【謎】脈診や腹診はなぜ医療行為でしてはいけないのか?
切診(脈診・腹診)は、中医学において脈を診ることで患者の体の状態を把握する重要な診断方法です。これには高度な専門知識と経験が必要であり、医者以外の人が実施することについては、主に以下の理由から問題があります。今回はそんな切診について解説します。
1. 専門的な知識が求められる
高度な技術: 切診は脈診を含み、患者の体質や病気の状態を診断するための非常に繊細な技術です。脈の速さ、リズム、強さなどを見極める必要があり、これは訓練を受けた医師や中医師によって正確に行われるべきです。誤診のリスクが高く、患者の体調を誤って理解する可能性があるため、専門的な知識と熟練した技術が求められます。
2. 患者の安全性を確保するため
診断ミスのリスク: 切診によって誤診が起こると、患者に不適切な治療が行われることがあります。中医学では体の状態を詳細に把握した上で、適切な漢方薬や治療法を選択します。診断が誤っていれば、体に害を及ぼす可能性があるため、正確な診断を行える医師による実施が重要です。
3. 医療行為としての法的規制
医療行為の範囲: 切診は、脈診を含む診断行為とみなされ、多くの国ではこれが「医療行為」として法的に規制されています。医療行為は、資格を持つ医師や認定された中医師によって行われることが法律で定められています。医療資格を持たない人が切診を行い、診断をしたり治療方針を示したりすることは、医師法や医療関連の法律に違反する可能性があります。
無資格診療の禁止: 多くの国で、無資格者による診療行為は厳しく禁止されています。これは、患者の健康を守るための法律であり、切診もこの規制の対象に含まれます。無資格者が診療を行った場合、違法な医療行為とみなされ、罰則が科されることもあります。
日本の医師法第17条は、医師でない者が医業を行うことを禁止しています。これに違反した場合、以下の罰則が適用されます。医師でない者が医業を行った場合:3年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
参考:薬事法マーケティング
虚偽または不正な手段で医師免許を取得した者が医業を行った場合:同様に、3年以下の懲役または100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
参考:薬事法マーケティング
医師でない者が「医師」またはこれに類似する名称を使用した場合:3年以下の懲役または200万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
参考:薬事法マーケティング
医業停止処分中に医業を行った場合:1年以下の懲役または50万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
参考:薬事法マーケティング
これらの罰則は、無資格者による医療行為が国民の健康に重大な影響を及ぼす可能性があるため、厳格に定められています。
4. 医療事故のリスク
法律的な責任: 無資格で切診を行った結果、患者に健康被害が生じた場合、法律的な責任を問われることがあります。医療事故として訴えられるリスクもあり、これは医療に関する法律で定められています。
5. 患者の信頼性の問題
診断の正確性: 切診は、患者からの信頼を得るために正確である必要があります。正確な診断ができない人が切診を行うと、患者の信頼を損ねるだけでなく、医療全体への信頼が失われる恐れもあります。
まとめ
法律的な問題: 切診は医療行為として法的に規制されているため、無資格者が行うと法律違反となる可能性があります。また、患者の安全と健康を守るために、切診は専門の知識と訓練を受けた医師が行うべきとされています。法律は、医療行為を資格を持つ医師が行うことで、患者が適切な診療を受けられるようにすることを目的としています。
そのため、医者以外が切診を行うことは、法的にも倫理的にも認められていないケースが多く、違法な医療行為として罰則を受けることがあります。