【生理痛と子宮筋腫・子宮内膜症の関係】中医婦人科学
子宮筋腫や子宮内膜症と生理痛は密接に関係していますが、症状が治まった場合にこれらの疾患がない、または解消されたと考えるのは早計だと推測します。以下にその理由を解説します。
1. 子宮筋腫・子宮内膜症と生理痛の関係
子宮筋腫:
特に粘膜下筋腫では、筋腫が子宮内膜を刺激し、月経時の子宮収縮が強まることで生理痛が発生します。
子宮筋腫の場所や大きさにより、生理痛の有無や強さが異なります。
子宮内膜症:
子宮内膜が子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)に存在することで、炎症や癒着が生じ、月経時に強い生理痛を引き起こします。
内膜組織が刺激を受けるたびに痛みが増すため、重い月経困難症の原因となることが多いです。
生理痛の強さと疾患の関係:
症状が軽い場合でも、子宮筋腫や内膜症が存在することがあります。
症状が重い場合でも、疾患が軽度であることもあります。
2. 症状が治まった場合の考え方
2.1 症状が治まる理由
自然経過:
閉経に近づくと、エストロゲンの分泌が減少し、子宮筋腫や内膜症の成長が抑えられる。
これにより、症状が緩和される場合があります。
生活習慣や治療の影響:
体質改善(食事、運動、ストレス管理)や漢方薬、西洋医学的治療(ホルモン療法など)によって症状が軽減することがあります。
自己調節機能の回復:
気血の流れやホルモンバランスが改善し、痛みが軽減されることがあります。
2.2 症状がない=疾患がないとは限らない
子宮筋腫:
大きな筋腫でも、漿膜下筋腫のように子宮の外側にできるものは症状が少ない場合があります。
筋腫があるが症状がほとんどない状態も一般的です。
子宮内膜症:
症状が緩和しても、内膜症の病変が完全に解消されていない場合があります。
癒着や組織の変化が進行していても、痛みが感じられないこともあります。
無症状でも疾患がある可能性:
軽度の子宮筋腫や内膜症は無症状のことが多く、定期的な婦人科検診で初めて発見されるケースもあります。
3. 子宮筋腫・子宮内膜症の確認方法
3.1 症状以外の確認手段
超音波検査:
子宮筋腫の位置や大きさ、内膜症による嚢胞(チョコレート嚢胞)を確認可能。
MRI:
内膜症の範囲や深さ、筋腫の構造を詳細に把握。
血液検査:
子宮内膜症の重症度を推測する指標(CA125など)。
中医学的診断
中医学の弁証論治を受けたうえで診断を行う。
3.2 症状の有無に関わらず検診を推奨
症状が軽減または消失していても、検診で筋腫や内膜症の有無を確認することが重要です。
特に閉経前後は疾患の動向が変化するため、定期的なチェックが必要。
4. 結論
症状が治まった場合でも、子宮筋腫や子宮内膜症が完全に解消されたと断定するのは難しいです。
症状が軽減した原因として、ホルモンバランスの変化や生活改善の効果が考えられますが、疾患が無症状の状態で存在している可能性もあります。
定期的な婦人科検診を受けることで、疾患の有無を確認することが推奨されます。特に無症状の状態であっても、潜在的なリスクに備えることが大切です。