【排尿系トラブルに】猪苓湯(ちょれいとう)は熱性の炎症に使用!
猪苓湯(ちょれいとう)は、体内の「湿邪(湿気)+熱邪(熱)」が原因で発生する排尿障害や尿路系の炎症に使われる漢方です。この漢方は、湿熱が原因で体に炎症や過剰な水分が溜まる場合に特に効果を発揮し、以下のような構成と効能を持っています。
猪苓湯の構成成分とその効能
猪苓(ちょれい):利水作用(余分な水分を取り除く作用)とともに、体内の熱を冷ます清熱作用があります。湿邪と熱邪を伴う場合に効果を発揮し、特に尿路系の炎症である膀胱炎などの改善に適しています。
沢瀉(たくしゃ):主に利水作用を持ち、余分な水分やむくみを取り除きます。猪苓と組み合わせることで利尿作用が強化され、湿熱による排尿困難や炎症を和らげます。
滑石(かっせき):鉱物由来の生薬で、強力な清熱作用があり、体内の余分な熱をしっかり取り除きます。湿熱による尿道や膀胱の炎症を抑え、排尿をスムーズにする働きをします。
茯苓(ぶくりょう):健脾利水作用があり、消化機能をサポートしながら体内の余分な水分を排出します。脾胃の働きを高めることで、体の水分バランスを保つサポートをします。
阿膠(あきょう):補陰作用と止血作用があり、体内の陰液(体の滋養部分)を補います。出血を抑える働きがあり、血尿や排尿時の痛みにも対応します。阿膠はロバのにかわから採れるコラーゲン成分であり、体内の陰を補い、潤いを与えます。
適応する症状と治療のポイント
猪苓湯は「湿熱」による炎症が強い場合に用いられ、次のような症状に適しています:
血尿:湿熱によって尿路が傷つき、血尿が見られる場合に止血効果のある阿膠が役立ちます。
排尿困難:湿熱により尿路が炎症を起こし、スムーズに排尿できない状態を和らげます。
排尿痛:尿道や膀胱の炎症で生じる痛みを緩和します。
結石による痛み:尿路結石の痛みを和らげるためにも使用されます。
湿熱の特徴として、尿が白濁しやすく、尿が熱を帯びている状態が多いのが特徴です。
使用上の注意点
猪苓湯は熱性の漢方薬で、冷えによる症状には適していません。冷えからくる膀胱炎や排尿困難には「五淋散(ごりんさん)」や「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」が推奨されます。冷えから来る膀胱炎の場合は、尿が透明で白濁や出血が見られないことが多く、猪苓湯の使用はかえって冷えを悪化させることがあります。
尿が透明になるほど水を飲むことのリスク
尿が透明になるまで水を飲むことは、体を冷やし過ぎる可能性があるため、中医学的にはあまり推奨されません。適切な水分量を保つことが重要であり、過剰に水分を取ると体温が下がり、内臓が冷えやすくなります。このような場合は、利水を調整する漢方薬の使用を検討するとよいでしょう。
猪苓湯は体内の熱を取り除き、湿熱による尿路系の炎症を緩和する力を持つ漢方薬で、冷えの症状がなく、炎症が見られる際に適しています。