最近「マスゴミ」という言葉を目にする機会が一段と増えました。兵庫県知事選の結果を「SNSが伝える真実がマスゴミに勝利した」と受け止める声も聞こえてきます。
マスメディアは偏向している、ネットにこそ真実がある。
さて。
それって「真実」でしょうか。
メディアリテラシーとは
まずは冷静に、ChatGPTさんに「メディアリテラシーって何?」と聞いてみましょう。太字は高井によるもの。
うまいことまとめますね。
具体的には以下のような要素が大事だそうです。
いちいち、ごもっとも。異論は全くございません。
さらに、頼んでもいないのに、こんな一節も提供してくれました。
すべておっしゃる通りです。
冒頭、私はこんな問いかけをしました。
「マスゴミ」と既存メディアを罵って全否定する姿勢が、メディアリテラシーのほぼ対極にあることは、お判りいただけたかと思います。
そもそも、この世に「たったひとつの真実」など、ありません。当然、「真実を伝える唯一のメディア・人物」も存在しない。
我々にできることは、幅広い情報に接して、それぞれを批判的に吸収することだけです。
忙しい人にこそ、最強メディアは「紙の新聞」
でも、ここでふと、こうも思うのです。
これって、すごく大変ですよね。
忙しい人には大変すぎる。私もちょっと前まで困っていました。
困った末にたどり着いたツールが、「マスゴミ」の代表格であり、今や絶滅危惧種となりつつある「紙の新聞」でした。
「いまさら新聞、しかも『紙』なんて」と思った方。
お気持ちは分かります。私もちょっと前までそう思っていました。
でも、改心したのです。
その改心の証として、『新聞のススメ』という本を書きました。
なぜ、いま、紙の新聞なのか。「はじめに」から抜粋します。
(ご興味のある方向けに、最後に「はじめに」と「おわりに」の全文引用を置いてあります)
「紙の新聞」の強みは、情報量と一覧性です。
最大の情報量はレイアウトと見出しにあります。その日の重要ニュースが幅広く盛り込まれていて、しかも見出しの大小で「重み」まで分かる。
「はじめに」で触れた通り、記事の中身まで読む必要はありません。気になったら読む、くらいで良い。
見出しと「ちょい読み」だけなら、1日15分もかければ十分でしょう。
この「紙の新聞をざっとめくる」と同じ情報量をネットから得ようと思ったら、最低でも1~2時間はかかるはずです。
エコーチェンバーに入り込んでしまうSNS・スマホの場合、そもそも興味がない(とAIが勝手に判断した)エリアには手も届かない。
情報量、コスパ(せこい言葉ですね、はい)、タイパ(以下同文)のバランスで「紙の新聞」に勝てるメディアはない。
陰謀論のワクチン
もうひとつ、今の時代だからこそ、新聞には重要な効能があります。
「陰謀論のワクチン」としての役割です。
こんどは「おわりに」から抜粋します。
文中にあるのはこちらのnoteです。
煎じ詰めると、私が言いたいのは「SNSだけじゃなく、新聞くらい読もうよ」ということです。
そして、どちらも批判的に読もうよ、ということです。
どちらにも、いくらかの本当といくらかのウソが混じっている(そして、ほとんどの場合、ウソの割合はネットの方が高い)。
情報を摂取するソースを偏らせることは、陰謀論にはまり込む近道です。「真実」に目覚めた気がしても、実は誰かに思考を乗っ取られているだけでしょう。
陰謀論は、いったんハマったら、抜け出すのは至難の業です。経験者は語る。
だから、予防に効くものは、何でも使った方がいい。旅でも、読書でも、幅広い人たちとの意見交換でも、何でもいい。
一番お手頃な手段は新聞です。特に「読みたいとも思っていないことが勝手に目に入ってくる紙の新聞」が最良のメディアです。
「ワクチン」で100%予防できるわけではないでしょう。
でも、1日たった200円、時間にして15分で人生終了レベルの落とし穴を回避できる確率が上がるなら、読まない手はない。
「そうは言っても、若い人、新聞、読んでくれないんだよな」とお悩みの方に向けて、最後に「おわりに」の末尾を抜粋します。
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ご愛読ありがとうございます。
久々の書き下ろし新刊『新聞のススメ』です。愉快な本になりました。若い人へのプレゼントに、ぜひ。
経済青春小説「おカネの教室」、新潮文庫になりました。
noteのメンバーシップ、月500円でいろいろ読めます。ぜひ。
以下、「はじめに」と「おわりに」の全文引用です。