【防風通聖散の副作用や腸が黒くなる理由はなぜ?】方剤学
防風通聖散の長期服用には注意が必要です。防風通聖散は、体の「気・血・水」の流れを促し、余分な熱を排出し、便秘や代謝の滞りを改善するための漢方薬です。短期間の使用で効果があるケースもありますが、長期間にわたる服用は副作用のリスクが高まるため慎重さが求められます。特にダイエット目的での長期服用については次の点で問題があります。
1. 成分による副作用のリスク
エフェドリン: 防風通聖散には麻黄(エフェドラ)が含まれており、エフェドリンが代謝されて体内で作用します。エフェドリンは交感神経を刺激し、心拍数の増加や血圧上昇を引き起こすため、心臓や血圧に問題がある方には特に注意が必要です。また、エフェドリンの作用が強い場合、過剰な興奮や不眠などの副作用が出ることがあります。
大黄: 大黄は瀉下作用が強いため、長期服用により下痢や腹痛、電解質バランスの乱れが起きやすくなります。特に長期的に腸に負担をかけることで、慢性的な便秘や腸の機能低下が引き起こされるリスクもあります。
2. 代謝や体調への影響
防風通聖散は利尿作用や代謝促進作用があるため、体内の水分バランスを乱す可能性があります。特に、頻尿や脱水症状、さらには電解質の不足が起きやすくなるため、体への負担が大きくなります。これが続くと、体力低下や疲労感を引き起こすことがあります。
3. ダイエット目的での長期使用の危険性
防風通聖散は、体内の余分な熱を発散し、排出機能を高めることで体質改善に寄与する漢方薬ですが、ダイエット効果があるからといって長期的に服用することは推奨されません。ダイエット目的での長期使用は、体が本来持つ代謝機能を損なう可能性があり、かえってリバウンドや体調不良を招きやすくなります。
4. 医師の指導について
ダイエットを謳って防風通聖散を長期にわたり処方する医師がいる場合、その対応は慎重を要します。漢方薬の長期服用は患者の体質や症状に合わせて行われるべきであり、特に防風通聖散のような強い作用を持つ薬の使用には細かな管理が必要です。乱用や誤った使い方がされていないか、医師も適切な管理を行うべきです。
5. 服用する際の注意点
防風通聖散の使用は、短期間で効果を見てから中止するか、もしくは専門家の指導を受けながら体質に合った使い方にすることが大切です。また、服用を続けることで体に異常が出た場合は速やかに医師に相談することが必要です。
防風通聖散に含まれる「大黄」と「麻黄」の成分は、さまざまな副作用を引き起こす可能性があります。それぞれの成分が引き起こしうる症状をまとめてみます。
大黄の影響による副作用
大黄は瀉下作用が強く、腸への影響が大きいため、特に消化器系や長期間の使用による副作用が懸念されます。
腸が黒くなる(メラノーシス)
長期間にわたり大黄を使用すると、腸粘膜にメラニン色素が沈着し、腸が黒くなる「大腸メラノーシス」を引き起こすことがあります。腸の正常な働きを損なう可能性があり、便秘が悪化することもあります。
かゆみ
大黄は下剤としての効果が強く、腸の動きや腸内環境に影響を与えるため、消化器系の負担が皮膚に現れることがあります。特に敏感な体質の方ではアレルギー反応として「かゆみ」が出る場合があります。
発熱・めまい
瀉下作用の強さから、体内の水分や電解質バランスが乱れ、脱水症状や倦怠感、めまい、発熱のような体調不良が出ることもあります。発熱やめまいは、過度な脱水や腸の刺激による二次的な反応とも考えられます。
麻黄の影響による副作用
麻黄は交感神経を刺激するエフェドリンが含まれており、心拍数や代謝の上昇に影響を与えるため、心血管系や神経系に負担がかかります。
動悸
麻黄に含まれるエフェドリンが交感神経を刺激することで、動悸や心拍数の増加が起こります。特に血圧が高い方や心臓疾患のリスクがある方は注意が必要で、動悸が続く場合は使用を中止することが推奨されます。
めまい
麻黄の交感神経刺激作用による血圧の急激な変動や、血流量の増加によってめまいが引き起こされることがあります。また、気持ちの高揚や不安感が増すことでめまいを感じる場合もあります。
かゆみ
麻黄が交感神経を刺激し、血行が急激に変動することで皮膚にかゆみが出る場合があります。アレルギー体質の方ではかゆみのようなアレルギー反応が出やすくなることもあります。
まとめ
防風通聖散の副作用の多くは、大黄と麻黄による影響が大きいと考えられます。防風通聖散をダイエット目的で長期服用させることは、エフェドリンや大黄の強い作用により体に大きな負担がかかり、重大な副作用を引き起こす可能性が高いです。そのため、こうした使い方を推奨する医師の対応には慎重さが求められます。防風通聖散を使用する際は、必ず体調や症状に合わせ、適切な期間での服用を心がけることが重要です。