【疑問】瘀血と血瘀の違い 中医基礎理論

「瘀血（おけつ）」と「血瘀（けつお）」は中医学において密接に関連していますが、概念上のニュアンスや使用される文脈に若干の違いがあります。以下にその違いを詳しく解説します。
※結構答えられない人も多い印象です。私も怪しいです。

1. 瘀血（おけつ）とは？

定義

• 瘀血とは、中医学で「体内の血液が正常に流れず、停滞してしまった状態」を指します。

• 血液の流れが阻害されることにより、局所的または全身的な病理状態を引き起こします。

特徴

• 瘀血は一種の病理産物であり、体内の循環が悪化した結果として生じます。

• 病態の結果として現れることが多いです。

症状の例

• 刺すような痛み（刺痛）

• 肌の変色（暗紫色の斑点や青あざ）

• 皮膚や舌の紫色化（瘀斑）

• 生理痛や経血の塊（女性の場合）

2. 血瘀（けつお）とは？

定義

• 血瘀は、瘀血の状態を指すよりも、「血の流れが滞っている状態そのもの」や「病態の本質」を表します。

• 瘀血を引き起こすプロセスやその原因に焦点を当てる言葉です。

特徴

• 血瘀は血液循環の停滞そのものや、血液が動かないために引き起こされる広い病態を指します。

• 病因または過程として捉えられることが多いです。

関連する概念

• 血瘀は、瘀血を形成する根本的な要因として扱われる場合もあります。

3. 瘀血と血瘀の違いを整理すると

4. 実際の診断や治療での違い

• 瘀血が診断名に使われる場合：

  • 瘀血は、血液の停滞が明確に見られる場合に使われます。

  • 例えば、「瘀血による月経痛」や「瘀血が原因の痛み」のように結果として現れる病態を示します。

• 血瘀が使われる場合：

  • 血瘀は、血液の流れが滞ることで発生する広範な病態を含みます。

  • 例えば、全身的な血流不全や、瘀血が複数の臓腑に影響を及ぼしている場合など。

5. 病態理解の実践例

瘀血の病態理解

• 肝臓が疏泄を失調し、経絡の血流が停滞 → 月経痛や瘀斑として現れる。

• 治療：瘀血を具体的に取り除くために「活血化瘀（かっけつかお）」の方法を用いる。

  • 例：丹参（たんじん）、川芎（せんきゅう）、桃仁（とうにん）などの活血化瘀薬。

血瘀の病態理解

• 運動不足や寒冷の影響で血流が滞り、全身的な「気滞血瘀」の状態を引き起こす。

• 治療：血瘀を解消するため、活血化瘀に加え、気を巡らせる「行気薬（こうきやく）」も併用。

  • 例：柴胡（さいこ）、枳実（きじつ）、香附子（こうぶし）など。

6. 臨床での使い分け

1. 瘀血を重視するケース：

   • 症状が局所的であり、痛みや瘀斑などの「瘀血の結果」が顕著に現れている場合。

2. 血瘀を重視するケース：

   • 全身的な循環不良が背景にあり、気滞や寒湿が絡む複雑な病態が関与している場合。

7. 結論

瘀血と血瘀は密接に関連しながらも、瘀血は結果、血瘀はプロセスや原因を強調する用語です。実際の中医学の診断や治療では、両者を区別しつつも連続性のある概念として捉えます。この違いを理解することで、より的確な診断と治療が可能になります。