【消化機能向上!】平胃散(へいいさん)は食べ過ぎたときに活躍!
平胃散(へいいさん)は、胃腸の湿気や水分停滞を解消して消化機能を高めることを目的とした漢方薬です。特に暴飲暴食や脂っこい食事を摂り過ぎた際に有効で、消化不良や食欲不振、胃の重だるさなどの症状を和らげます。以下では、平胃散についてさらに詳しく説明します。
1. 平胃散の詳細な構成生薬とその役割
主要生薬
蒼朮(そうじゅつ)
科名: キク科
作用: 燥湿健脾(そうしつけんぴ)作用。蒼朮は胃腸に溜まった余分な湿気を乾燥させ、消化機能を高める働きがあります。湿気が停滞すると消化器の機能が低下しますが、蒼朮はそれを改善し、胃腸を強化します。
厚朴(こうぼく)
科名: モクレン科
作用: 理気降逆(りきこうぎゃく)作用。厚朴は胃腸内のガスを排出し、胃の張りや膨満感を和らげます。また、胃腸の気の流れを整え、消化不良による不快感を軽減します。
陳皮(ちんぴ)
科名: ミカン科
作用: 理気化痰(りきかたん)作用。陳皮は胃腸の動きを活性化し、気の流れを改善して消化を促進します。また、痰を取り除く効果もあり、胃腸の不快感を軽減します。
補助生薬
生姜(しょうきょう)
科名: ショウガ科
作用: 温中散寒(おんちゅうさんかん)作用。生姜は胃腸を温めて消化機能を促進し、吐き気を抑える働きがあります。冷たいものを摂り過ぎた際にも効果的です。
大棗(たいそう)
科名: クロウメモドキ科
作用: 補中益気(ほちゅうえっき)作用。大棗は胃腸を補強し、全体の調和を助けます。他の生薬の効果を引き出し、胃腸を和らげます。
甘草(かんぞう)
科名: マメ科
作用: 調和諸薬(ちょうわしょやく)作用。甘草は全体の生薬を調和させ、胃腸を穏やかにします。また、炎症を鎮める効果もあり、胃の不快感を軽減します。
2. 平胃散の主な作用と効果
平胃散は、「燥湿健脾(そうしつけんぴ)」作用を持ち、以下のような症状に対して効果があります。
消化不良: 暴飲暴食や脂っこいものを摂り過ぎた際に起こる消化不良を改善します。胃が重く感じる場合や食後に不快感を覚える場合に有効です。
胃の膨満感: 胃腸にガスが溜まり、膨満感やお腹が張る感覚がある場合に効果的です。厚朴がガスを排出し、陳皮が気の流れを整えることで改善します。
食欲不振: 胃腸の働きが低下して食欲がなくなった際に、胃を元気にして食欲を回復させます。
軟便や下痢: 湿気が体内に停滞すると、便が緩くなることがあります。平胃散は湿気を乾燥させ、腸の働きを正常化することで軟便や下痢を改善します。
口の粘りや不快感: 湿気が原因で口の中が粘ついたり、不快感がある場合に効果的です。
3. 平胃散の適応症状
平胃散は、次のような状況に適しています。
暴飲暴食後の胃の不快感: 食べ過ぎや飲み過ぎの後、胃の調子が悪いと感じるときに使用します。
脂っこい食事を摂り過ぎた後: 油っぽい食べ物を大量に摂取した後に消化不良や胃の重さを感じる場合に効果的です。
湿気が体内に溜まった場合: 湿気が原因で胃腸の調子が悪くなるときに、湿気を乾かして胃腸の働きを改善します。
4. 応用処方:加味平胃散
加味平胃散: 平胃散に「山楂子(さんざし)」や「神麹(しんきく)」などの生薬を加え、消化をさらに促進する処方です。特に、脂質やタンパク質の消化を助ける働きが強化されています。
※加味逍遙散、加味帰脾湯と加味とつきますが、それぞれ配合される生薬は異なります。山楂子(さんざし): 酢酸の風味を持ち、消化を促進する効果があります。脂っこい食事の消化をサポートします。
神麹(しんきく): 消化酵素の分泌を促し、胃の中の停滞物を分解して排出を促進します。
5. 注意点
体質による使用の注意: 平胃散は、もともと胃腸が弱く、冷えやすい体質の人にはあまり適しません。体が冷えている場合は、別の漢方薬を検討する必要があります。
※大正漢方胃腸薬=平胃散+芍薬甘草湯
6. 生活習慣の改善
バランスの良い食事: 油っぽい食事やアルコールを控え、胃腸に優しい食生活を心がけることが大切です。
適度な運動: 消化を促進し、胃腸の働きを助けるために適度な運動を取り入れると良いでしょう。
このように、平胃散は湿気や水分の停滞による胃腸の不調を改善する効果があります。特に、暴飲暴食や脂っこい食事で胃腸が重くなったときに使用するのが効果的です。