そしてすべてが共感へ〜水城ゆうさんの思い出
2020年7月の終わり。水城ゆうさんからまたピアノのエッセイが届いた。
先月投稿した突拍子もないアイデアを最初にきちんとお話したのは水城ゆうさんだったように思う(もちろん家族やハウスメイト達はそのスタイルが芽を吹く前から見守ってくれていたけれども)。
水城さんと初めて出会ったのは、GEN-Japanが主催する持続可能な社会づくり講座に同じ日程で講師としてアズワン鈴鹿に呼ばれた時のことだった。水城ゆうさんのピアノや朗読はとても優しくまた心強くて、生き方そのものが詩的に映った。
共感コミュニケーション(NVC)では、「観察」「感情」「ニーズ」「リクエスト」の4つに着目する。多くの人が抱く疑問の1つが、「ニーズに根ざしたリクエストを上手に表現できたとしても、相手が受け止めてくれなかったらどうなるのだろう」ということだ。けれども、それはNVCのメッセージに対する大きな誤解だ。
世界を通じて、自身の小宇宙に眠るあらゆる気持ちに気がついて、共感し受け入れていくこと。NVCはそのドアを開いてくれる。「気取った超然さ」でなく、自分の気持ちが満ちて「甘いハチミツちょうだい」と踊るような軽快さで人と繋がり合うこと。NVCは欲しい未来を教えてくれる。水城ゆうさんという存在自体が、「NVCは生き方であり音楽である」というかのようなメッセージを発していた。
その後、野々宮卯妙さん、市原理子さんといっしょにウェル洋光台に遊びに来ていただき、その際のことは水城ゆうさんもNoteに書いてくださっている。
そういうこととは別に、戸谷さんは私が来るのを待ちかまえてくれていたようで、さっそく最新のアイディアを、ノートを広げて教えてくれた。
人が自由に、安心して、お互いに共感しあい、そしてクリエイティブになれるための具体的な方法が示されていて、私もインスピレーションを受けてわくわくした。
このアイディアはぜひとも本に書いてもらいたいと思い、そう伝えると、
「まっ先に読んでもらいたい」
といってくれたのがうれしかった。
「NVCの奥義は、人の考えを聞かないこと」という話を聞いたことがある。本当にその通りだと私は思う。人の考えに「ちがう」「そうだ」などと、反応してしまうのではなく、その考えの奥にある人の気持ち、ニーズ、そして、根源にある人の本心にアクセスすること。
水城ゆうさんに初めに話を聞いてもらって本当によかった。そして、できあがった草稿を最初にお見せできてよかった。残念ながら本にはできなかったけれど。お付き合いした時間は短かったが、水城さんは、私にいろいろなことを教えてくれた。
昨年夏に食道がんが発見され、現在は緩和ケアを受けながらも、多くの人により研ぎ澄まされた感化を与え続けている水城さん。
私も水城ゆうさんの歳になった時に、水城さんのように人の話を聞ける素敵なシニアになりたいと思う。そして、いつか水城さんが大好きだったミツバチを飼いたいな。
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