【サラサラorネバネバ】月経経血の質とは何か?

今回は経血の質についての中医学的解説です。経血の質は、月経に関連する体質を判断するための重要な要素です。経血の質にはいくつかの特徴があり、それに基づいて体の状態や不調の原因を特定することができます。

経血の質とは

「質」とは、月経時に排出される経血の粘稠性や塊の有無を指します。中医学では、経血の質によって体内の「気」(エネルギー)、「血」(血液と栄養)、「湿」(体内の余分な水分)の状態を判断することができます。

質のタイプと体質判断

経血の質は主に2つのタイプに分けられ、それぞれが異なる体質や症状を示しています。

  1. ネバネバタイプ

    • 特徴:

      • 経血が粘り気があり、ドロッとしている。

      • 血塊(レバー状の固まり)があることが多く、親指大くらいの大きな塊が出る場合があります。

    • 関連する体質:

      • 瘀血(おけつ): 血の巡りが悪い状態を指します。瘀血になると血液が滞り、経血がドロッとして塊ができやすくなります。この状態は、冷え、ストレス、血液循環の悪さが原因で起こります。

      • 痰湿(たんしつ): 体内に余分な水分が溜まっている状態です。この場合、経血が粘り気を持ち、ドロッとした質感になります。痰湿は、食事の不摂生や代謝の低下などが原因となります。

    • 典型的な症状:

      • 月経痛(特に鋭い痛みや下腹部の重だるさ)

      • 冷え性

      • むくみや湿っぽさを感じる

  2. サラサラタイプ

    • 特徴:

      • 経血が薄く、水のようにサラサラしています。色も淡くなることが多いです。

    • 関連する体質:

      • 気虚(ききょ): 「気」(エネルギー)が不足している状態です。気が不足すると体内の巡りが弱くなり、経血が薄くなります。

      • 血虚(けっきょ): 血液が不足している状態で、血液が体に十分な栄養を供給できていないことを示します。これにより経血が淡く、サラサラした質感になります。

    • 典型的な症状:

      • 倦怠感、疲れやすさ

      • 立ちくらみやめまい

      • 髪のパサつき、爪が割れやすい

      • 生理の際に体調が悪化しやすい

※さらに専門的な話になると、不栄則痛(何かが足りなくて痛みが出る)と不通則痛(何かが足りすぎて痛みが出る)というものに分かれます。詳しくは下記に解説します。

1. 不栄則痛(ふえいそくつう)

  • 意味: 「不栄則痛」は「栄(血)が不足すると痛みが生じる」という意味です。体内の血液や栄養が十分に供給されないと、組織がうまく栄養されず、痛みが起こります。

  • 関連する経血の質: サラサラタイプ

    • サラサラタイプの経血は「気虚」や「血虚」と関連しています。血液が薄く、血量が少ないため、体が栄養不足の状態にあることを示しています。この血虚や気虚の状態が「不栄則痛」を引き起こす原因となります。

    • 症状: 生理痛があるものの、痛みは鈍く、疲れやすさや立ちくらみなどの血虚の症状を伴うことがあります。

2. 不通則痛(ふつうそくつう)

  • 意味: 「不通則痛」は「通じないと痛みが生じる」という意味です。血液や気の巡りが滞ることで、痛みが引き起こされます。中医学では、「通じるところに痛みはなく、通じないところに痛みがある」と言います。

  • 関連する経血の質: ネバネバタイプ

    • ネバネバタイプの経血は「瘀血」や「痰湿」と関連しています。血液の流れが滞り、経血に粘り気があり、血塊が生じる状態です。この滞りが「不通則痛」を引き起こす原因となります。

    • 症状: 痛みが鋭く、締め付けられるような痛みが特徴で、血塊が排出されると痛みが和らぐことがあります。冷えやストレスが関係していることが多いです。

まとめ

  • サラサラタイプの経血は「不栄則痛」に関連し、血液や気が不足しているために生理痛が起こるケースです。この場合、血を補ったり気を補ったりするアプローチが推奨されます。

  • ネバネバタイプの経血は「不通則痛」に関連し、血液や気が滞っているために生理痛が起こるケースです。滞りを解消し、血の流れをスムーズにすることが治療のポイントです。

質のチェックポイント

  1. 血の塊の有無:

    • 塊がある: 瘀血の可能性が高いです。特に大きな塊(親指大くらい)がある場合は血の巡りがかなり悪くなっているサインです。

    • 粒々の細かい塊: 気滞(エネルギーの巡りが悪い状態)の可能性があります。

  2. 粘稠性:

    • ネバネバタイプ: 瘀血や痰湿が原因で粘り気が増しています。

    • サラサラタイプ: 気虚や血虚で、血液が薄く流れやすい質感になっています。

経血の色と質の関連

  • どす黒い色: 瘀血が関連していることが多いです。血液が体内で滞り、冷えが原因で色が暗くなることがあります。

  • 鮮やかな赤色: 血熱(血液が熱を帯びている状態)の可能性があり、炎症や体の熱が原因です。

  • 薄いピンク色: 血虚や気虚が原因で血液が薄くなっている場合に見られます。※某炎上案件なので、別記事で詳細に書きました。

初潮の年齢と体質

  • 初潮が遅かった場合: 初潮が18歳前後など遅めの場合、腎虚(じんきょ)の可能性があります。腎は発育や生殖に関連し、腎虚だと発育が遅れることがあります。腎虚はエネルギーの不足や生殖機能の弱さを示します。
    ※補腎薬は高齢者向けというよりむしろ若い人で成長がしにくい方に使われます。

月経チェックの総合的な方法

  • 周期: 月経が何日間隔で来るかを確認します。周期が短い、長い、不定期などの異常がある場合は、体質の問題を示します。

  • 期間: 出血が続く日数を観察します。

  • : 経血の色が暗めか、鮮やかな赤か、薄い色かをチェックします。

  • : 経血がネバネバしているか、サラサラしているかを確認します。

  • PMSや生理痛: どのような症状があるかを把握し、それがどの体質に関連しているかを見ます。

中医学的な診断方法

中医学では、これらの情報を総合的に見て「弁証」と呼ばれる方法で体質を診断します。経血の質だけでなく、他の症状や体質の情報も合わせて判断することで、より正確に体の状態を理解します。これにより、個人に合った漢方薬や養生法を提案することができます。
※詳しくは中医診断学で。

この情報を基に、自分の体質を知り、必要に応じて生活習慣や食事を改善していくことが大切です。

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