【下半身の湿熱に!】竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)一貫堂②
竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)の一貫堂系の漢方薬について解説します。主に下半身の湿熱を取るために用いられる処方です。この漢方薬は、熱感を伴う陰部のかゆみや排尿痛など、下半身に集中した炎症や不快感を和らげるのに特に効果があります。
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竜胆瀉肝湯の構成生薬と作用
四物湯(しもつとう)の成分 - 補血・活血作用
当帰(とうき) - セリ科
作用: 補血作用。血液を養い、血流を良くする。月経不順や血虚の改善に用います。
地黄(じおう) - ゴマノハグサ科
作用: 補血・滋陰作用。血液を養い、体を潤します。特に陰虚を改善します。
芍薬(しゃくやく) - ボタン科
作用: 補血・鎮痛作用。血流を促進し、筋肉の緊張を和らげます。
川芎(せんきゅう) - セリ科
作用: 活血作用。血流を改善し、痛みを緩和します。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)の成分 - 清熱・解毒作用
黄芩(おうごん) - シソ科
作用: 清熱作用。体の熱を冷まし、炎症を抑えます。
黄連(おうれん) - キンポウゲ科
作用: 清熱・解毒作用。強力に体の熱を冷まし、毒素を排除します。
黄柏(おうばく) - ミカン科
作用: 清熱・燥湿作用。湿熱を取り除き、炎症を鎮めます。
山梔子(さんしし) - アカネ科
作用: 清熱・鎮静作用。炎症を抑え、体の熱を冷まします。
その他の清熱・去風・解毒作用の生薬
薄荷(はっか) - シソ科
作用: 去風・解毒作用。体の中の熱を冷まし、かゆみを和らげます。
連翹(れんぎょう) - モクセイ科
作用: 清熱・解毒作用。体内の毒素を排出し、炎症を和らげます。
浜防風(はまぼうふう) - セリ科
作用: 去風作用。かゆみを抑え、体の熱を冷まします。
清熱・利水作用の生薬
竜胆(りゅうたん) - リンドウ科
作用: 清熱作用。特に肝と胆の熱を冷まし、炎症を和らげます。
沢瀉(たくしゃ) - オモダカ科
作用: 利水作用。体内の余分な水分を排出し、むくみを解消します。
木通(もくつう) - アケビ科
作用: 利水作用。尿の出を良くし、炎症を和らげます。
車前子(しゃぜんし) - オオバコ科
作用: 利水・清熱作用。尿路系の不調を改善します。
甘草(かんぞう) - マメ科
作用: 調和作用。各生薬のバランスを取り、胃腸の働きを助けます。
竜胆瀉肝湯の作用と特徴
温清飲がベース: 竜胆瀉肝湯は、温清飲の構成成分をベースにしつつ、下半身の湿熱を取り除く力が特に強い漢方薬です。温清飲は四物湯と黄連解毒湯を合わせたもので、血液を補いながら、熱や炎症を冷ます効果があります。
下半身の湿熱症状に特化: 特に下半身の炎症、例えば熱感を伴う陰部のかゆみや排尿痛、においの強い分泌物などに効果を発揮します。分泌物が赤や黄色に変色し、においがある場合にも適しています。
適応症と使い分け
湿熱による陰部のかゆみ・排尿痛: 竜胆瀉肝湯は、下半身に湿熱がこもり、陰部に熱感やかゆみ、排尿痛がある場合に使います。特に分泌物が赤や黄色に変色し、においが強い場合に有効です。
皮膚のトラブル: 湿熱によって生じる赤みやしこり、分泌物を伴う皮膚症状にも使います。凸凹したできものがある場合にも効果が期待できます。
上半身の症状との違い: 一貫堂系の竜胆瀉肝湯は、主に下半身の湿熱を対象とします。一方、薛氏医案の処方は、上半身の熱や炎症(例えば目の黄疸や目の充血)に用いられることが多いです。
注意点とアドバイス
見極めが難しい: 竜胆瀉肝湯は湿熱の症状に対して効果がありますが、適応する症状の見極めが難しいことがあります。特に湿熱が下半身に集中している場合に効果があるため、症状をよく観察することが重要です。
メーカーによる違い: ツムラやイスクラなどのメーカーによって、生薬の配合や効き方が微妙に異なることがあります。処方された場合は、どのメーカーのものかを確認して使うと良いでしょう。
相談件数が少ない: 比較的相談件数が少ない処方なので、使い慣れるまでは慎重に症状を観察しながら使用することをおすすめします。
竜胆瀉肝湯は、湿熱が原因の下半身の不快症状に特化した漢方薬です。炎症やかゆみ、排尿時の痛みなどに効果がありますが、適切な見極めが必要です。