【補気薬ファーストチョイス!】四君子湯と六君子湯の違いと使い分けを解説!

四君子湯と六君子湯は補気薬の最も基本的な方剤です。

この二つの薬について成分及び、使い分けについてアウトプットしてみました。

1. 四君子湯(しくんしとう)

四君子湯は、漢方薬の中でも非常に基本的な処方であり、胃腸の機能を高めて「気」を補うためのものです。胃腸が弱っていると、体全体のエネルギーである「気」の生成が妨げられるため、消化器系を整えることがエネルギー回復につながります。

成分とその作用

  • 人参(にんじん): 消化機能を高め、疲労回復や気力の増強に役立ちます。漢方における「補気薬」(ほきやく:気を補う薬)の代表的な生薬です。

  • 白朮(びゃくじゅつ): 胃腸の働きを改善し、余分な水分(湿気)を除去する作用があります。体内の「湿」を取り除くことで、胃腸の負担を軽減します。

  • 茯苓(ぶくりょう): 胃腸の機能をサポートし、利尿作用があり、体に溜まった余分な水分を排出します。また、精神を安定させる作用もあります。

  • 甘草(かんぞう): 他の生薬のバランスを整え、胃の働きを助ける役割を果たします。炎症を抑える効果もあり、消化器系を守る役割があります。

効果と適用対象

  • 気を補う: 四君子湯は「補気剤」として、胃腸を強化し、体内のエネルギー(気)を増やします。消化不良、疲労感、食欲不振など、「気虚(ききょ:気が不足している状態)」に使われます。

  • 胃腸の働きを整える: 食べたものをしっかり消化し、エネルギーを作り出すためのサポートを行います。特に疲れやすく、胃腸が弱く、風邪を引きやすい人に適しています。

  • 適用例: 慢性的な胃腸の不調、疲労感、食欲不振、消化不良、体力の低下など。特に体力が落ちている高齢者や、長期的に疲れを感じる人に適しています。

使用シーン

  • 胃腸の虚弱: 胃腸が弱って食べ物をしっかりと消化できず、エネルギー不足に陥っている人に向いています。

  • 疲労回復: 消化器系が整うことで、エネルギーが回復し、倦怠感や疲労感の改善が期待されます。

2. 六君子湯(りっくんしとう)

六君子湯は、四君子湯をベースに、さらに「半夏(はんげ)」と「陳皮(ちんぴ)」という生薬を加えたものです。これにより、胃腸の機能を高めるだけでなく、体内に余分な「痰湿(たんしつ)」を取り除く働きも持ちます。

成分とその作用

四君子湯の基本成分に加えて、以下の2つが重要です:

  • 半夏(はんげ): 痰を除去し、胃腸の働きを改善します。湿気が体に溜まりやすい人や、消化器系の不調に伴うむくみや重だるさを軽減します。特に胃腸に溜まった不要な水分や痰の排出を促進する効果があります。

  • 陳皮(ちんぴ): 消化器系を活性化し、「気」の巡りを良くします。「気滞(きたい:気の流れが滞ること)」を解消し、食欲不振や消化不良を改善します。特に胃に滞りがある場合や、食後に不快感を覚える人に有効です。

効果と適用対象

  • 痰湿を取り除く: 胃腸に溜まった余分な水分や「痰湿」を取り除く働きがあり、体がむくんだり、重だるい感じがする人に効果的です。

  • 気を巡らせる: 「気滞」を解消し、体全体のエネルギーの流れを良くします。胃腸の機能が低下しているだけでなく、体内に痰や余分な水分が滞っている人に適しています。

  • 適用例: 胃腸の虚弱に加えて、むくみや体内に湿気がこもるような症状を感じる人に適しています。また、慢性的にだるさを感じる人や、ストレスによる消化不良にも効果があります。

使用シーン

  • 湿気や痰が溜まった体質: 特にむくみや重だるさ、消化不良が続くような場合には、痰湿を取り除く六君子湯が適しています。

  • ストレスや疲れによる消化器の不調: 精神的なストレスで胃腸の働きが低下している人や、体内に余分なものが溜まっている感覚がある場合に有効です。

3. 四君子湯と六君子湯の違いと使い分け

  • 四君子湯は、単純に「気を補う」ための処方で、消化器の機能を改善し、体のエネルギーを回復させることが目的です。胃腸の弱さが主な症状である場合に使用されます。

  • 六君子湯は、四君子湯の働きに加えて、体内の余分な湿気や痰を取り除く働きもあります。胃腸の機能が低下しているだけでなく、むくみや痰湿による重だるさが伴う場合に適しています。

適用の目安

  • 四君子湯が適している場合: 体力が低下しており、消化器の機能が弱く、エネルギー不足を感じているとき。むくみや痰の症状がない場合に最適。

  • 六君子湯が適している場合: 胃腸の弱さに加えて、体内に湿気や痰が溜まっている感覚があり、むくみやだるさがある場合。特に湿度の高い環境で不調を感じる人にも向いています。

漢方の基本的な考え方

漢方薬は「気」「血」「水」という概念に基づき、体のバランスを整えることを目的としています。四君子湯や六君子湯は、特に「気」(エネルギー)を補い、巡らせることで体全体の健康を改善します。

  • 四君子湯は「補気」(ほき)に特化しており、胃腸の虚弱や気力の低下を補います。

  • 六君子湯はさらに「痰湿」を取り除く作用を持ち、体内に溜まった余分なものを排出して、気の流れを良くします。

以上のように、それぞれの処方の特徴を理解し、症状に応じて適切に使い分けることで、効果的に体調を改善できます。

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