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小さなティール 組織 〜贈りあいと共感でなりたつチームの作り方(4)
ホールネス – ありのままを、活かしあう
全6回に分けて投稿を予定している、会社や地域の中のあなたの小さなチームにおける地に足のついた運営論としての「ティール 組織」のお話。第四回目では、ティール 組織の3つのブレークスルーの二つ目「ホールネス」を取り扱います。イメージは生物多様性のある豊かな生態系。トップダウンでもフラットでもない、心理的安全性を育み状況に応じて自在に変化する第三のあり方になります。感想お待ちしています。
立場は違えども、上下なし。
リーダは、職場が割り振った立場を抱えています。一方、各メンバも、実際には、それぞれがそれぞれの立場・事情を抱えています。得意なこと・苦手なことがあったり、独特のクセがあったり、幼い子供がいたり、忙しい夫がいたり。作業の得手不得手もそれぞれあります。そう考えると、リーダという立場もまた一つのちっぽけな立場・事情にすぎないのが実際だと思います。どこまで許されるのか、暗黙のルールを作るのでなく、森の多様ないのちが有機的に協調するようにそれぞれの特別さを受け入れあい、役割を固定せず、状況に応じて得意なことを活かしあうのです。役割・義務や取引ではなく、親切と共感で互いに協調しあうようにします。脅し文句のような強い言葉は互いに慎みあいます。
困ったね。また話そうか。
プロジェクト全体の目標や期限は、初めに上司と決めてあるので、皆が好きなことをやって約束が守れなかったら、当然リーダという立場では困ったことになります。残業はしたくないし、嫌いなことはやりたくない一方で、チームとして結果を出したいという気持ちは、皆、持っているものです。「プロはこうあるべきである」という枠に当てはめず、ありのままのそれぞれの特別さを尊重しあえはしあうほど、「あちら立てればこちら立たず」のことばかりであることが見えてきます。そんな時、問題を無理に解決せずに、「今日はよく話せたね。」「困ったね。また話そうか。」と互いに声がけしあいます。技術的な課題は、このためのよい題材になってくれるでしょう。
想いをもちよって働く。
日本の伝統的な大企業は成果主義を導入したと言っても、ほんの名誉ばかりの差が付くぐらいでそうそう給料が変わるものではありませんし、仕事ができないからってクビになることもまずありません。実は好きでやっているだけことが、いつのまにか報酬や恐れのためにやっているだけだという気持ちになっていることの何と多いことでしょう。メンバに、指示や納期をわりつけることをやめることで、いかにメンバが献身的にチームを支え、目の前にある課題解決に心血を注いでくれているかに気がつくことができます。社会起業家たちが、手弁当で集まって自主的にハードワークこなすように、普通の人たちも恐れや報酬によらずハードワークをこなし、皆で危機を乗り越えます。
幸せであることを大切にする。
新しい世代はよくわかっています。地位や名誉、それに少しばかりの給料の増額よりももっと大切なことがあることに。恐れや報酬によらず自主的に手弁当で働いてくれているメンバの一人ひとりが例外なく幸せであることを、なによりも大切にしたいと願うのです。幸せであるためには、チームの抱える事情だけでなく、メンバの抱える個人的な事情も「ともに困る」ことが大切です。例えば個人の目標管理制度にどう対応したらいいでしょう。一緒に困ることができたらきっと安心できるでしょう。自分を信頼し、チームを信頼し、チームの中で自分が貢献できている感覚をもてることが幸せであるためには必要です。幸せに仕事をする中でメンバはのびのびと育まれます。
問題をクリエイティブに味わう。
こうして、困ることが増えていけば、チームは「常に問題だらけ」になることでしょう。人は、わざわざ暇な時に、パズルやゲームで真剣に困ることに興ずるほど、本当は問題が大好きです。それに、例えば子供が「うちの家族は問題がない」と言い切ってしまう家族って怖いと思いませんか?素敵な家族も素敵なチームも、問題がよく見えていて、問題に囲まれているのではじゃないかと思います。ずっと解けなかった問題が解けて、みんなが心からの感嘆を示す瞬間。素晴らしいプレゼントはいつも感謝と驚きに満ちています。チームに人が持ち寄れる一番の贈り物はクリエイティビティではないでしょうか?「あれか、これか」でなく、どちらもなんとか成り立つすべを限られた時間で考え出すのです。
距離の遠い人と共感しあう。
心の距離が離れてしまうと、問題に対してともに困ってもらうことができなくなります。私たちのチームにとって、仕事を進める上で最も必要な話し合いは、距離の遠い意見を持つ人とじっくり共感し合うことです。意見は合わなくともじっくり共感し合うことで、やりたいことが変わってきますし、より信頼しあってクリエイティブな関係になることができます。二人で難しければ誰かが仲介することもできるでしょうけれども、チーム全員で共有する必要はありません。必要なことはどちらの意見が正しいかではなく、共感し合うことだからです。ゴシップが与える恐怖感や刺激から自由でありたい。距離の遠い人たちが十分に共感し合うことで、チームはハーモニーを保ち続けることができるでしょう。
挿絵引用元