【超重要脾の3つの役割!】脾の前提知識①
脾(ひ)は、中医学において消化器系と密接に関連し、体全体のエネルギーや血液のバランスを維持するために重要な臓腑です。以下に脾の役割と関連する概念についてさらに詳しく説明します。
脾の3つの主要な役割
1. 運化を主る(うんかをつかさどる)
運化の意味:
「運化」とは、食べ物や飲み物から得られた栄養を体に取り込んで吸収し、全身にエネルギーとして巡らせる働きのことです。
プロセス:
食物が胃で消化された後、脾はその中から「水穀の精微」と呼ばれる栄養素を抽出します。この栄養素は、体が必要とする有益な成分であり、血液やエネルギー源となります。
同時に、脾は体内の「水湿」と呼ばれる水分をも処理し、適切に全身に巡らせることで体の潤いを保ちます。
水穀の精微:
栄養素を取り込む際、食べ物の中にある必要のない成分は便や尿として体外に排出されます。脾は有益な栄養分だけを取り出し、体が正常に機能するために使います。
水湿の運化:
水湿とは、体内に存在する水分のことです。脾は食物や飲料から摂取した水分を全身に運び、水分代謝を調整します。これにより、体の水分バランスが保たれ、体の潤いが維持されます。
運化の重要性:
運化機能が低下すると、消化不良、便秘、下痢、腹部の膨満感、胃もたれなどの症状が出やすくなります。さらに、体内の水分がうまく巡らなくなることで、むくみや重だるさが生じることもあります。
2. 昇清を主る(しょうせいをつかさどる)
昇清の意味:
「昇清」とは、食べ物から作られた栄養を上に引き上げる働きのことです。これは、脳や上半身に栄養を供給するために必要な機能です。
具体的な働き:
食べたものは胃腸を通って消化・吸収されますが、その後、脾が作り出した栄養は体の上部(特に頭部)へ運ばれ、気力や精神を支えます。
内臓の支え: 脾は内臓を上に持ち上げる働きも担っており、「升提(しょうてい)」という機能で内臓の位置を正常に保ちます。
影響:
脾が弱ると、胃や腸などの内臓が下がりやすくなり、胃下垂、脱肛、子宮下垂などが起こることがあります。これにより、消化器系の機能もさらに悪化します。
3. 統血を主る(とうけつをつかさどる)
統血の意味:
「統血」とは、血液を血管内に保ち、漏れ出さないようにする働きのことです。これにより、正常な血液循環が維持されます。
※これは登録販売者でもやりましたよね。血管から血液が漏れ出ないようにするというのは中医学的な解釈でいうと統血を主るという意味になります。
役割:
血液は通常、血管の中にしっかりと保たれていますが、脾の統血機能が弱ると、血液が血管外に漏れ出やすくなります。これが「不統血(ふとうけつ)」という状態です。
影響:
不統血の状態では、内出血やあざができやすくなったり、女性の場合は不正出血が起こったりします。また、全身に原因不明のあざができることもあります。
例えば、ぶつけた記憶がないのに体にあざができる場合、脾の機能が弱っている可能性があります。
脾が弱ると起こる主な症状
消化不良や胃もたれ: 食べ物をうまく消化できず、胃腸に負担がかかります。
便秘や下痢: 脾の運化機能が低下すると、便の状態が不安定になります。
むくみ: 水湿の運化がうまくいかないと、体内に水分が滞り、むくみが生じます。
内臓下垂: 脾の昇清機能が弱まると、胃や他の内臓が下がってしまうことがあります。※脱肛や胃下垂、子宮脱などが起きます。
出血しやすい: 血液が血管内に保てなくなると、内出血や不正出血などが起こります。
脾の健康を守るためのポイント
食生活の見直し: 消化に良い食べ物を選び、冷たいものを控えると、脾の運化機能がサポートされます。
適度な運動: 軽い運動は、体内のエネルギーを巡らせ、脾の働きを助けます。
ストレス管理: 過度なストレスは脾に負担をかけますので、リラックスする時間を設けることが大切です。
漢方薬の利用: 脾の機能を補う漢方薬を使用することで、消化吸収や血液循環の問題を改善することができます。
結論
脾は、消化・吸収・栄養供給・血液の統制といった体の基本的な機能を支える非常に重要な臓器です。脾の機能が弱ると、体全体のエネルギーバランスが崩れやすくなるため、日常生活で脾をサポートする習慣を意識することが健康維持につながります。