【正常な月経周期と範囲は?】西洋医学的解説!中医婦人科学

月経周期は西洋医学的に4つの主要な期間に分けられ、それぞれが異なるホルモン変化と役割を持っています。この周期の仕組みを理解することは、健康管理や体調不良の予防にも役立ちます。ここでは各期間について詳しく見ていきます。

1. 月経期

期間: 月経周期の開始、通常1〜5日間
特徴: 不要となった子宮内膜が剥がれ落ち、体外に排出されます。
ホルモン変化: プロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が急激に低下する。

月経期は、子宮内膜の剥がれによって生理が始まる期間です。これは前周期で受精が行われなかった場合に発生し、体が新たな周期に向けてリセットするために必要な過程です。プロゲステロンとエストロゲンの分泌が低下することで、ホルモンバランスが変化し、子宮内膜が剥がれ落ちるのが月経のメカニズムです。

この時期には、ホルモンの急激な減少により疲労感や不安定な気分を感じることが多く、体が大きな変化に対応する期間と言えます。中にはこのホルモンの減少によって頭痛や腹痛、腰痛などの不快な症状が生じる場合もあり、身体的および精神的なサポートが重要です。

2. 卵胞期

期間: 月経が終了してから排卵が始まるまで(通常6〜13日)
特徴: エストロゲン(卵胞ホルモン)が活発に分泌され、卵胞が成長する時期。
ホルモン変化: エストロゲンの分泌が増加し、卵胞が発達。

卵胞期は、卵巣内で卵胞が発育し始める期間です。脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用により、卵胞の成長が促進されます。この卵胞が成長する過程で、エストロゲンが分泌され、体内の様々な準備が進みます。エストロゲンの作用によって子宮内膜が厚くなり、受精卵が着床しやすい環境が整えられていくのが特徴です。

また、この時期は「低温期」とも呼ばれ、基礎体温が比較的低めに保たれます。エストロゲンは皮膚や血管、骨の健康に影響を及ぼすため、この時期には肌や髪の調子が整い、体調も安定しやすいとされています。気分も比較的穏やかで、心身ともに活力が湧きやすい時期です。
※いわゆるキラキラ期

3. 排卵期

期間: 卵胞期の終わり(通常14日目)
特徴: エストロゲンの急増により排卵が起こり、成熟した卵子が卵巣から排出される。
ホルモン変化: エストロゲンの増加とともに、脳からLH(黄体形成ホルモン)が分泌される。

排卵期は、卵胞ホルモンであるエストロゲンの分泌がピークに達する時期です。エストロゲンが高まることで脳にフィードバックが送られ、排卵を促すホルモン(LH)の分泌が増加します。このLHの影響で、成熟した卵胞から卵子が排出され、卵管を通じて子宮に移動するのが排卵の仕組みです。

排卵期は、身体が受精を最も受け入れやすい状態になるため、子宮頸管粘液(おりもの)も変化します。排卵期のおりものは通常よりも粘度が高く、伸びやすくなるのが特徴です。これはエストロゲンが精子を取り込みやすい環境を作るためで、体が妊娠に向けて準備を整えていることを示します。排卵期に見られるこの「伸びるおりもの」は、卵胞がしっかりと発育している証拠とされ、妊娠を希望する場合の目安となります。

この時期は基礎体温がやや上昇する傾向があり、女性の体がエストロゲンの影響を大きく受けていることがわかります。

4. 黄体期

期間: 排卵後から次の月経が始まるまで(通常15〜28日)
特徴: 排卵後に卵胞が黄体に変化し、プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され、子宮内膜がさらに厚くなる。
ホルモン変化: プロゲステロンが優勢となり、基礎体温が上昇する「高温期」。

黄体期は、排卵後に残った卵胞が黄体と呼ばれる組織に変わり、プロゲステロンが分泌される期間です。プロゲステロンは子宮内膜をさらに厚くする役割を持ち、受精卵が着床しやすい状態を維持します。基礎体温はこのプロゲステロンの影響で上昇し、高温期と呼ばれる状態が続きます。黄体期の特徴として、体温が高めに維持されることで、体が受精卵の着床に適した状態を作っていることが分かります。

この時期にはホルモンバランスの変化に伴い、気分の浮き沈みや身体的な不調が起こりやすくなります。特に黄体ホルモンの影響で、体が水分を溜め込みやすくなり、むくみや体重の増加を感じることが多いです。これは、体が受精卵を迎えるための準備の一環として、栄養と水分を蓄える傾向があるためです。また、プロゲステロンが優勢になると、神経が過敏になり、感情の変動やイライラが増えることがあり、月経前症候群(PMS)の症状が現れるのもこの時期です。

月経周期のホルモンと基礎体温の関係

月経周期は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの主要なホルモンの変動によって調整されています。この変化は基礎体温にも反映され、以下のような特徴が見られます。

  • 低温期(卵胞期)
    卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が多く、基礎体温が低めの時期です。エストロゲンが子宮内膜を厚くすることで、次の排卵に向けて体の準備が進みます。

  • 高温期(黄体期)
    黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されることで基礎体温が上昇します。この高温期は、体が妊娠を受け入れるための環境を整えていることを意味しています。

基礎体温の動きを観察することは、体のホルモンバランスや月経周期の正常性を把握するために役立ちます。例えば、基礎体温の変化が規則的であれば、ホルモンのバランスが安定している証拠と考えられますが、もし基礎体温が不規則であれば、何らかのホルモンの乱れがある可能性が示唆されます。

中医学的な視点

中医学では、月経周期の各期を「陰」と「陽」のバランスとして捉え、それぞれの時期に適した対処法があると考えられています。例えば、低温期は陰が多く、エネルギーを貯える時期とされ、一方、高温期は陽が多く、エネルギーを活発に消費する時期とされます。この考えに基づき、体を温めたり冷やしたりする養生法が提案されます。また、月経期や排卵期の間に特定の養生を行うことで、周期全体の調和を促進し、健康な月経リズムの維持を目指します。

月経周期の不調に対するサポート

月経周期に伴う身体や感情の変動は、女性にとって日常的な経験であり、不調を和らげるための方法を持つことが重要です。以下に、各期に応じた一般的な対処法を挙げます。

  • 月経期: リラックスして休息を取ることが重要です。体を温めることで痛みを和らげ、ホルモンの減少による不調を軽減します。

  • 卵胞期: この時期は活力が湧きやすいので、軽い運動や新しい活動を始めるのに適しています。エストロゲンが増えることで体調が良くなるため、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

  • 排卵期: 身体が受精しやすい状態になるため、しっかりと体を保湿し、リラックスした気分で過ごすのがおすすめです。

  • 黄体期: 水分を体に溜め込みやすくなるため、塩分や糖分の摂取を控えめにし、むくみを防ぐよう心がけましょう。

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