【危険】冷え性の人に加味逍遙散を使わないほうが良い理由
「加味逍遙散」は「気滞(ストレスなどによる気の滞り)」に有効な漢方薬として有名です。しかしその構成生薬には牡丹皮(ぼたんぴ)や山梔子(さんしし)が含まれており、これらは清熱(体を冷ます効果)の作用があります。このため、「冷え性」に対しては慎重に用いる必要があります。
なぜ加味逍遙散が冷え性に不向きか?
牡丹皮と山梔子の作用
牡丹皮: 清熱涼血作用(熱を冷まし血を整える)を持つため、冷え性の人には過剰に冷やす可能性があります。
山梔子: 清熱瀉火作用(熱を冷まし炎症を抑える)を持ち、冷え性を悪化させる可能性があります。
適応が異なる
加味逍遙散は、ストレスやホルモンバランスの乱れが原因の「熱症状」や「イライラ」「のぼせ」がある場合に効果的です。
冷え性で「寒」が主体の場合には、加味逍遙散の清熱作用が適応しません。
冷え性で気滞がある場合の適切な漢方薬
冷え性で気滞が関与している場合、以下の漢方薬がより適切と考えられます:
柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)
主な効果: 気滞を解消し、冷えとストレスを緩和。
特徴: 体を温める作用があり、冷えを伴う気滞に向いています。
桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
主な効果: 気滞による腹痛や冷えに対応。
特徴: 体を温めつつ、気滞を緩和する作用があります。
香蘇散(こうそさん)
主な効果: 気滞や軽い風邪、冷えに対応。
特徴: ストレスによる胃腸不調や軽い冷え性に適しています。
※優しく巡らせる
補足: 加味逍遙散が適切な場合
加味逍遙散が適しているのは、冷え性ではなく以下のような症状を伴う場合です:
気滞に加えて「のぼせ」「イライラ」「熱感」など、体の上部に熱がこもる。
冷えが部分的で、むしろ熱が主体の場合。
結論
冷え性で気滞がある場合に加味逍遙散を推奨するのは不適切であり、体を温める効果がある他の漢方薬(柴胡疎肝湯、桂枝加芍薬湯、香蘇散など)のほうが適しています。冷え性の治療では、清熱生薬が含まれる漢方薬は症状を悪化させる可能性があるため、体質に応じた慎重な選択が必要です。