【高血圧の治療に!】七物降下湯(しちもつこうかとう)は肝を鎮めて熱を取る!
七物降下湯(しちもつこうかとう)は、日本で作られた漢方処方で、高血圧の治療に用いられる肝方薬です。中医師の矢数道明先生が自身の高血圧治療のために開発した処方として知られています。この処方は、主に血虚や肝陽上亢が原因で血圧が上昇する場合に使用されます。矢数先生は、高血圧の原因として「血虚」にも注目し、これを改善することで血圧を下げると考えました。
構成生薬とその科名
七物降下湯は、主に補血作用や活血作用を持つ生薬と、肝を鎮めて熱を取り除く生薬で構成されています。以下は、各生薬の詳細です。
当帰(トウキ)
科名: セリ科(Apiaceae)
作用: 補血作用。血を養い、血行を改善することで、血の巡りを良くします。
川芎(センキュウ)
科名: セリ科(Apiaceae)
作用: 活血作用。血行を促進し、気血の流れを改善します。頭痛や肩こりなど血行不良による症状を和らげます。
地黄(ジオウ)
科名: ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)
作用: 補血作用。血液を補い、体内の潤いを保ちます。特に肝腎を養う働きがあり、陰を補います。
芍薬(シャクヤク)
科名: ボタン科(Paeoniaceae)
作用: 補血・緩筋作用。血を補い、筋肉の緊張を和らげます。痙攣を防ぎ、痛みを和らげます。
釣藤鈎(チョウトウコウ)
科名: アカネ科(Rubiaceae)
作用: 平肝作用。肝を鎮め、気の流れを調整することで、血圧を下げる効果があります。また、神経の興奮を抑える効果もあります。
黄柏(オウバク)
科名: ミカン科(Rutaceae)
作用: 清熱作用。体内の余分な熱を取り除き、炎症を抑えます。高血圧など、熱がこもっている状態に用います。
黄耆(オウギ)
科名: マメ科(Fabaceae)
作用: 補気作用。気を補い、体の免疫力を高め、体力を強化します。循環を促進し、全身の代謝を改善します。
効能と適応
主な適応: 血虚による高血圧、肝陽上亢、ストレスや肝の失調により血圧が上がりやすい方に用います。特に、血が不足していることが原因で、血流が悪くなり、ストレスが加わって血圧が上がっている場合に適しています。
作用メカニズム: 七物降下湯は、補血作用と活血作用で血液の質を改善し、釣藤鈎と黄柏で余分な熱や興奮を抑えます。さらに、黄耆で気を補うことで、体全体の循環を良くし、血圧の上昇を抑制します。
使用上の注意
湿熱体質の方への注意: 七物降下湯は血虚に重点を置いていますが、湿熱体質の方が多量に摂取すると副作用が出る場合があります。そのため、医師の指導のもと使用することが推奨されます。
生活習慣の改善: 漢方薬の効果を高めるためには、ストレス管理やバランスの良い食生活が重要です。
矢数道明先生は、高血圧の原因を血虚に着目することで、血圧を下げる新しいアプローチを提案しました。この処方は、特に現代社会のストレスによる高血圧の治療に有効とされています。