【生理中の過ごし方】中医婦人科学

月経期(生理中)は中医学で非常に重要な時期とされ、この期間の過ごし方が将来的な健康に大きな影響を与えるとされています。以下に、月経期の中医学的な養生方法についてさらに詳しく解説します。

1. 月経期の基本的な理解と重要性

月経期は、体が経血を排出するためにエネルギーを多く使い、血や気が不足しやすい時期です。このため、体が冷えたり邪気(外からの悪影響)が入りやすく、免疫力も低下しがちです。また、月経期は将来の健康に直結するため、月経期・妊娠期・産後・授乳期・更年期などの「変化の時期」の養生が重要とされています。特に冷えや過労が影響を与えるため、月経期の過ごし方が生理トラブルや婦人科系疾患の予防に役立ちます。

2. 漢方薬とサプリメント

月経期には、経血をスムーズに排出し、気と血を巡らせる漢方薬を用いることが推奨されます。具体的な漢方薬やサプリメントとしては以下のようなものがあります:

  • 冠元顆粒(かんげんかりゅう):気血を巡らせる働きがあり、血行を改善します。血が滞っていると経血の排出がスムーズでなくなるため、血行を良くする冠元顆粒は、月経痛や血流改善に役立ちます。

  • 芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかりゅう):血行を促進し、体を温める力があり、冷えやむくみに効果的です。これは特に冷えによる月経痛や、月経中の体調不良に用いられます。

  • 爽月宝(そうげつほう):漢方ではなくサプリメントですが、冷え性や生理痛が重い方には効果的です。冷えが原因の不調を軽減するために使われます。

3. 月経期の養生ポイント

中医学的に見て、月経期の養生は血の巡りを良くし、身体を冷やさず、気を穏やかに保つことが大切です。次の点に注意すると良いでしょう:

衛生管理

  • 清潔を保つ:月経中の子宮は「空虚」な状態で、体が開いているため、邪気(特に寒邪や湿邪)が入りやすくなっています。温泉やプール、タンポンの長時間の使用は避け、体を冷やさないように気をつけましょう。

  • タンポンや月経カップの注意:タンポンや月経カップを使用する場合、長時間入れたままにしないことが大切です。月経中は「排出する」ことが重要なので、長時間入れたままにすると血の排出が滞り、体に負担をかける可能性があります。ナプキンも長時間の使用を避け、こまめに交換して清潔を保ちます。

冷え対策

月経期は血行が滞りやすく、体を冷やさないことが特に大切です。冷えは血の巡りを悪くし、月経痛や不調を引き起こす原因になります。

  • 冷たい食べ物・飲み物の回避:冷たい飲み物や生ものは体を冷やし、寒邪を取り込みやすくするため避けます。

  • 辛いものを控える:辛いものは発散作用があり、体温を上げて汗をかきやすくするため、体内の陰血を消耗する原因となります。陰血が不足することで体に必要な潤いが失われ、不調を引き起こしやすくなります。

感情の安定

月経期は気が乱れやすく、感情も不安定になりがちです。ストレスや怒りなどの感情は血の巡りを悪化させるため、心を落ち着けて穏やかな気持ちで過ごすように心がけましょう。薬膳や中国茶などを活用するとリラックス効果を得やすくなります。

4. 食養生

月経期の食事は体を温め、血行を促すものが推奨されます。

  • 薬膳:玫瑰花(まいかいか/バラの蕾)や紅花を紅茶に浮かべたお茶は、血行を良くし、体を温めるのに適しています。これらは中国茶のお店で手軽に手に入るため、血行を促すためのサポートに用いると良いでしょう。

  • 温かい飲み物や温かい食材:体を温める生姜茶や紅茶などは体の冷えを和らげ、血流を改善します。特に生理痛がひどい場合は、温かいスープや煮物など、体を芯から温めるものを摂るようにします。

5. 冷えを防ぐ生活の重要性

月経期に冷えがあると、子宮の冷えが将来的な妊娠にも悪影響を与えるとされています。古典の記述には「子宮が冷えると10年妊娠できない」といった表現があり、この時期に冷えを取り除くことは非常に重要です。最近の温活ブームにより、温かい食べ物や飲み物、体を温める漢方などが注目されていますが、まずは冷やさない生活を徹底することが第一です。以下の生活習慣を取り入れると良いでしょう。

  • 足首や腰を温める:夏場でもサンダルや薄着で体を冷やさないよう心がけることが重要です。冬場はもちろんのこと、気温が高い時期でも冷え対策を行うことで、血行がスムーズに保たれます。

  • 陰虚タイプの方への注意:陰虚タイプの方は体に熱がこもりやすく、温めすぎると逆効果になることがあります。この場合も「冷やさない」ことを基本とし、過度に温めないように注意します。陰虚タイプの方は潤いを補う食材を選ぶと良いでしょう。

まとめ

月経期は中医学的に「排出と浄化の時期」として非常に大切な時期です。この時期の養生が将来の健康や婦人科系の状態に影響するため、冷えを避け、体を温め、清潔を保ちながら、気持ちを穏やかに保つことが重要です。

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