【謎?】老人がキレやすい原因と中医診断学的解説!

皆さんは老人にキレられたことはないでしょうか?私はあります。ヤフーで検索してみても下記の様なサジェストが出てきてしまっております。
でも、優しいご老人と怒りっぽいご老人がいることが長年の謎でした。


高齢者が怒りやすくなる理由を中医学的に見ると、「肝熱の高まり」や「血虚・陰虚」による内熱の悪化といった複数の要因が関係していると考えられます。以下で、これらの要因とその影響について詳しく解説したいと思います。

1. 肝熱の高まり(肝陽上亢)とその影響

  • 肝の役割と肝熱の高まり
    中医学では肝は「気血の巡り」や「情緒の安定」を司る臓器とされています。年齢を重ねると、肝の気血のバランスが不安定になりやすく、肝の陽気(エネルギー)が過剰に高まる「肝陽上亢」という状態に陥りやすくなります。これにより、情緒が不安定になり、イライラや怒りが表れやすくなります。

  • ストレスや情緒との関係
    高齢者にとっては、心身の変化や社会的な役割の変化によるストレスも大きな要因です。肝は「怒り」の感情と関連が深いため、ストレスが肝に影響を与えると、肝の熱が高まりやすくなり、イライラや怒りが湧きやすくなります。肝陽上亢が進行すると、血圧上昇や頭のほてり、不眠なども引き起こされやすく、情緒がさらに不安定になります。

2. 血虚・陰虚による津液の不足

  • 血虚(血の不足)
    高齢になると血の生成が衰え、血虚という状態に陥りやすくなります。血は「陰」に属し、体を潤す役割がありますが、血が不足すると体全体が乾燥しやすくなり、冷静さを保つための「陰」のバランスが乱れ、イライラが生じやすくなります。血虚によって心身の安定が損なわれるため、些細なことに対しても過敏になり、怒りやすくなる傾向があります。

  • 陰虚(陰のエネルギー不足)
    年齢とともに体内の「陰」が消耗しやすく、特に高齢者では陰虚が進行します。陰虚は体内に潤いを保てない状態で、陰虚になると体に「虚熱(内側からの熱)」が発生しやすくなります。この虚熱が、肝のエネルギーをさらに高め、内側からの熱が積もると、怒りやすさが一層増してしまいます。特に、夜間の寝汗や、のどの渇き、ほてりなども陰虚による特徴的な症状です。

3. 血虚・陰虚が肝熱を増悪させる悪循環

  • 血虚・陰虚の影響と肝熱の増悪
    血虚や陰虚の状態では、体の中で「陽気」が制御しにくくなり、結果として肝の陽気が過剰に高まります。この状態は「虚の中の実」と言われ、血虚や陰虚によって陰が足りず、相対的に陽が強くなってしまうことを意味します。肝熱が高まることで、感情が不安定になり、怒りやすい状態が慢性的に続きやすくなります。

  • 体の熱が悪循環を引き起こす
    こうした肝熱や虚熱が高まると、さらに体の乾燥や熱感が増し、情緒が不安定になり、体が休まらず、怒りやすい状態が継続しやすくなります。この悪循環により、高齢者はますます情緒が不安定になり、怒りやすさが持続してしまいます。

弁証に基づく治療法

この弁証を踏まえると、高齢者が怒りやすくなるのを緩和するには以下のような治療法が適しています。

  1. 清熱・滋陰
    肝の熱を冷ましつつ、陰虚や血虚を補うことで、内側からの熱の高まりを抑えることが可能です。例えば、知柏地黄丸杞菊地黄丸などの滋陰清熱の処方が適用されます。これにより肝熱が鎮まり、精神が安定しやすくなります。

  2. 補血・養陰
    血虚や陰虚を補うことで体に潤いを与え、熱を鎮めることができます。四物湯六味地黄丸のような補血や滋陰の処方により、体の潤いが回復し、陽気の過剰が抑えられます。これにより、怒りやすさが緩和され、情緒が安定します。

  3. 安神(あんじん)と情緒ケア
    精神を落ち着かせる効果のある処方や食材を活用しつつ、リラックスできる環境を整えることも効果的です。**酸棗仁湯(さんそうにんとう)**などの安神作用がある処方も、精神安定に寄与します。また、穏やかな生活リズムやストレスの少ない環境を整えることも重要です。

結論

高齢者が怒りやすくなる原因として、肝熱の高まりや血虚・陰虚による虚熱が考えられ、これらが互いに影響し合うことで怒りやすさが増幅するという弁証は、理にかなっています。肝熱を抑え、血と陰を補うことで、内部のエネルギーのバランスが整い、怒りやすさや情緒の不安定さが緩和されることが期待できます。

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