タレントさんでも突然、推薦してくんないかな……あのPPAPがジャスティン・ビーバーでブレイク、みたいな……あ、テレビとか、呼んでくれないかな……BBCかCNNかアルジャジーラあたり……ま、NHKでもいいけど……」
ーーあの…高井さん?
「あ、はい。いや、そのうち、ブレイクしますよ! だって、いい本ですもん、これ」
ーー自信あり、ですか。
「ありあり。増版されると新しい版の見本が届くんで、そのたび読みかえして『おもしれ―じゃねーか!』とか言ってますね」
ーー(大丈夫か、このオッサン……)でも、いい本が売れるとは限りませんよね。
「おっしゃる通り! でも、この本は間口が広いから。誰でも読めて、テーマは誰もが使うお金だから。僕はね『この本の潜在読者は少なく見積もって3000万人はいる』って言ってるんですよ」
ーーはぁ。それ、なんか根拠あるんですか?
「日本の中学生、高校生、大学生ってそれぞれ300万人ぐらいなわけ。合わせるとアバウト900万人いるんですよ。この900万人はみんな潜在読者。もともと、自分の娘に『社会に出る前に知っておいてもらいたいルールブック』を小説形式で楽しく読んでもらおうって動機で書いた本なんで」
「あと、社会人でも、読んで『おお!そうだったのね』ってなるヒト、けっこういると思う。実際、そういう読者の感想多いし。お金とか経済って、めんどくさくてスルーしてきたってヒト、多いから。今、日本の就業者数、仕事もってるヒトって、6000万人ぐらいでしょ。堅めに見積もっても3分の1、2000万人ぐらいは『おカネとか経済とか、よーわからん』状態じゃないかな。ほら、学生さんと社会人、合わせて3000万人でしょ。その1%にリーチすれば、30万部行くんですよ!」
ーーそれはまた壮大な妄想、いや失礼、構想ですね。
「ま、版元に広告打ってもらいたいからホラふいてるんだけどね」
ーーご著書のことは大体わかりました。では、個人的なバックグラウンドとか、そっちに移らせてください。
「あ、そう。じゃ、攻守交代ね」
ーーえ?
「え?」
ーー何を交代するんですか。
「とぼけるんじゃないよ。あなた、私でしょ。こちとら『おカネの教室』の著者っていう世を忍ぶ仮の姿なのよ。リアルな高井〇章のことは、自分で話しなさいよ」
--…………。
名古屋生まれ名古屋育ち
ーーということで、ここからは高井浩章がインタビュアーを務めます。ベタだけど、歳とか出身とか家族構成とかから聞いとこうか。
「はい。1972年生まれで今年46歳。名古屋出身で、大学まで名古屋でした。高校3年生と中学3年生、小学6年生の娘がいまして、三姉妹と奥さんと東京都内の片隅でひっそりと暮らしてます」
ーーで、本業は新聞記者、と。
「1995年に今の会社に入って、ずっと記者とかデスクっていう記事を編集する仕事をやってます。あ、1年半だけシンクタンクに出向して、経済予測モデル作ったりしてました。あれは楽しかったなあ」
ーーそういう感想とか、いいから。ちょっと前まで、ろくに英語も話せないのに、ロンドンにいたよね?
「2016年から2年、ロンドンで、欧州やアフリカ、中東、ロシアなんかの現地記者のお手伝いというか仕切り役みたいなことやってました。英語は…今も苦手ですね……。『おカネの教室』は向こうで書き上げたんですよ。家族みんなでロンドンに住んで、イギリスやヨーロッパ中をあっちこっち旅行して…楽しかったなあ」
ーーだから、そういうのはいいから、チャキチャキ答えて。専門分野は?
「今も国際ニュースの担当なんで、一応、そっち方面ですね。トランプとか、Brexitとか、そういうやつ。でも、もともとはマーケット記者なんです。株式市場と債券市場、それぞれ5~6年ぐらい担当して、為替やコモディティーもつまみ食いしてたので。記者時代はあと金融機関や運用会社、上場企業なんかの取材もやってましたね」
「ロンドン以外では2000年前後に4年ほど大阪にいましたね。取材分野は同じような感じ。そこで長女が生まれて。記者歴が20年ちょい、お父さん歴は20年弱ですね」
ーー趣味とかないの?
「あれこれあるけど……読書は、飯食うとか寝るとかトイレ行くとかいう日常レベルの活動だから、趣味って感じじゃないなあ。ギターもなあ、一人カラオケ用伴奏マシーンって感じだし…あ、一番それっぽいのは、スリークッションだな。ビリヤードの一種」
ーー持ち点は?
「いきなり、そこ? マニアックだな……一応、25点です」
ーー最近、点上げしたのは?
「いや、だから、質問、マニアックすぎるって。スリークッションの説明とか、いいの? まあ、もう何年も25点のままですけど」
ーーああ、「そこそこ突けますよ」って持ち点で満足する向上心のないタイプね。
「…………」
ーーほかは?
「最近やってないけど、レゴブロックですね。集めるっていうより、オリジナル作品を作って楽しむタイプです。あ、これ見て、自信作。マイケル・ジョーダンと桜木花道の庶民シュート!」
ーーバスケ、好きなの?
「小中高とバスケ部で、大学もバスケサークルでしたよ!スリーポイントシューターでした!」
ーー大学で体育会から逃げたのね。
「身長が172なんできつかったのもあるけど、それ以上にあの体育会系カルチャーがダメで、2週間でやめちゃいましたね。飲み会で脱ぐとか、吐くまで一気飲みとか。今はそこまでバカじゃないだろうけど。年功序列とか、理不尽な慣習とか、苦手なんで。それより、これも見てよ、よつばとスプラトゥーンシリーズ!」
ーーっていうか、よつば、フィギュアじゃん。
「………。じゃ、この、神龍とホンダシティは? シティコンポのミニマムな再現度がポイントなんだけど…」
ーー………。
「マジンガーZとガンダムも良い出来でしょ、ね? ね? これ、ポージングだけじゃなく、ちゃんとパイルダーオンできるんですよ。離脱するとホバーパイルダーの翼も開くという、もう、お好きな方にはたまらない、ね」
ーー……。
「あ、なんかキャラものとか、そっちばっかりだな、とか思ってんでしょ。こういう、フツーにかっこいいのも作ってるんだな、これが! ドラマー! シンプルで、いいでしょ。こいつを中心にライブ会場まで作っちゃったよ。合格発表、あじさい、お雛様、どれも、素敵でしょ」
ーー……。
「ふふふ。圧倒されて声も出ない、ですか。ま、最高傑作はこれ、レゴのミニフィグの工場。右上の白いブロックを溶かして成型して、黄色のボックスでペイントされるラインって設定なわけ。もう、アイデアの勝利ね、これは」
ーー……わかった。
「私の凄さがわかりました? で、次の質問は?」
ーーお前が、レゴを自慢したいだけの暇人なのは、じゅうぶん分かった。こんなもの作る時間があったら、早く「おカネの教室」の続編書け!
「いや、だって、それは、あなた、高井浩章さんの仕事じゃ…」
ーーえ?
「え?」
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