【疑問 食べること】中医養生学
上記の中医学的な養生に関する内容をさらに詳しく説明します。以下は、具体的な食材や食習慣に関する中医学的なアプローチを深掘りした解説です。
1. 昆布だしとミネラル摂取
昆布は、海藻の中でも特に「化痰」や「利水」の作用があり、体内の痰湿(余分な水分や脂肪が滞っている状態)を取り除くため、痰湿体質の改善に非常に有効です。海藻類は「寒性」で、体を冷やす作用がありますが、その冷やし過ぎがないように調整しながら摂取することが大切です。昆布だしで得られるミネラル(カルシウムやマグネシウム、ヨウ素など)は、体内の余分な熱や湿気を取り除き、全体のバランスを整える役割を果たします。
中医学では、痰湿が溜まりやすい体質においては、海藻類や昆布などはその症状を和らげるために積極的に取り入れると良いとされています。しかし、摂りすぎると寒さが強くなり過ぎて消化機能(脾胃)を弱めてしまうこともあるため、バランスが重要です。
2. 糖尿病と野菜ジュース
野菜ジュースには野菜自体の栄養価が豊富に含まれていますが、ジュースの形で摂ると野菜の繊維質が取り除かれ、糖質が急激に血中に吸収されやすくなります。特に根菜やフルーツが多く含まれるジュースは、血糖値の急上昇を引き起こす可能性が高くなります。
中医学的には、糖尿病(または高血糖)は「脾虚」と「湿熱」が関与している場合が多いと考えます。脾(胃腸)の消化機能が低下し、体内で湿気が溜まり、結果として血糖値が上昇します。こうした問題を予防するためには、野菜ジュースを飲む量を適度に調整し、繊維質の豊富な野菜(例えば、葉物野菜やキャベツ)をそのまま食べる方が、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。
3. 白粥のお供の選び方
白粥は「脾胃を養う」食品であり、体を温め、消化吸収を助けるとされます。白粥に梅干しや醤油を合わせることは、消化を助け、清熱作用を持つため、非常に適した組み合わせです。梅干しは「酸性」で、体内の余分な熱を取る働きがあり、消化不良や胸焼けの症状を緩和する効果があります。また、醤油や塩は、白粥にうま味を与え、消化を促進させる作用がありますが、塩分が過剰になると逆に体内の水分が滞りやすくなるため、適量を守ることが大切です。
中医学では、白粥は「脾虚」や「胃弱」の人に最適な食事として推奨されます。梅干しや塩、醤油などで味を調えることによって、体内のエネルギー(気血)の巡りを良くし、脾胃の消化機能をサポートします。
4. 白米と胚芽精米
白米は中医学的に「脾胃を補う」とされ、消化吸収が良く、体力がない時や食欲がない時に適しています。ただし、栄養素が少ないため、長期的には栄養が偏りがちになるため、より栄養価が高い胚芽精米を選ぶことが推奨されます。胚芽精米はビタミンB群やミネラルが豊富で、特に「脾胃」の働きを助け、消化吸収をサポートします。
中医学では、白米や胚芽精米が「脾胃を補う」食品として非常に重視されていますが、胚芽精米を食べる場合は、消化力が強いことを前提として食べることが大切です。消化が弱い人にとっては、胚芽精米のような「重い」食品は消化不良を引き起こすことがあるため、白米の方が良い場合もあります。
5. 揚げ物とおかゆ
揚げ物は中医学的に「油脂が多く、消化に負担をかける」とされ、過剰摂取は体内に湿気を生じさせ、消化機能を弱める可能性があります。しかし、少量であれば、食欲を増進させ、食事を楽しむために適切に取り入れることもできます。揚げ物は「脾胃に負担」をかけるため、頻繁に食べることは推奨されませんが、おかゆに少量の揚げ物を加えることで、風味が増し、少しの楽しみを提供することができます。
揚げ物を食べる際は、「量」と「頻度」に気をつけ、日々の食事に取り入れる際は、消化の良い食材と組み合わせることがポイントです。例えば、揚げワンタンなどをおかゆに少量加えることで、食べやすく、消化をサポートする効果が期待できます。
6. 厚揚げの認識
厚揚げは高脂肪の食品であり、過剰摂取は「湿」を生じさせる原因となりますが、適量であれば問題ありません。中医学的には、豆腐類は「脾を補う」作用があり、身体にとって消化しやすい植物性のタンパク源として良い食材です。特に、煮物などで使用することで、消化しやすくなり、栄養素が体に吸収されやすくなります。
厚揚げは油で揚げてあるため、脂肪分が高く、体内の湿気が溜まりやすくなるため、食べ過ぎには注意が必要です。しかし、適量であれば煮物に使用することで、料理にコクを加え、味わい深くなるため、日常的に使うのは問題ありません。
7. 玄米と脾胃
玄米は食物繊維が豊富で、健康に良いとされていますが、消化に負担をかけるため、特に「脾虚」や消化機能が弱い人には注意が必要です。脾胃が弱いと感じる場合は、玄米の摂取を控えめにし、消化を助ける食品(例えば、スープや温かい料理)を中心に摂取することが推奨されます。玄米は「湿」を生じさせやすいので、特に湿熱がたまっている体質の人には少量を摂取することが大切です。
中医学的には、消化力が弱い人や「脾胃虚」の人には白米や精米されたお米が適しており、胚芽精米や玄米を食べる場合は、しっかりと噛んで消化を促すことが重要です。
結論
中医学では、食材や食事の選び方、調理法が非常に重要とされています。食事は単なる栄養補給だけでなく、身体の「気・血・津液」のバランスを保つための手段であり、体質や季節、生活環境に応じて選ぶことが推奨されています。どんな食材でも、摂取する量や頻度を調整し、体質に合わせて取り入れることが健康維持の鍵となります。